消費者情報 2011年4月号 (関西消費者協会)

①巻頭インタビュー
苦情の背後に潜む問題を見いだし、制度の改革・改善につなぐ
いくつか抜粋します。ぜひ本文を読んでください。
・相談員は目の前の相談者の苦情を解決するのは当然第一主義。でも、決してそれだけではない。その後ろに潜む問題点を見いだし把握して、それを制度の改革や改善につなげていくのが、本当の相談員の役割だと思ってます。
・最近は特定商取引法でスッキリ解決できる相談は少ないです。
・法律はどんどん変わっていきますから基礎知識は必要ですが、相談員の仕事は法律知識を振りかざすことではありません

②特集 終わりなき問題商法
・最近の問題商法の傾向と特徴
・複雑な金融商品の蔓延-仕組み商品の問題点
などの事例が紹介されています

③ADR機関を活用しよう
「自転車事故に関する解決事例」
・公益社団法人総合紛争解決センター(大阪)の事例です
・左折中に起こった自転車と自転車の事故
・相手方の自転車は30万円の高級自転車で修理不可能で全損として請求
・損害賠償請求に対して支払う必要がないことと、支払う必要があるとしても適正な金額を算定してほしい
・和解あっせん人が、現時点での中古車価格。過失割合を考慮し、最終的に15万円の賠償となった
※高級自転車や高級時計など事故のケガよりも物のほうが問題になることがあります。
減価償却は私も理解できますが、乗っていた自転車は15万円では買えないので、中古でもいいので費用負担なしで自転車が欲しいのではないでしょうか、高級自転車の中古なんてほとんどありませんので、不満が残るでしょうね。
相談現場では、クリーニング賠償基準など減価償却が当たり前で、思い出や思い入れなど考慮されません。それを、当たり前とは思わず、このような場合に相手の気持ちをしっかり受け止めてあげることが重要です。

④判例に学ぶ
野村證券からの「仕組み債」の購入について錯誤無効を認めた大阪高裁判決
・トラブル多発の仕組み債です。消費者センターで取り扱うの難しく、結局は裁判になることが多いですね。
このような商品は弁護士などの専門家に任せるのが適当だと思います。
・裁判では、きっちりと法律に基づく解釈と判断が理論的にされます。判例を読み解くことは相談員として勉強になります。判例集を読む時間がない場合でも、少なくとも、このような雑誌の判例の解説を読んでおきたいですね。

リンクはこちらです
関西消費者協会 http://kanshokyo.jp/hp/
消費者情報 2011年4月号

月刊 国民生活 2011年4月号

①特集 パックツアーのトラブルを未然に防ぐ
消費者センターへの旅行に関する相談は昔からコンスタントに件数が上げられます。
したがって、相談員として、旅行に関する知識をしっかり持っておくことが重要です。
今回の特集で、広く紹介されています。
募集企画型企画旅行、標準旅行業約款、キャンセル、旅程変更など、細かい項目があります。
法的な解釈などは旅行業協会を紹介するのが近道かもしれません。
ただし、相談現場では、法律や約款に基づいて処理というような簡単なものではなく、「気持ち」てきな感情のもつれが関わっていることが少なくはなく、そのあっせんにはある程度は入らなければならないのですが、上手にお互いをまとめるというスキルが重要となります。

②チェックチェック 苦情相談
多重債務問題の解決に向けた取り組み
多重債務問題については国をあげて取り組みが行われており、行政機関では消費生活センターがその役割を担っています。
とはいえ、消費者センターで完結するような問題ではなく、最終的には法的な窓口を紹介することになります。
今回、当該県での消費生活センターの役割について紹介されています。
以前、多重債務については、相談員の心理的負担が大きく、疲弊するのであれば、突っ込まずに、専門窓口を誘導して、他の相談業務に取り組みべきだと書いたところです(借金問題 https://soudanskill.com/20110305/170.html)
しかし、今回の取り組みを改めてじっくり考えてみると、ある程度の対応をしたほうがいいのかなとも感じています。
それぞれのセンターによって方針は違いますが、改めて考えてみたいと思うきかっけになりました。

③暮らし注意報
「モバイルサイト内職にご注意!」
手を変え、品を変え、このような商法は永遠と続きますね。
情報商材のうたい文句と同じく、それねりに良いと思えてしまいますよね。
モバイルサイトの場合は、収入の方法として「アフィリエイト」を使います。
情報商材でも「アフィリエイト」を使うものは多いです。
確かに、「アフィリエイト」は無限の可能性があり、多額の収入を得ることも可能ですが、それはまれであって、ほとんどが収入になりません。
このことは、解説「アフィリエイト」で詳しく解説したところです。
でも、わらおもつみたい人には、もっともらしく思えるんですよね。
いや、私たちでさえ、そう思えてしまうものがあるから巧妙なんですね。

④消費者団体訴訟レポート
「敷引条項の使用差止請求」
この問題については各地で裁判は行われており、さまざまな解釈が出されています。
そして、3月25日に初の最高裁判決が出ました。
簡単に言うと、「不当に高額でなければ特約は有効」という消費者側からは納得いかない結果となりました。
詳しくは省略しますが、今後、消費者関係の雑誌でも、さまざまな解説がされると思います。

⑤知っておきたい相談周辺の基礎知識
「携帯電話の料金体系」
携帯電話の料金についての相談は非常に多いです。そのため相談員は携帯電話の料金だけでなく、本体のことにも精通している必要があります。
今回の記事では料金体系についてまとめられています。ただし、字でぎっしり書かれた解説は読むのがしんどいですね。
消費者センタでの相談対応でおさえるべきポイントというのがありますので、携帯電話の料金について別途解説したいと思います。

国民生活センター http://www.kokusen.go.jp/ncac_index.html
月間 国民生活

月刊 消費者 (2011年3月号)

①消費者相談室
「通信販売の返品」
・テレビショッピング購入のコードレス掃除機
・開封してみたら、「充電12時間、使用10分」であった
・1時間にわたるテレビ広告では口頭で1回だけ「便利だが、使える時間が短い」と伝えている
・外箱を開封しただけなのに返品できなかった。
※実はコードレス掃除機って、消費電力が大きいので、ある程度仕方がないですね。しかし、一般の消費者が誰でも知っているとは思いません。デメリット表示は強調しないというやり方ですね。きっちり表示されているのが正しい姿でしょうけど、同じような広告はたくさんありますね。なければ絶対ダメなのかというと微妙に思います。「充電12時間、使用10分」と知って、やっぱりコードレスはこんなものかと思えばいいし、信じられない返品したいと思えば応じたらいいのではと思ったりします。コードレス掃除機で、同等の価格で、これよりも明らかに充電性能がすぐれているのってあるのかな?似たり寄ったりのような気がします。結局は、苦情を申し出たことに対しての対応がマニュアルどおりで、消費者の気持ちを柔軟に受け入れることができなかったのが問題ではないかと思います。

②こだわりタイム
「傾聴ボランティア喫茶へようこそ」
・ボランティア団体が月に1回、コーヒー・紅茶を1杯50円で提供し、話を聞いてくれる、というもの。まだまだ利用者は少ない。傾聴ボランティア講座などできっちりと基本を学んでいる。
※相談員でも「傾聴」のテクニックをきっちりと学んでいる人は少ないと思います。しかし、相談業務のとっかかりは「傾聴」です。とても重要なコミュニケーションスキルです。なかなかいい連載です。コピーを永久保存です。

日本消費者協会 http://www.jca-web.org/
月刊 消費者

最後のページに衝撃的なお知らせがありました。
「本誌休刊のお知らせ」
次の4月号で休刊するとのことです。

この手の雑誌は使命感から発行されているものが多いですが、さすがに経費が限界に来ているのでしょう。
諸外国では多くの消費者が雑誌を購入することで消費者団体を支えています。
日本では難しいですね。