REPORT JARO 2011年11月号

「REPORT JARO」は公益社団法人 日本広告審査機構が毎月発行している企業向けの情報誌です。
HPでは、最新号の目次のみ閲覧できます。
おそらく消費者センターにも送付されているところが多いのではないかと思います。
日本広告審査機構
http://www.jaro.or.jp/
企業向け情報>刊行物「REPORT JARO」
http://www.jaro.or.jp/kigyou/report_jaro/index.html

11月号から気になる記事を紹介したいと思います。
詳細は情報誌をご覧ください

①LEGAL MIND
・「国民生活センターの消費者庁への一元化問題」について、一橋大学の松本恒夫先生が解説しています。
※一元化問題は私も含め、それぞれさまざまな意見が出ていると思います。最後まで同じ方向に向くことはなく、どこかで政治決断があるのかもしれません。個人的には、国民生活センターとのかかわりの度合いによって、表面だけから考えるか、実態から考えるかが違ってくると思います。

②「中央省庁の担当官と情報交換」
~平成23年度上期の行政連絡会から~
・各担当者からの最新の情報や見解が書かれており、なかなか勉強になります。
(厚生労働省・薬事行政)
・いわゆる健康食品の広告で、その製品に関する効果を直接標ぼうするのではなく、個人の体験談の形を使って暗に効果があるようにうたっている事例が多くある。一般個人の体験でも効果効能をうたう場合は薬事法に違反する恐れもあることを周知する必要がある。
(消費者庁・表示対策課)
・「おせち料理」に見られるようなクーポン共同購入サイトの違反事例があり監視の徹底をしている
・放射性物質関係で事業者から放射性物質に関する広告表現の相談がある。
(消費者庁・食品表示課)
・食品表示の一元化や栄養成分表示の義務化を目指している
(経済産業省・消費者相談室)
・通信販売では商品認識の行き違いに関する相談が多い
・情報商材の広告では内容を少ししか紹介していない場合は「誇大広告」や「優良誤認」にはならず、広告を縛るという対応が難しい
・最後まで実物を確認しないで中古自動車を通信販売で購入しトラブルになる事例がある。消費者も慎重に判断してほしい。
(警察庁)
・利殖勧誘関連や特商法関連の広告に注意を払っている
・金融機関への口座凍結の情報提供を進め、被害拡大防止に努めている。

海外ショッピングのトラブル相談窓口の開設

11月1日に消費者庁から
海外ショッピングでのトラブルに関する消費者相談窓口「消費者庁越境消費者センター(CCJ)」の開設について
という報道発表がありましたが、ご存知でしょうか。
http://www.caa.go.jp/adjustments/pdf/111101adjustments_2.pdf

タイトルが
越境取引に関する消費者相談窓口「消費者庁越境消費者センター(CCJ)」を開設します
~海外ショッピングでのトラブルについてご相談を受け付けます~

冒頭の説明が
消費者庁では、平成23年11月1日より、平成23年度消費者庁委託事業「越境取引に関する消費者相談の国際連携の在り方に関する実証調査」の一環として、「消費者庁越境消費者センター(CCJ)」を設け、消費者の皆様が海外ショッピングで遭われたトラブルの相談を受け付けます。

そして事業を受託した「SBIベリトランス株式会社」のプレス資料も添付されており、そのタイトルが
消費者庁委託事業 越境取引における消費者相談窓口
消費者庁越境消費者センター(略称:「CCJ」)に係る事務局運営の開始について

何のことか分かりにくいタイトルや名称、内容説明ですね。
最初は読む気が起こりませんでしたが、じっくり読んで理解しました。

簡単にまとめました

消費者庁が海外のインターネットショッピング利用者の調査をしたところ、2割がトラブルの経験があり、そのうち3割が事業者との連絡が容易でなく、問い合わせをしなかったことが分かった。そこで、消費者庁が海外ショッピングに関する相談を受ける窓口を期間限定で設置すると同時に情報を収集調査するという事業をすることにした。
・アメリカ、カナダ、台湾、シンガポールの4カ国とは現地の消費生活支援機構と協力することになっている。
・4カ国以外の相談についても、できるだけ相談対応には努力する。
・海外ネットショッピングだけでなく、対面取引も含む。
・消費者センターからの相談も受ける。
・消費者庁から事業を受託したのは「SBIベリトランス株式会社」であるが、実際に相談を受けるのは「ECネットワーク」である。
・2011年11月1日から2012年3月28日までの期間限定(反響によっては期間が延長されるかもしれませんね)。

個人的な感想
・「ECネットワーク」が受けるので、かなり信頼できるのではないかと思いますが、どこまで突っ込んだあっせんができるのか未知数で興味があります。4カ国以外の中国などへはどこまで対応できるのか。また、ブランド品の品質問題や個人輸入への対応も気になります。そして、クリーニングトラブルの場合、表示の問題なども現実に多くあります。随時、相談内容が公表されると参考になりますがどうでしょうか。また、そこそこの期間にわたって窓口が開設されるとやめるのも難しくなるかもしれませんね。
・何よりも「消費者庁越境消費者センター」という名称が分かりにくい。せめて、「海外ショッピングトラブル相談センター」にでもしてほしかったですね。

※とにかく、消費者センターにとっては、海外とのトラブルの対応は困難を極める、というより受け付けないことが多いので、紹介先ができることは非常に助かる話です。しっかり、振れるように、資料を読んでおくことをおすすめします。

相談受付アドレスは、こちらです。
http://www.cb-ccj.com/

多重債務の手引き

金融庁から、今年の8月31日に「多重債務相談者の手引き」という相談対応マニュアルが出されています。
平成20年3月に「多重相談者対応マニュアル」に発行されていたマニュアルの改訂版です。
金融庁のHPにも170ページの全文が掲載されダウンロードすることができますが、センターによっては国から冊子として送付されているところもあると思います。

マニュアルでは
多重債務の相談を受ける心構え、相談対応の流れ、カウンセリング方法
多重債務の背景や貸金行法の解説
債務処理の方法
資金貸付制度、生活保護制度

などが詳しく解説されています。
「この手引きは、相談者の話に耳を傾け、相談者の状況・心理状態を受け止め、適切な解決方法を示していくという観点から作成されています」と書かれています。

金融庁
> 金融庁の政策
http://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/index.html
「多重債務者相談マニュアル」を大幅に改訂し公表しました(23年8月31日)
http://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/20110831-1.html
「多重債務者相談の手引き」(PDF:3,217K)
http://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/20110831-1/01.pdf

多重債務の相談を受ける範囲はセンターによって異なると思いますが、多重債務のことや対応方法について学ぶだけでなく、日常の消費生活相談にも活用できるコミュニケーションスキルがちりばめられていますので、一度は目を通していただけたらと思います。

コミュニケーションに関する部分を一部抜粋します。

10ページ
【心構え:その2】
大切なのは、「今から一緒に解決していきましょう」という姿勢です。
まずは、職員や相談員が「借金問題は必ず解決できる」ことを伝え、相談者を安心させることです。これまで誰にも頼ることができなかった相談者が安心を得ることで、自らの借金問題に向き合うきっかけをつかむことができます。また、相談者が「頼りになる」と感じることで、職員や相談員に心を開くようになります。

11ページ
話を聴く姿勢を相談者に示しましょう。
相談の基本は相談者の声を「聴くこと」です。相談者の置かれている状況が明らかにならなければ、適切なアドバイスもできません。そのため相談者が安心して、心を開いて、自ら抱える借金や家族関係などを説明できる状況を作り出すことが何よりも重要となります。そのためにも「私はあなたの話を聴きます」という姿勢をはっきり示すことが大切です。
また、相談者から聞いた内容は、債務整理や生活再建を進めていく上でとても重要な情報です。相談カードを利用しながら丁寧に話を聞いていき、しっかりと整理しておきましょう。

44ページ
心の問題、心のケアへの対応
適切な相談対応
・穏やかな対応を心がけましょう。
・性急に口を挟まず、まずは相談者の話や言い分をじっくりと聞き、相談者の置かれている状況を把握するようにしましょう。
・安易な励ましや安請け合いは避けましょう。
・相談者が、明らかに不適切なことをしていても、批判せず、「そうせずにはいられなかったのですね」「今は後悔しておられるのでしょうか」と中立的に受け止めましょう。
・相談者が自分に都合の良いように話すこともよくあるので、言うことを鵜呑みにせず、客観的な情報の収集に努めましょう。ただし、信じている態度で接することが必要です。相談者に信じていないと思われた場合、相談対応に支障が生じるおそれがあるためです。
・嘘をついている、思いこみで話していると思われる場合は、「あなたにはそう思えるのですね」「あなたの言うとおりなら、大変ですね」のように受け止めましょう。
・妄想がひどいと思われる場合も、当事者にとっては、体験されている深刻な問題によるものである場合があります。相談者の話を否定してしまうような言動は避けてください。この場合、上記のとおり対応しつつ、早めに専門家につなぐようにしてください。

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