「地域体制の在り方」意見交換会 第4回(2013/12/13)

消費者の安全・安心確保のための「地域体制の在り方」に関する意見交換会(第4回) 2013年12月13日
開催分について、配布資料が掲載されていますので、相談員関係の部分を紹介します。

消費者庁HP
ホーム > 地方協力課 > 消費者の安全・安心確保のための「地域体制の在り方」に関する意見交換会
http://www.caa.go.jp/region/anzen_anshin.html

第4回 消費者の安全・安心確保のための「地域体制の在り方」に関する意見交換会(平成25年12月13日)

引き続き、意見交換会の報告書の修正作業を行っています。
近いうちに最終報告書が出ると思いますので、今回の細かい変更については省略し、最終報告が出てからコメントしたいと思います。
資料2 消費者の安全・安心確保のための「地域体制の在り方」に関する意見交換会報告書案
見え消し[PDF:551KB]http://www.caa.go.jp/region/pdf/131213_shiryo2-1.pdf
溶け込み[PDF:525KB]http://www.caa.go.jp/region/pdf/131213_shiryo2-2.pdf

また、第3回の意見交換会の概要は掲載されていましたが、議事録はまだ掲載されていませんでした。
参考1 第3回意見交換会概要[PDF:157KB]http://www.caa.go.jp/region/pdf/131213_sanko1.pdf

今回の資料に中でも、NACSの資料を紹介します。
資料5 有山委員提出資料[PDF:270KB]http://www.caa.go.jp/region/pdf/131213_shiryo5.pdf

冒頭で、先日紹介したNHKのニュースについて書かれています。

はじめに
昨日のNHKの報道「相談員の国家資格設置」を見ました。大変驚くと同時に怒りにも似た思いをもちました。「相談員の国家資格設置」についてはこの意見交換会の意見を伺いながら決めていきますと当初から言っていたことは何だったのか、13日の最終検討会の意見も待たずに結論ありきとなっている状況は、この委員会の意義すら認めていないということになります。結果、上記(案)については、透明性を欠く内容と思えることから、(案)の作成自体を保留にしていただきたく強く要望します。更に、検討する内容も多岐にわたり、4回の議論で結論を出すにはあまりにも拙速すぎるし、合意形成も難しいと判断します。

⇒おそらく国がリークしたのではないかということですが、何より結論ありきで動いている国に対する怒りでしょうね。この議論自体を白紙に戻せというところまで言ってます。このあたりは国のよくやるやり方であって挑発には乗らずに冷静に対応したいものですね。

(3)さらに、当協会の会員である、消費生活センターの消費生活相談員に当該意見交換会の開催状況を説明したところ、
・報告書(案)で「消費生活相談員の資質の向上等を図るためには、国民生活センター、地方公共団体、民間団体による研修・講座の活用・充実等を図るほか、消費生活相談員が研修に参加しやすい環境作りを含め、研修等の機会を増す必要がある。」 と示されています。まさに今消費生活相談業務に従事している相談員の資質向上に必要なので、新たな資格ではなく、充実した研修を業務の一環として受けることができる環境の整備である
・研修・講座の充実だけ図っても、全国の相談員が、業務の一環として継続した研修を受けられる体制は整っていない。地方自治体の財政が逼迫している現状で、国の活性化基金がなくなると、更に相談員が業務の一環として研修を受ける機会は少なくなると思われる。
・このような状況で、相談員資格だけ新たに国家資格になると、地方自治体は、国家資格を持つ相談員に、地方自治体の予算で業務の一環として、充実した研修を受けさせるだろうかという懸念もある。
・地方消費者行政を充実させるためにも、相談員の資質の向上を図るには、相談員の国家資格を検討する前に、相談員が業務の一環として充実した研修を受けることができる体制を整備が喫緊の課題と思われる。
・消費生活相談員の現場(実情)を見ずして頭越しに短期間で資格の問題を討議することは遺憾である。
・現場感覚を蔑にした上辺の議論で決めることだけはしないでほしい。
以上の意見が多数でした。

加えて、相談員と共に現場を預かる消費生活担当職員の少なくない声も、「資格のみ与えられてそれでどうなるの?」という懐疑的意見も多く、消費者庁には「現場を踏んでの議論であることが求められる」という声を認識していただきたく思います。

⇒もっともな現場の意見が出されています。ただし、私がこの資料で疑問に思うことが、現場の相談員の意見をピックアップして並べただけであって、このような意見があるのでNACSとしてこう考えるというものがありません。もしかすると議論の中であったのかもしれませんが、ただ単に都合のいい(?)意見を並べるだけではダメです。現場での声を認識して欲しいというだけではなくしっかり、NACSとして、それを受けた見解を出すべきですね。

⇒もう結論は出ていて、公表するだけの段階だと思いますし、基本的にはこれらの案どおりということでしょう。
今後、これらをもとに、法案を作成して、国会に提出し、法律が改正され、新しい制度が発足するということになります。
気になるのはスケジュールですが、年明けの通常国会での成立を目指すということで、実は通常国会というのが長期間にわたっておろ、次回は26年1月中旬から下旬になるようで、そこから150日間ですので、7月末ごろまでということになります。
まず、消費者安全法が改正され、同施行例・施行規則が改正され、登録試験機関制度が明確になるというのが流れでしょう。その後に、登録機関の申請と審査と認証があるわけですから時間がかかると思います。何よりも、登録の応募があるかどうかということも問題でしょう。何万人も受験するような試験ではないので、受験料収入も多くなく、試験を実施する経済的なメリットがあるかどうかというところです。また、あり方が問題になっている国民生活センターが、試験を実施するのかどうかも分かりません。そうすると、受験者が困るわけで、通常であれば問題作成などもあるので4-5月ごろには方針が決まっていなければなりません。国民生活センターの位置づけが変わり、試験が実施できないようになることも考えられます。アドバイザー資格についても消費者法関係の分野は簡単すぎるので、難易度を高くする必要がありますし、そのためだけに試験制度を変えるのも無理があるし、とにかく26年度はどうするのでしょうね。考えれるとすれば、速攻で法律改正となり、年度内には、出揃って、4月1日付で施行し、26年度から新たな制度を実施するというパターンと施行は26年度途中になり、実質的には27年度から新しい制度に切り替わり、そのため26年度は、これまでどおりとなるパターン。実は勉強部屋の行方とも直結しており気になるところですが待つしかないですね。

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「地域体制の在り方」意見交換会 第3回(2013/12/6)

消費者の安全・安心確保のための「地域体制の在り方」に関する意見交換会(第3回) 2013年12月6日
開催分について、配布資料が掲載されていますので、相談員関係の部分を紹介します。

消費者庁HP
ホーム > 地方協力課 > 消費者の安全・安心確保のための「地域体制の在り方」に関する意見交換会
http://www.caa.go.jp/region/anzen_anshin.html

資料1 消費者の安全・安心確保のための「地域体制の在り方」に関する意見交換会報告書案[PDF:171KB]
http://www.caa.go.jp/region/pdf/131206_shiryo1.pdf

資料3 新・消費生活相談員資格制度の施行イメージ[PDF:138KB]
http://www.caa.go.jp/region/pdf/131206_shiryo3.pdf

今回は具体的な報告案が掲載されています。前回議論から修正した部分が下線部であり、これをたたき台にして第3回の議題とし、第4回で最終決定するのだと思います。
相談員資格に関係する部分を抜粋します。

はじめに

他方、消費生活相談の現場では、依然として、消費生活センターを未設置の地域や消費生活相談員が不足している地域も存在している。また、消費生活の多様化等に伴い、消費生活相談が広範化・複雑化・高度化していることなどから、消費生活相談員の更なる資質の向上が求められている。

Ⅰ.消費者問題と地方消費者行政の現状

2.地方消費者行政の現状
(2)消費生活相談員
消費生活相談やあっせんに対応する専門職である消費生活相談員に関して、現在は3つの資格がある。地方公共団体において消費生活相談員は平成24年4月時点で3,391人おり、このうち約8割(2,569人)がいずれかの資格の保有者であるが、資格取得者の約7割は、関東・中部・近畿の地方公共団体で占められており、地域的な偏在がみられる。
また、消費生活相談員には、消費者問題に関する法律知識を始め、商品・サービスの内容や消費生活に関する幅広い知識を有していることが求められているが、悪質商法の手口の巧妙化や消費生活相談の内容の多様化・複雑化から、従来にも増して、消費生活相談員の資質向上が求められている。

Ⅳ.「地域体制」づくりのための方策

4.消費生活相談員及び消費者行政担当職員の確保と資質向上

※消費生活相談員及びその資格制度については、消費生活相談員資格の法的位置付けの明確化等に関する検討会「中間報告」を踏まえて、その内容を具体化する観点から取り組むものとする。

(1)「消費生活相談員」の職の位置付け
情報や交渉力等において事業者との間に構造的格差のある消費者を支えるのは、消費生活相談の現場にいる消費生活相談員であり、その質の水準の確保と向上は、消費者の権利の尊重及び自立の支援のために不可欠である。
また、現行法制上、消費生活相談員は消費生活センターの設置に関する要件として規定されているのみであり、その位置付けが不明確であることから、事業者に資格を保有していることを伝えても理解を得られず、あっせんにおいて支障が出る等の問題が生じている。加えて、消費生活センター以外にも消費生活相談を担う専門職は配置されているものの、法令上の位置付けは明確ではない。
このため、地方公共団体において消費生活相談等を行う者としての「消費生活相談員」職を法律に位置付けることが適当である。

⇒資格職を法律に位置付けることは行政のほかの専門職でも実施されていることなので、特に問題はないと思います。ただし、その職についていることだけが要件であることも多く、その職につくことに対して資格が必要な場合は必然的に要件となります。今回は単に職についているということではなく、新たな制度に基づく相談員資格を有していることが要件となるということですね。正規職員でもないのに、そこまでハードルを上げてどうしたいのでしょうか。それなら、相談員は行政職員として正規採用職員が担うことにするのが一番の正論だと思います。それが無理なら、非正規でも最低時給2000円ぐらいのインセンティブは付与してもいいのではないでしょうか。

(2)任用資格としての消費生活相談員資格の在り方
現在、消費生活相談員を配置する市町村は、65%である。また、消費生活相談員のうち資格保有者の割合は、南関東や近畿では約9割であるのに対し、北海道では約4割、四国では約6割にとどまるなど、地域的な偏在が見られる。
消費生活相談員の任用に関する3資格については、
・いずれも試験又は講習のみで資格が付与される、
・コミュニケーションスキル等の実務に要する技術の担保が十分ではない、
・知識中心の試験に合格しただけで実務を知らずに資格が付与される
等の課題が指摘されている。

このため、消費生活相談を担う人材の確保や資質の向上を図り、消費者等にとって分かりやすく、かつ、消費生活相談員に必要な知識、技術等を十分に担保する新たな資格を創設し、法律に位置付けることが適当である。

消費生活相談員は、現状に鑑み、消費生活相談員資格試験に合格した者又はこれと同等以上の専門的な知識及び技術を有する者から任用することが妥当であるが、消費生活相談員試験に合格した者と同等以上であると判断することが可能となるよう、消費生活相談員資格試験の内容等を法令上明らかにする必要がある。また、消費生活相談員が、専門職として社会的に認知され、信頼を得る上でも、消費生活相談員の職とその任用要件を明確にすることが求められる。
また、現に消費生活相談が行われている現場において混乱が生じることがないよう、現在の消費生活相談員に関する3つの資格については、消費生活相談員の任用要件として規定し、その資格保有者が引き続き消費生活相談業務を担えるよう円滑な移行に関して必要な措置を講じることが求められる。

⇒とにかくハードルを高くしながら現職相談員は優遇されるという矛盾点は資格の権威を落とすものだと思います。つまり、これまでさんざん相談員の資質の向上が課題だといいながら、現職はもれなく実務能力があるので優遇すると考えることが矛盾しています。

(3)消費生活相談員資格試験制度の在り方
消費生活相談員には、消費者問題に関する法律知識、商品・サービスや消費生活に関する知識、福祉などの関連分野や行政一般に関する知識が求められる。また、コミュニケーションスキル、ヒアリング力、交渉力、法律の活用力、文章作成力などの実践的な技術も求められる。このことから、資格試験では、筆記試験及び実技試験等により、消費生活相談員に求められる知識と技術を確認することが考えられる。
消費生活相談を担う人材の裾野の拡大を図るため、消費生活相談員資格試験の実施機関については、一つの団体に限定せずに、つまり一定の要件を明示し、その要件を満たせば、複数の団体がそれぞれ試験を実施できるようにするべきである(登録試験機関制度)。その際、消費者問題に関する民間の活動に係る資格であっても、要件を満たすものであれば、積極的に認めることが求められる。また、試験の科目や実施方法等については、公平性と水準を担保する観点から法令等で基準を定め、適切に運用することが適当である。
また、地方における試験・講習の受験・受講機会を十分に確保するなど、地方においても円滑に資格を取得できるようにすることが必要である。地方を中心に3資格のいずれも保有していない消費生活相談員が一定数いる状況にあることを踏まえ、今後、資格取得を促進するための措置について検討する必要がある。

⇒複数の試験制度があれば、難易度も異なるうえ、受験者数はそれほど多くなく、新たに参入するメリットもないので、結局は、今の試験に実務試験を加えただけの同じような状態になるのではないかと思います(国センが続けるか、全相協が名乗りを上げるか)。当初は消費者センター以外の民間の相談員にもメリットのある資格にするという理念があったのに全く触れられなくなりましたね。複数の試験があっても出題者は同じになるということもありえますね。差別化できないなら試験自体が後退していきます。

(4)消費生活相談員の知識・技能の更新と向上
消費者問題については、関係する法律や制度、商品・サービスが時間が経つにつれて変化するため、消費生活相談員の知識を絶えず最新の情報に更新し、向上させていく必要がある。
資格制度は、消費生活相談員に求められる知識及び技術のレベルに受験者が達しているかを確認することを目的として実施されるものであること、及び資格を保有していない消費生活相談員が存在することなどから、消費生活相談員の資質の向上等を図るためには、資格制度とは別に、研修等の充実等を図る必要がある。
消費生活相談員の資質の向上等を図るため、国民生活センター、地方公共団体、民間団体による研修・講座の活用・充実等を図るほか、消費生活相談員が研修に参加しやすい環境作りを含め、研修等の機会を増やす必要がある。

⇒研修の充実は最も大事ですが、結局は思っている研修が実施できるかどうかですね。基金でこれだけ研修を実施してきたのに現実にどう評価できるのでしょうか。すでに取り組んでいる研修を再度言い出しても根本的な解決にはつながりにくいと思います。動き出せば分かることでしょうね。

(5)実務経験を積んだ専門的人材の配置
都道府県の機能としての市町村に対する助言や共同処理等の援助を担うための職(「特定消費生活相談員(仮称)」)を都道府県に設けるものとし、その職には、一定の実務経験年数を有し、消費生活相談員資格試験に合格した者の中から任用する仕組みとする。
また、市町村においても、当該職を担い得る知識と技術、経験を有する者がいるのが望ましいことから、他の消費生活相談員の資質の向上等のための取組に、こうした人材を活用していくことも重要である。

⇒特定消費生活相談員は相談員の神様のように扱われるのでしょうか。現実とのGAPが出てきたとき、制度が崩壊してしまいかねませんね。国が直接採用する国家公務員になれるというのであれば魅力的ですが。

(6)雇い止めの見直しと処遇の改善
消費者に対して適切かつ迅速な消費生活相談等の対応を行い、かつ消費者教育等を推進していく上で、消費生活相談員が日々の研鑽と消費生活相談対応の積み重ねにより獲得した知識と技術、経験を生かせる環境作りが不可欠であり、若手の消費生活相談員の確保・育成にもつながるものである。このため、地方公共団体においては、消費生活相談員の雇い止めを見直すとともに、その資質や実績等に応じて適切な処遇がなされることが求められる。

⇒非正規の雇用の問題は相談員だけの問題でなく、ほかの職種とあわせた日本の雇用の問題だと思います。もちろん、正規職員として行政が採用するという規定を法律に定めれば問題解決なんですけどね。

資料5 有山委員提出資料[PDF:258KB]

http://www.caa.go.jp/region/pdf/131206_shiryo5.pdf

⇒NACSの意見ですが現実的な論点が非常によくまとまっています。ぜひ読んでください。
国はこれらを分かっていながら、新たな試験を強引に実施するのでしょうね。

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