研修を受講するときの姿勢

姿勢といっても、「背筋を伸ばしなさい」という姿勢ではなく、どういう気持ちで受講するかという心構えのことです。
ちなみに、そちらの姿勢も大切ですので別の機会で書きたいと思います。

スキルアップのための研修を受講すれば、スキルがアップするのかといえばそうではありません。
スキルは他人にアップしてもらうのではなくて、自分でアップさせるものです。

特に、外部講師による応対研修などを受けた場合は、当然、相談現場とは異なるシチュエーションとなります。
そうした場合
「そんなの現実的ではない。」
「そんな対応できるわけない。」
「全然役に立たなかった。」
「もっとまともな講師を呼んでほしい。」
と思うことがあるでしょう。

そのように思う相談員は、このサイトの対象外です。きつい言い方をすると、スキルアップは望めません。
おそらく、日常でも、他人のアドバイスには耳を傾けない類でしょう。
自覚していなくても第3者からみれば手に取るようにわかります。
私が同じ研修を受けていれば、私自身、スキルアップのヒントをたくさんもらったと思います。

普通に考えればわかることです。
どんなにすぐれた外部講師でも、相談現場を再現して、ドンピシャのロールプレーイングが再現できるわけがないのです。
本当は内部の事情がわかっている内部講師が一番適任です。
しかし、適任者がいないから外部講師を依頼しているわけで、内部でできないものが外部ですぐにできるほど相談業務の世界は簡単ではないと思います。
それを、すべて外部講師ができると相談員が期待してしまうのでギャップが大きくなるのです。
また、研修内容を否定することは、講師自身をも否定してしまいます。
講師に感謝の気持ちがなければ、社会人としての素養に疑念を抱きます。
実はあなた自身も否定されていることに気付いて発言を慎重にするべきです。

講師は、その分野(たとえば応対方法や話し方や聴き方やロジカルシンキングなど)のスキルを持っています。
しかし、現場にはいないので現場の状況は伝聞や想像でしかわかりません。
一方、内部の人は、現場を知っているけど、講師としてのスキルを持ち合わせていません。
一番いいのは内部の人が講師としてのスキルを身につければいいのです。
しかし、現実には、そういう人材はいません。

全く同じ研修を受けても、受けるほうの姿勢(心がまえ)で全く異なる結果(効果)になります。
研修を受けて得たヒントから、自分の現場で応用して活かす、という作業が必要なのです。
研修内容の10のうち7役立つ場合もありますが。1の場合もあります。0ということはあまりないでしょう。
1の場合は「1しか役立たない」ではなく、「1でも役立つことを得ることができてよかった」と思うことが重要なのです。
そして、それを積み重ねていきます。
せっかく用意された研修です。少しでも多くのヒントを持ち帰ることを心がけてください。
最初に書いた相談現場とは全くかけ離れていることでも、実はつながっているのです。
つながっていることに気付かない相談員に問題があるのです。

他人を批判するばかりではなく、自分自身に目を向けてください。
その姿勢が第3者からは手に取るようにわかり評価されています。
誰も指摘してくれません。
それゆえ、不必要な人材のレッテルをこっそり貼られてしまいます。

スキルアップ講座の「心がまえ」のカテゴリーの内容を本当に理解し実践するためには「プライド」を捨てる覚悟も必要です。
そうそう簡単に自分自身の今までをを否定することを許さないと思います。
しかし、心がけを変化させるだけで、スキルアップのヒントはどんどん向こうから近づいてくれるのです。
毎日は、あっという間に進んでいきます。
日々勉強。
高いモチベーションを維持し続けること。
冷静に自分を見つめること。
自分にどんな能力が不足していて、どんなことをすれば学べるのかを模索すること。

今日、この瞬間から、スキルアップのヒントを売る貴重な機会である「研修を受講するときの姿勢」を変化させていただくことを期待します。

(平成22年10月14日 初稿)

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あなたは相談員という職業をどう思ってますか?

仕事を始めるときには、「こんな仕事がしたい」と思って入社したものの、「思ってたものではなかった」「実力がなかった」、「就職さえできない」など個人個人には様々な仕事に対する事情があると思います。

消費者センターの相談員というのは、なかなか新卒で仕事につくものではありませんし、待遇もパート並が多く、中途で仕事につかれる方が大半ではないかと思います。しかし、基本的には、「相談員」になりたいと希望してなったのではないでしょうか。

実際になってみて現実とのギャップはどうでしたか?
きつい仕事だと思いますか?
今の待遇では割に合わないと思ってますか?
ほかに仕事があれば、やめたいですか?

そもそも、相談員になりたかった動機は何でしょうか。

誘われたから、パートを探していたから、役所関係だから、など消極的な理由の方もおられると思います。
また、相談員になったけど、自分には向いていないが生活のためには仕方がない、やってみたけどもうやりたくはない、など消極的な方向へ行ってしまう方も少なくないと思います。向き不向きもあります。
消極的な方がこのサイトを見られても勉強になるどころか、私との間に大きなギャップが生じることになると思います。

一方、困っている消費者を助けてあげたい。悪質商法は許せない、社会貢献したい、など、「相談員」としての仕事内容に魅力を感じ、相談員になった積極的な理由の方もおられると思います。

相談員の仕事は難しいと思います。日本人の価値観も変わっており、コミュニケーションの面において、ますます難しくなっています。
罵声を浴びせられ精神的につらいこともあります。大変な職業だと思います。
そのような環境の中、より的確(適格)な相談対応を求められていますし、それに答える必要もあります。

相談員という仕事は、とても「やりがい」のある仕事であることは確かです。
社会の最先端を走っているので、とても面白い世界です。

このサイトは「相談員」として積極的に本当にスキルアップをしたいという思いを持った方の手助けになればと思い開設しました。
また、自分自身のステップアップの礎として、将来的に自分がどうしていきたいのかということも視野にいれています。
このサイトがどういう道をたどるのかは、相談員のみなさま次第だと思います。

きつい仕事ではあるけれど、しっかり手順を踏まえて判断し、上手にコミュニケートする能力を向上させていけば、きつい度合いはどんどん減少していくと思います。
逆に、努力をしなければ、きつい仕事が、よりきつくなり、ほかの相談員との差が開いていきます。
スキルアップはそうそう簡単にはできません。
毎日の積み重ねと、正しい効率的な勉強と、心構えが必要です。
そうはいっても、なかなか自分ではできないし、職場でも忙しくてできません。本当に現場で実務的に役立つ研修も少ないです。
また、1人または少数の相談員の職場、行政職員の理解のない職場、研修などとんでもないという職場、予算がない職場など、スキルアップしたいのにどうしたらいいのかわからない相談員もおられると思います。

このサイトで、私と一緒に、リアルに少しづつ学んでいきませんか。
そして、本格的な会員サイトとなったときには、「文殊の知恵」となつかはわかりませんが、同じ志を持った全国の相談員がコミュニケートできるような仕組みも考えています。私自身もみなさんの前でお話したいと思っています。

ぜひ、相談員という職業に「ほこり」をもって積極的に仕事に取り組んでください。

(平成22年10月11日 初稿)

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消費者情報 2010年10月号 (関西消費者協会)

今月号で取り上げるのは1つだけですが、法律の勉強をしましょう。

判例に学ぶ
耐震偽装マンションの購入について「錯誤無効」を認めた札幌地裁判決

・耐震偽装マンションの購入者らが売主に対して新規分譲契約の無効・取り消しを求めた事案。
・買主→法定の耐震強度を満たしていないのに満たしているとの前提で購入した意思表示には、民法95条の「要素の錯誤」があるとして、契約の錯誤無効等を主張。
・売主→耐震基準を満たすよう補修する瑕疵担保責任を負うだけである。
・判決→耐震性能等の基本的性能が具備された建物であることが当然の大前提で、耐震偽装の建物の引渡しは、その誤解に基づき売買を合意したことになり、売買目的物の性状に関する錯誤(いわゆる動機の錯)があるとした。阪神大震災を例に、耐震強度に関する錯誤が重大なものと認め、法95条の錯誤無効を肯定し、売買代金の返還を認めた
動機の表示がないという売主の主張に対して、耐震偽装の具備は予想外の錯誤の主張によって売主が困惑するという事態は発生しないもので、「当該性状があるから買い受けるという動機が表示されたがその性状がなかった場合と同一視すべきだ。
・まとめ→民法の錯誤無効となったが、これは実務上容易ではない。事業者の不実告知・不告知・情報提供義務違反により動機の錯誤が起これば取り消しできるように民法の錯誤の要件を緩和し、消費者契約法での取消権が拡充される必要がある。

法律用語がたくさん出てきて読み解くのには集中力が必要ですが、詳しくは本文をじっくり読んで、民法の解説もじっくり読みながら勉強してみてはどうでしょうか。
最高裁HP(http://www.courts.go.jp/)に判例掲載されています
平成18(ワ)2803 損害賠償請求事件 平成22年04月22日 札幌地方裁判所
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=80557&hanreiKbn=03

教科書どおりでは、建築物に瑕疵があった場合は建て替え等を要求するのではなく修理で対応するということが書かれてあったように思います。また、「要素の錯誤」は取り消しできるけど「動機の錯誤は」取り消しできない、という解釈もあります。
耐震偽装となると、契約取り消し無効まで判断することができるんですね。
ハードルは高いですが、対象によってはいろんな解釈ができるということですね。

リンクはこちらです
関西消費者協会 http://kanshokyo.jp/hp/
消費者情報 2010年10月号