国民生活研究 2010年6月号

国民生活研究は国民生活センターが年に4回発行しており、消費者問題をはじめとする生活問題について掲載した調査・研究誌です。
論文ゆえにすぐに眠気に襲われ、読むのがつらいです。
2010年6月号には、「不招請勧誘」と「重要事項」についての論文がとても勉強になるので紹介します。
詳しくは本誌を読んでください。
といっても、一般的な本ではないので入手は難しいかもしれませんね。

①【論文】不招請勧誘規制のあり方について(上)
津谷 裕貴(弁護士)
②【研究ノート】不招請勧誘を規制する法令等の現状
福井 晶喜(独立行政法人国民生活センター)

・「不招請勧誘」
難しい言葉ですね。字を分解すると「招くことを請われるのを不とする勧誘」いうことですね。
さまざまに定義されているのですが、①の著者は「事業者が、消費者からの要請がないのに、一方的に、電話、訪問などによって、消費者に契約締結させようとする行為」と定義づけていますので、意味は理解できると思います。
・勧誘行為は、電話と訪問に限られており、電子メールやFAXが含まれていません。また、ダイレクトメールも対象外です。電子メールやFAXは、対象にしてもいいのではと思います。
・「オプトイン」と「オプトアウト」
optを辞書で引くと「選ぶ」とありました。イン(入ってくることを)選ぶ、アウト(出て行くことを選ぶ)と読むとわかるかもしれませんね。
「オプトイン」とは、消費者の事前の要請や承諾がなければ勧誘してはならない・・・原則、すべての事業者からの電話や訪問はダメ→不招請勧誘の禁止
「オプトアウト」とは、消費者の勧誘拒絶の意思表示があれば勧誘してはならない・・・個別に○○は勧誘してはダメと要請すれば、その事業者からの電話や訪問はダメ
ただし、どちらに該当するかは法律により、異なっており、たとえば金融商品取引法の店頭デルバディブ取引などはオプトイン(不招請勧誘は禁止)となっているが、特定商取引法ではオプトインではなくオプトアウトとなっています。
・「消費者の権利 新版」正田彬(岩波新書2010年2月19日)
が引用されており、とても面白い考え方です。興味がある人は読んでください。
不招請勧誘規制は、消費者の権利と事業者の営業の権利をの観点から調整が図られてきた経緯がある。
この本では、安心して生活する基礎は消費生活の権利の確立であって、事業者の営業自由は消費生活の権利を前提としたものだから、消費者の権利と事業者の営業の権利を調整するという発想であってはいけない、と書かれているという。
・「訪問販売お断り」ステッカーについては次号で解説されます。

③【研究ノート】消費者契約法4条の「重要事項」の意味-最高裁判所平成22年3月30日判決を受けて-
宮下 修一(静岡大学大学院法務研究科准教授)
「学納金返還訴訟」と「
・4/7までに補欠合格が予定されている大学に4/5に入学自体をした場合に授業料等の学生納付金は一切返還しないとした学納金返還訴訟で、当該特約は有効との判決です。
従来の3月末までに入学辞退した場合は授業料については返還すべきという判例は踏襲するが、4月以降はダメだという解釈のようです。次号に詳細に解説されるようです。
・将来における金の価格が「重要事項」には当たらないとの判断です。
重要事項を「限定的」に解釈することについて意見が書かれています。

国民生活研究 第50巻第1号(2010年6月)
年4回発行 定価620円(税込み)

カンブリア宮殿 (ゲスト ソフトバンク 孫正義)

テレビ東京系列で毎週月曜日22:00~22:54に放送されている超おすすめ番組の「カンブリア宮殿」の7/12・19と2週連続でソフトバンクの孫正義社長がゲスト出演していました。
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/list/list20100719.html

消費者目線という言葉が何度も出てきました。
新しい携帯端末をつくるに当たっても「つくり手」の都合ではなく、消費者に使い勝手のよい製品にするために、開発の途中で何度も社長自らチェックをする。開発の終盤でチェックしても手遅れになるからである。
また、ツイッターで消費者から電波に関する情報開示などの要望に、すぐに反応しサービスの質を向上させる。

これらのことから、商品に対しての消費者目線やサービスに対しての消費者目線を第一に考えていることは理解できました。
実際にソフトバンクが携帯電話業界にもたらした影響は大きく、料金の引き下げに結びついたり多大な貢献をしてきたと思います。

ここまでしているのに、「何でこうなるの?」と思います。
消費者センターにかかわっている人なら、みんな思っているのではないでしょうか。
そんなに、いい商品やサービスを持っているのに、何でこうなるの?

その要因として私が考えるのは
一番大切な、消費者に対する消費者目線がもてていないのではと思っています。
社長、製品のつくり手、サービス提供などの努力や思いは十分わかります。
社長やつくり手という「川上」のすばらしさが、「川下」、すなわち、店頭販売で消費者に直接相対する販売員とのコミュニケーションという最も大切な部分での消費者目線が欠けているのではと思います。
複雑な料金プランや料金設定などに対して、消費者が十分理解できていないまま契約にいたっているという現実です。
店頭で説明したし同意書もとっているといいますが、それは単に「伝えた」だけであり、実は「伝わっていない」のです。
携帯電話が一部の消費者のアイテムであった時代は終わり、老若男女すべての消費者のアイテムとなりました。
ドコモやauにくらべて、月々割などの割引制度がかなり複雑です。
携帯電話業界はソフトバンクが先陣を切って革命を起こしてきたし、今後もそうなると思いますが、「川下」での対応が今のままであれば残念で仕方がありません。
「仏つくって魂入れず」という言葉に似ているのでしょうか。

今回の放送を見て、孫社長はやはりすばらしい企業家であることは再認識しました。

また、ソフトバンクなど携帯電話の料金プランについては別途解説したいと思います。

嫌われる敬語 好かれるタメ語

話し方研究会 内山辰美
2008年12月4日発行
中経出版
1300円
ISBN978-4-8061-3219-6

相談対応における重要な要素の一つに「話し方」があります。
「話し方」の大切さについては、スキルアップ講座でも解説する予定です。

この本のサブタイトルに、
『話し方で、損をしていませんか?
「正しい敬語」を使うのは、必要であっても、絶対ではありません』
と書かれています。

私も敬語を使うというよりも、対等な話し方をフランクにすることが多いです。
話し方はTPOに応じて使い分けるのが大事です。

冒頭の「はじめに」でこの本の目的が書かれています。
簡単にまとめると
『世の中には正しい敬語を使用しているのに敬遠され嫌われる人がいる反面、少々間違っていても親しみのこもった「くだけた」話し方をして好感をもたれる人もいる。
それらを踏まえ、この本では、
「敬語」・・・過剰に使えば、冷たい印象を与え、人に嫌われる言葉
「タメ語」・・・(上手に使えば)気持ちを率直に表現でき、人に好かれる言葉
と定義し、様々な場面において解説する。』

さて、この本の活用方法ですが、4章で構成され、それぞれにシチュエーションに応じたじれが紹介されています。
その事例には、「嫌われる敬語」と「好かれるタメ語」の2通りの回答例と解説が示されています。
みなさんが日常的に使用している話し方が、どちらに近いのだろうかと考えながら読みすすめるといいと思います。

第1章 過剰で嫌われる敬語、なぜか好かれるタメ語(7事例)
第2章 上司から敬遠される敬語、懐に入り込むタメ語(7事例)
第3章 お客様が離れていく敬語、ガッチリつかまえるタメ語(7事例)
第4章 日常生活で嫌がられる敬語、好印象を与えるタメ語(6事例)

おすすめ度・・・普通の相談員であれば、1回読めば理解できると思いますので、「1回読んだらOK」です。

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