コンプガチャの計算

コンプガチャが分からない方へ
ソシアルゲーム・ネットワークゲーム・カードなど想像しにくい言葉が理解を難しくしているのかもしれません。
身近な商品で考えてみます。

子どもをスーパーに連れて行ったときに100円のガシャポンをねだられたことがあると思います。
ポケモンのキャラクターの人形のカプセルだとします。
全部で10種類あるとします。
子どもは全種類ほしいとまではねだらないですよね。
1回だけよ、と説得します。
もし、それぞれのカプセルに入っている説明書にキャラクターの番号が書いてあって、全10種類分を集めると、もれなくポケモンの人形を入れるケースがもらえるとします。
1回100円のカプセルは通常の取引であって景表法上の景品とはなりません。
ところが、人形を入れるケースは景表法上の景品となります。
しかも、これを手に入れるためには、何が出るか分からないカプセルを10種類集めるまで買い続けなければなりません。
この10種類集めたらもらえるというのが、「2以上の異なる付票」に該当し、景表法に違反するということです。
現実には、それぞれの説明書についている共通の応募券を1枚もしくは複数枚集めてプレゼントに応募するというのは景品の金額さえ問題なければ景表法に違反しません。

ガシャポンのカプセルなら種類は知れてるし、知り合いからもらうということもできますが、今回のゲームの場合1回300円のカードの200種類ほどの中から特定の7種類を集めるというレベルであり、これらのカードはカード交換できないというもので、無限地獄に陥ることが想像できます。コンプガチャは期間限定のイベントで行われることが多く、1回のイベントで軽く10万円以上使ってしまうこともざらです。

では実際にいくらぐらいのお金が必要なのかを確率の世界で計算してみました(間違ってた場合はすいません)。

ポケモンのパターンを計算してみます。
全10種類をすべて集めるパターン
1個目は10/10=100%で100円×1回=100円
2個目は9/10=90%で100円×10/9(1.1回)=110円
3個目は8/10=80%で100円×10/8(1.25回)=125円
以下省略
合計約3000円30回で全10種類がそろいます。

全10種類のうちの特定の3種類を集めるパターン
1個目は3/10=33%で100円×3.3回=330円
2個目は2/10=20%で100円×5回=500円
3個目は1/10=10%で100円×10回=1000円
合計約1800円

全100種類のうちの特定の5種類を集めるパターン
1個目は5/100=5%で100円×20回=2000円
5個目は1/100=1%で100円×100回=10000円
合計約22900円

今回のゲームのように1回300円であれば単純に3倍になります
例えば100種類のカードから5枚をそろえる組み合わせは、1回300円で100枚のカードの出現確立は同じでダブりも当然ありとすると
1枚目が5/100=5%で20回(300円×20回=6000円)で出現、
2枚目が4/100=4%で25回(300円×25回=7500円)で出現、
3枚目が3/100=3%で33回(300円×33回=9900円)で出現、
4枚目が2/100=2%で50回(300円×50回=15000円)で出現、
5枚目が1/100=1%で100回(300円×100回=30000円)で出現、
したがって、合計69000円でコンプリートです。
100枚で5枚集めるというのは甘い設定で、実際には200枚から7枚~4枚集めるというのが主体だと思います。

200枚から7枚集めるの場合は
1枚目が7/200=3.5%で28回(300円×28回=8400円)で出現、
2枚目が6/200=3%で33回(300円×33回=9900円)で出現、
3枚目が5/200=2.5%で40回(300円×40回=12000円)で出現、
4枚目が4/200=2%で50回(300円×50回=15000円)で出現、
5枚目が3/200=1.5%で67回(300円×67回=20100円)で出現、
6枚目が2/200=1%で100回(300円×100回=30000円)で出現
7枚目が1/200=0.5%で200回(300円×200回=60000円)で出現
したがって、合計155400円でコンプリートです。
4枚集めるにしても125100円です。

特に最後の数枚をそろえるのが至難のわざとなっており、あと1枚なのに出てこないのは操作されているのではと思ったりしますが、冷静に確立を考えれば分かることです。

細かい四捨五入は勘弁してください。
結局は小遣いの範囲を軽く越えていますね。
実際にコンプするのに何万円もかかっているという個人ブログの記事は山ほどあります。

ちなみに、私は100円のカプセルのリアルのガシャポンをコンプリートするのにネットオークションで最初から新品のセットになっているものを購入します。
送料込みで定価よりも安かったりしますし、最近は秋葉原などのキャラクターショップにコンプリートで販売されているものもあります。

「カード合わせ」に関する景品表示法(景品規制)上の考え方(平成24年 5月18日公表)

「カード合わせ」に関する景品表示法(景品規制)上の考え方の公表及び景品表示法の運用基準の改正に関するパブリックコメントについて』が平成24年5月18日に公表されました。
消費者庁HP
ホーム > 表示対策課
http://www.caa.go.jp/representation/index.html
<その他の景品表示法関連の公表資料>
http://www.caa.go.jp/representation/index.html#m01-6

「カード合わせ」に関する景品表示法(景品規制)上の考え方の公表及び景品表示法の運用基準の改正に関するパブリックコメントについて
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/120518premiums_1.pdf
(一部抜粋します)

オンラインゲームの「コンプガチャ」と景品表示法の景品規制について 平成24年5月18日 消費者庁

4 景品表示法上の問題点
(2) 「コンプガチャ」に関する景品表示法上の考え方
ア 景品表示法上の考え方
「コンプガチャ」は、異なる種類の符票の特定の組合せを提示させる方法に該当し、懸賞景品制限告示第5項で禁止される景品類の提供行為に当たる場合があります。

「コンプガチャ」については新聞テレビで大々的に取り上げられたので、ご存知だと思います。
「コンプガチャ」がどういうものかも知ることになったのではともいますが、いまいちピンとこない場合もあるかもしれません。
禁止されるべくして禁止されたという感はありますが、私は冷ややかです。
みなさまも、この通知を読んでみても、ひとごとのように感じるかもしれません。

思ったとおり、「コンプガチャ」自体は自主的に即効でなくなりました。
問題の本質は別のところにあると思いますが、これらの問題も含めて、別の機会に記事にしたいと思います。

三者面談の注意点

三者面談とは、事業者と消費者にセンターに来てもらって、センターを交えて話し合いをすることです。
三者面談の目的には2種類あると思います。
①センターが積極的にあっせん解決を図ろうとするもの。
②消費者と事業者の言い分がまったく食い違い手がつけられなくなったので仕方なくセンターで話し合いの場を作るもの。

まず前提として頭においておかなければならないことは、「消費者と事業者には情報や交渉力の格差がある」ということです。
したがって、しゃべりのプロである事業者に消費者は言いくるめられる可能性があります。
そこで、センターは中立の立場であるものの、その格差を埋めるために消費者への力添えをする必要があります
一方、相談員自身も言いくるめられることもありますし、事業者が複数の男性で訪問してくる場合もあり、女性の相談員には荷が重いときもあります。

相談員として、三者面談にあたり、しっかりと準備しておく必要があります。
単に言い分をぶつけ合わせるだけでなく、お互いの主張を整理して、最終ゴールであるあっせんに向かわなければなりません。
その場で判断するのは難しい面もありますので、事前に何が論点になり、どのような展開にもって行き、最終的な落としどころをどうするのか、ということをシミュレートしてから面談にのぞむことが重要です。

①センターが積極的にあっせん解決を図ろうとするもの

この中には、大きく3つのパターンがあり、あっせんするときにはどの類型に属するのかを自覚しておくことが大切です。
(1)両者の言い分がほぼ合致しており、面談して直接説明する
・・・特に問題なし(感情的な発言があっても、反論せず受け止めることが大切)
(2)事業者の言い分が正しく、事業者とセンターで消費者を説得する
・・・消費者へ論理的に理解できるよう説明する。そのために事前に事業者の報告を相談員が理解し消費者に説明できるレベルに落とし込んでおく。消費者の感情的な部分については受け止めることが大切。消費者が納得しない場合は法律相談などの第3者の見解を聞いてみるように助言することもある。
(3)消費者の言い分が正しく、センターと消費者で事業者を説得する(対決する)
・・・法令や過去の事例から事業者に対して毅然として通告し、交渉するための説明を考えておき、事業者に揚げ足取りをされないように注意する。場合によっては、行政処分につながる可能性も示唆する。ただし、一方的な勝利を目指すのではなく、何らかの妥協点を見つけ出すほうが、うまくいきやすい。

そのほかに、事業者や相談者の主張の一部が食い違うことがあります。言った言わないの世界もありますし、録音していることもあります。その発言の一字一句再現して争うことが、果たしてあっせんにつながるのかをセンターとして考える必要があり、細かい言い分の違いがあっても、最終的にあっせん解決できるような方向に持っていくことが重要です。案外、細かい「言った」「言わない」にこだわる相談員や消費者・事業者がいますが、それを突き詰めると、お互いに引けなくなってしまい、あっせん不調という結果になってしまうこともあります。
困難事例のセンターでのあっせんは、両者の落としどころ・妥協点を見つけて、多少の不満はあっても、勝ち負けを決めずに納めることが「Win-Win」の関係になると思います。
センターのあっせんは裁判のように主張の一つ一つに白黒つけるのではなく、全体としてお互いの妥協点を見つけ出して解決することです。
この落としどころのポイントについては別途記事を書きたいと思います。

まとめると、センターとしてあっせんでどのような結論にもっていきたいか、事実関係の確認と妥当性を論理的に説明できるように、事前にシミュレートしておくことが大切で、それぞれの3者の感情のぶつかり合いが起こらないように注意することです。特に、相談員自身は感情的になることなく、冷静に立ち会ってください。また、3者面談の場で一方的な言い合いにないように傍観せずコントロールしてください。

さらに、感情のぶつかり合いになったときに、もしくは、なりかけたときに、結局は事業者のほうがプロですので口は上手く、消費者は言いくるめられまいと感情をぶつけてしまい、こぶしを下ろせないようになってしまいます。あっせんが上手くいかなければ、相談員が、さらに困難になったあっせんを再度しなければならなくなります。
相談員は傍観するのではなく、このような事態にならないように配慮してください。

②消費者と事業者の言い分がまったく食い違い手がつけられなくなったので仕方なくセンターで話し合いの場を作るもの

相談者に「センターは何もしないのか」などと言われ、「相談員が「センターで話し合いの場を作ることができます」とし、基本的には消費者と事業者の2者で話し合いをしてもらい、センターは聞くだけのパターンがあります。しかし、相談者にとって、センターで話し合いをすることは当然センターが味方になって助けてくれるという期待感を持ちます。
センターとしても両者の言い分が平行線のままで、間違いなく「あっせん不調」になることが分かっていたとしても行う3者面談では、最終的に相談者の不満はセンターや相談員に向けられます。以前に解説したバランス理論からも分かるとおり、相談者がセンターの対応を非難することで相談者の感情のバランスが保たれます。センターが攻撃されることを覚悟しておいてください。また、それに対する対応に問題があった場合は、センターの苦情に発展することも覚えておいてください。

最後に争いが考えられる3者面談では、複数の相談員で対応したり、職員に同席してもらうことも必要です。
これは、それぞれのセンターの人的充実や職員のレベルの違い、相談員と職員との温度差により違ってきます。
環境が整っているセンターでは大いに同席を活用していただいたらいいと思いますが、同席が期待できないセンターでは必要であれば都道府県担当者や国センに相談するなど事前準備をしっかりしておいてください。
(以上)