光回線の工事遅れ(後編)

前回の「光回線の工事遅れ(前編) 2014年2月24日(月)https://soudanskill.com/20140224/873.html」からの続きです

クレームといえるのかは別として、この種の苦情の対応については、どのような性質のものかというのを分けて考える必要があります。
緊急性を要するものか、単に対応が遅れているだけなのか。
緊急性を要するものが、事故や不具合に対する初期対応です。これは具体的に被害(危害)が発生しているため迅速な対応が必要です。
今回の私の事例は、被害は発生していませんので緊急というほどではありません。緊急時対応については機会があれば記事にしたいと思います。

今回は対応の遅れにあります。
対応の遅れについても、「人為的な遅れ」と「不可避な遅れ」とがあります。
「人為的な遅れ」は、上司に報告していなかった、放置していた、書類を作るのが送れたなど、直接クレームを倍増させるものです。
「不可避な遅れ」は検査機関に依頼しているので報告待ちの時間が必要、担当者や工事業者の日程が目いっぱいで順番にこなしているのでおくれてしまっているというものです。

また、クレームのゴールとするものを確認しておきます。
2つのパターンが考えられます。
1つは遅れることは容認するので何らかの特典(料金割引や商品、商品券などの目に見える利益)を要求する。
もう一つは、とにかく早く対応してもらう。
(その両方を要求する)

しかし、何らかの特典は会社のシステム上難しいことが多いので、これを要求している消費者に「あっせん」するのは非常に難しいので避ける方向で話を進めた方がいいです。
とにかく、早く対応してもらうことを「あっせん」で引き出し、それを「特典」として消費者に示すことで、怒りの矛先を変えるのです。
目に見える利益から、費用のかからない現象に転嫁させるのです。

さて、私の場合はとにかく早い工事が目的です。
作戦として、こんなに時間がかかるのは、「人為的な遅れ」があって、書類が滞ったのではないかと攻めていくパターンです。
そこで、書類申請上難しいといわれたら、「直接、会社や役所に乗り込んで直接依頼や持ち回りをする」とごねる作戦を考えました。
まあ、ごねるかどうかは最初の対応次第ですが。

強硬姿勢はいい結果を招かないことは常です。
一番ベストな方法は、まずは、一歩引いて「お願い」するのです。
そのときに、どうしても工事を早くしなければならない理由と非常に困っていることを切なく訴えるのです。
この中に少し相手の対応に対するいやみを混ぜるのも効果的です。

私の場合、法人設立を予定していて、様々手続に光電話の新規電話番号が必要であり、さらに、事業を始めるにあたって、3月中旬にはチラシなどに電話番号を記載し印刷して配布する予定であり、困っていることを訴えました。
また、1月に相談電話をしたときに3月1日開通の希望ならすぐに申し込んでほしいということで申し込んだことを説明し、軽くいやみを混ぜました(会社側にその記録が残っていました)。
さらに、その日の最後の工事の追加で工事は夜になってもいいので何とかしてほしいと。
とりあえず、これで相手の出方を伺いました。

まず、翌日に、担当者から確認の連絡があり、工事については工事会社に依頼中であるが、電話が必要なら先に番号を交付して、工事が終わっていない間は、もう一つの自宅の電話に会社側の費用で自動転送する仕組にできることを説明され検討してほしいといわれました。
私は、それは最終手段として、お互いに面倒な方法は避けたいので、せめて3月中旬には工事をしてほしいと伝えました。

その翌日に、工事業者と調整がつき、工事が早められるとの連絡があり、一番直近で可能な3/4午後を選びました。仕事を休まなければなりませんが、この日程調整で面倒なことになるよりも、一番早い相手の都合のよい時間帯を選びました。これも、早い問題解決の方法の一つです。早めの工事が可能になったのに日程調整でもめると意味がありません。
ということで、思ったとおりの工事日程に変更してもらうことができました。

今回の交渉で私が終始穏やかに話ができたのは、ひとえに、事業者の対応が丁寧だったことです。
もし、そうでなかったら、直接乗り込む作戦に出たかもしれません。
ただ、工事日程の調整は何とでもなると思うので、言わないより言った方がいいです。
工事自体は下請けに出しているので無理はきいてもらえると思います。

ポイント
・とにかく、けんか口調にならず、「お願い」の姿勢と「困っている」気持ちで同情を持ってもらい、担当者に何とかしてあげたいと思わせる。
・何らかの条件が引き出せたら、できるだけ相手の意向に沿えるように調整する。
※これは消費者の立場だけでなく、相談員としての立場でも同じだと思いますし、事業者も同じ気持ちだと思います。
みんな同じ人間なので、クレームとして嫌な思いをしながら対応するのではなく、みんなが何とかしたいという思いで解決にあたれば、最後は、利害関係者すべてが「ありがとう」の気持ちで終われると思います。無茶だと思うあっせんでも、このような気持ちで事業者と話すことがいい解決へとつながるのではないでしょうか。
※実際には強い口調で事業者に連絡する相談員もいると思います。プライド感・正義感、行政という強い立場からの上から目線、消費者に強く言われたために同じように強い口調になってしまう場合など、思っていてもやれないこともあるので留意しておいてください。

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光回線の工事遅れ(前編)

光回線を導入したときの流れは
申込み→宅内調査の約束→宅内調査→工事日の約束→工事(開通)
となります。

一般的には1ヶ月程度を目標にしているようですが、早くても1ヶ月、遅ければ2ヶ月以上かかることもあります。
実は工事が遅いという苦情が多いんですね。この苦情は消費者センターに相談があるというパターンのものではありませんが、直接苦情が光回線の会社には多いようです。
この原因として、単に申込が集中しているという問題とは別に、専用線の設置に伴う道路使用許可などの事務的な申請が関係しているようです。
自社の事情とは別のところに原因があるので、工事を早くするのは難しいようです。要するに書類審査する時間的な問題ですね。特に時期的に年度末と消費税アップの時期ですので。

私は長らくADSL回線を使用していたので今回の独立を期に光回線と光電話を導入することにしました。
3月1日から使用できるように考え、また、新しい電話番号を法人の番号にする予定でもありますので、3月の早い段階での開通が必須でした。
特に電話番号については3月中旬から様々なものに使用する予定でしたので影響があります。
開通や法人契約のことなど1月中旬から問い合わせをして、1/26に申込をしました。
まもなく宅内調査の日程調整の連絡があり、2/1に実施しました。
近隣も導入していますし、特に問題はなく調査はすぐに終わりました。後日、工事日の日程調整の連絡があるということです。
3月まで1ヶ月あるし、これなら十分間に合うなと思っていました。
ところが連絡は来ず、問い合わせをしても、しばらくお待ちくださいというばかりです。とりあえず、3/1の開通が必要なことだけは伝えました。

そして、2/20に帰宅したところ、はがきがきてました。
粘着シートを開けて見てみると、「工事は3月下旬の予定です」と書いてました。

一般消費者なら誰でも「これはないでしょう」となりますよね。
クレームの始まりです。
これからの話は、消費者センター的にも関係してくるし、相談員のあっせん能力にも関連してきます。
ここで、このクレームを解決するためにどのように交渉していくかというところが、交渉術でもあるのです。
ここから個人差が出てくるのです。

ゴールは3つぐらい考えられますね。
①工事を早くしてもらう
②解約する
③遅れることに対して何らかのサービスを要求する
④常識を外れた謝罪等を要求する

【結果的に私は工事日を3/4に早めてもらうことになりました】
申込み(1/26)→宅内調査(2/1)→工事日の通知(2/20・・・3月下旬の予定)→工事日の決定(2/22・・・3/4に変更)→工事(開通)(3/4の予定)

具体的に私がどのように交渉したのか、そこから発展して、あっせんするときにどのように交渉すればうまくいくのかを解説します。
(続く)

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「地域体制の在り方」意見交換会 第4回 議事録

最終第4回の議事録ですが、簡単に紹介するつもりが結構なボリュームになりました。かなり、核心をついている議論もあるので、色塗りの部分だけでも目を通していただけたらと思います。

消費者庁HP
ホーム > 地方協力課 > 消費者の安全・安心確保のための「地域体制の在り方」に関する意見交換会
http://www.caa.go.jp/region/anzen_anshin.html

第4回 消費者の安全・安心確保のための「地域体制の在り方」に関する意見交換会(平成25年12月13日)
議事録[PDF:402KB]http://www.caa.go.jp/region/pdf/131213_gijiroku.pdf

第4回議事録より

最初に資格検討会の中間報告のおさらいがありましたので知らない方は復習してください。第3回で質問があった最終報告がない中間報告ですね。
6ページ
○望月消費者制度課企画官 はい、かしこまりました。
それでは、中間報告から先にやらせていただきます。失礼いたしました。
資料4-2をごらんいただければと思います。4-1が概要、4-2が中間報告でございます。
この中間報告でございますけれども、「消費生活相談員資格の法的位置付けの明確化等に関する検討会」を昨年の8月まで約1年程度行っておりまして、そこで出された中間報告です。今の意見交換会でやらせていただいている議論もここのところも反映したものとなっております。これは非常に多岐にわたりますので、要点のみ御紹介をさせていただきたいと思います。
まず、4-2の2ページをごらんいただければと思います。「はじめに」のところでございますけれども、この中で今の制度について書かれております。今の制度でございますけれども、内閣府令で、同法施行規則第7条におきましてそれぞれ3つの資格が明記されております。相談業務に従事する専門的な知識及び経験を有する者の資格として、消費生活専門相談員資格、消費生活アドバイザー資格、消費生活コンサルタント資格の3資格が規定をされております。
ただし、ここにも指摘をされておりますが、こうした消費生活相談に従事する方の資格がどのような要件及び手続により付与されたかは法律上明記されておりません。このような問題意識に立ちましてこの検討会がなされたということでございます。
さらに、この中間報告の中で11ページをごらんいただければと思います。ここは「相談員資格を法律に位置付ける必要性」でございますけれども、それについてまとめたところでございます。11ページの下のほうでございますけれども、ここで書かれておりますのは
① 行政や消費者団体等の民間において行われている消費生活相談の質の向上と全国的な水準の確保を図るとともに、
② 消費生活相談員に対する消費者からの信頼を一層向上させ、また、事業者との関係においても、関係機関との連携を図るにあたっても消費生活相談員が専門職であることをより明確にし、
③ さらに、相談員資格に対する社会的評価を向上させるために、
消費者等にとって分かりやすく、かつ、消費生活相談員に必要な知識・技能等を十分に担保する新たな資格を創設し、法律に位置付けるべきである。
ということが書かれております。
さらに、おめくりいただきまして23ページでございますけれども、「相談員資格付与の主体」について書かれております。ここで出されておりますのは、
今回の相談員資格については、消費生活相談の質の確保・向上を図るために国が消費生活相談員について一定の水準を担保するものであることから、国(内閣総理大臣)が付与する資格とし、消費生活相談実務の動向等を試験等の内容に的確に反映させるなどその内容や水準の確保等について国が責任を持って行う制度とすべきである。
ということが書かれております。
その上で、試験の実施等については、指定機関制度等により民間団体等に行わせることができる仕組とすべきであるが、その場合には、消費者問題等に関して知見を有する団体等が実施する仕組とするとともに、国がその内容や水準の確保、公正性等について法令に基づきしっかりと担保する仕組とすべきである。
という結論が中間報告の段階では出されております。
中間報告の内容はこの程度を御紹介させていただきまして、次に、資料の報告書のほうを御説明させていただきたいと思います。

9ページ
○池本委員 これは、昨日のNHKニュースで、それ自体の放映ではなくて、ネットで確認したのですが、消費生活相談員国家資格新設の方針というニュースの中で、新たに国家資格を設ける方針を固めましたという報道で、その国家資格を設けた後、消費生活センターの相談員にはその資格を持つ人やこれと同等の技量を持つ人だけが採用されることとなりますというような説明があったようなのです。これは前回までの議論と私の理解とも大きく違っているので、そもそもこれは消費者庁が発表された中身なのかどうか。その3資格とは別に新しい資格をつくって、3資格はその他同等の技量を認める程度の位置づけになるという方向をお考えなのか。これも位置づけが全然違ってしまうのではないか。
(中略)
ところが、先ほどのニュースだと、3資格のことはどこかへ飛んでしまって、それと同等の技量があると認められるという、無資格者と同じ評価にしかなっていないように思えるので、消費者庁としてそのような位置づけでコメントされたのかどうかということについて、あるいは、これが間違いなら訂正を求めるべきではないかと思うのですが、その点について経緯をお伺いしたいと思います。
○川口審議官 報道自体は私どももネットで確認したところでございます。経緯は、ここの意見交換会に御出席の先生が一番よく御案内のところだと思います。いずれにせよ、現在まだ御検討いただいているところでありますし、まず、この報告書案に盛り込まれた内容を実現するためには法改正が必要になると考えているところでございますが、消費者庁として法律の改正案を通常国会に提出することを決めたということはありませんので、そういう趣旨でマスコミ等に発表したということはありません。
⇒全く的を得ていない報道がされてしまったということですね。以下ニュースに関連した議論が続いています。
ニュースに関しては過去ログを参照してください
消費生活相談員 国家資格新設の方針(2013/12/12 NHK) 2013年12月13日(金)https://soudanskill.com/20131213/751.html

○池本委員
最後に御説明いただいたところでいうと、ニュース報道は間違いだと私は理解します。なぜ今の報道の表現、あるいは昨年と今回の違いの問題にこだわるか。その根底のところを説明しておきたいと思います。
コンサルタント、アドバイザー、消費生活専門相談員という3つの資格は、本来、行政の窓口、企業の窓口、地域の消費者リーダーという3つの分野全体で消費者政策の中の人材育成という形で構成されているはずなのですが、アドバイザーとコンサルタントは経済産業省が所管して育成していました。残念ながら、地方自治体の予算がだんだん減っていって、地域のリーダー育成のニーズが余りなくなってきた。それから、消費者庁に一元化されたということもあってか、アドバイザーについても、経産省が企業に対して大いに働きかけて、資格を取ってくださいという流れもこのごろはなくなってきた。そのためにその2つの資格の位置づけが非常に低下してきているというのが現状だと思います。そういうこともあり、他方で、全国の行政の相談窓口の相談員の人材を確保するために、3つの資格が相まってその人材供給をやってきたという歴史があるわけです。
そういう中で、現在の議論は、地域のリーダーとか、企業の窓口の専門家という議論は棚上げにして、行政の窓口のことだけ議論している。それでも、従来の歴史を踏まえて3資格が相まって人材を育成してきたというところは尊重しながら、それぞれの3つの資格の試験の水準を底上げするために複数の認定団体をつくるという形であれば、ぎりぎり理解できるかなということで了解してきました。そのようにすれば、例えばアドバイザーは、企業の窓口としての相談対応のこともしっかりチェックし、なおかつ、行政としての相談対応のこともできる。あるいは、コンサルタントでいうと、地域のリーダーとしての力もつけ、行政の相談対応のこともできる。そのようにすることによって、3つの資格がぎりぎり維持されることになるのではないかということです。
先ほどの資料4-2をもう一回ごらんいただきたいのですが、26ページ「今後の課題」の(2)「消費生活相談以外の消費者問題等に関する活動を担う専門家の育成等」ということ。私、昨年もこの検討委員でしたが、地域の中での消費者活動をするリーダー、企業における消費者問題の専門家という議論がされていない、だから、その問題をしっかり議論してくださいということで盛り込んでいただいたはずなのです。ところが、この1年間、この部分は議論されていないのではないでしょうか。
私は、その前、消費者庁ができた後2年間、参与で消費者庁にかかわっていましたが、その2年間も3資格全体のあり方という議論はしていないはずです。そういう状態の中で、先ほどのような報道で、今度新しい資格が出て、それ以前の人は準ずる人だというような評価が流れていくというのは、消費者政策全体の人材育成をどう考えているのかということでは非常な反発を受けると思います。
そういう全体像の中で、3つの別々の認定機関が実施するというのは制度としてはやや妥協的な案なのです。それはわかっているのです。妥協的な案だけれども、過去の歴史を引きずって、きちんと手当てができていないところでの妥協案ですから、慎重に進めていただきたいと思います。
以上です。
○大森座長 私どもは非常に慎重ですけれども、報道が勝手と報道している。だから、報道が間違い。

14ページ
○川口審議官
ただ、今後は、法律ができまして、法律に要件を定めます。要件を定めた上で、それに合うものが登録されるわけですので、現存の試験と全て全く同じかというところは必ずしもそうでない場合があり得るわけです。ただ、今までの歴史を十分踏まえて要件を設定していくということは当然のことですけれども、そういう意味で、今までとった試験とこれから登録試験機関制度で認定された機関が行っていく試験というのは少し違ってくるということ、発展するということはあり得る。
それから、今までの3資格を実施していた主体が登録試験機関になるということは十分あり得るということでございます。主体はあり得るけれども、試験内容がこれからの制度によってちょっと変えていただく必要がある可能性があるということです。

⇒ここは重要かもしれません。専門相談員やアドバイザーが新しい資格の要件を満たすには試験内容を変える必要があるということです。十分成熟しているアドバイザーがたかだか数の知れた行政の相談員のために伝統的な試験内容をあえて変えるとは思われません。専門相談員なら可能ですが国センの行方がまだ不明確です。

16ページ
○有山委員
昨日説明に来ていただいた担当の方の御説明では、この国家資格について、消費者庁が1つの問題を作成し、それを全部の試験機関が使うことになりますと説明を受けました。結局、同じ問題をやるわけですから、同一の日にちにやるしかないわけですね。同一の日にちにやるということは、、アドバイザーとかコンサルタントというのは古い資格ですが、最後に「消費者相談員」という名前の資格があると、消費生活相談は「消費生活相談員がやるべきだよね」という話になってくる可能性があると思います。ますますややこしい。それぞれに特徴があって、今、個性を尊重される時代に、いろいろな考え方で、現場を見ながら現場の人をどう救っていくかというのが私たちの課題なのです。
そういう中で、今回の試験機関も1つという話になると、前回意見交換会でのお話にもありましたように、結果としては3つの試験機関をつくるけれども、1つに試験機関に集約していく方向性なのですという発言が私の中では思い浮かぶのです。そういう方向で制度をつくっていくおつもりなのでしょうかという御質問です。やはり消費者庁が試験問題をつくり、それをそれぞれの試験機関が行うという方向なのですね。
○大森座長 これは重要です。
ちょっとお待ちください。
審議官、どうぞ。
○川口審議官 いずれにせよ、何か決めているということではありません。現状、17ページの1行目、2行目に書いてあります。これは、いずれにせよ、法律に位置づけますと国が責任を持っていく試験になりますから、団体が誰も手を挙げてくれないというのはあり得ることです。そうすると、消費者庁が自分でやっていかなくてはいけないということになります。
ただ、実際に要件を満たす登録機関があれば、複数。複数といっても2つということではなくて、3つでも、4つでも、5つでも、要件を満たせば認めていくことになります。それぞれの試験を実施できるようにするというのがこの17ページ2行目についての理解でございます。
それから、有山委員は前回も今回も、地位のある人がそういうことを発言した、将来1つにしていく方向だということを発言したというふうに二度にわたり御発言されていますが、私どもが承知している限りにおいてそういう発言はないということですので、具体的にいつ誰がどう発言したのかということをお示しいただければ、その点については確認したいと思います。私ども、そういうことについて発言をし得る者においては、一切そういう発言は。「そういう」というのは、複数と書いてあるけれども、将来は1つに絞っていくとか、そういうことはいずれにせよ全くありません。
○大森座長 今のようなことが正確だと思うのです。
○有山委員 ないということですね。
それから、統一の試験問題をつくるというのはもう合意事項なのですか。
○川口審議官 その点について現時点で何も決まっておりません。要するに、全く同じ問題ですと同じ日に試験をやるしかないということになってしまいますので、それは問題があると思います。ただ、一定の水準を保っていくということは必要です。法律を満たした試験をどのようにつくっていくかということは、今後、法律の中で具体的に、まさに行政の相談員としての部分について一定の水準を保っていくような仕組みは工夫していく必要があると思いますが、そのやり方についてはこの意見交換会の後、よく考えていく必要があると思います。
ただ、それは、恐らくは法律の問題ではなくて実施段階の問題だと思っています。法律にそういうところまで規定するような例はありません。ですから、法律を規定する骨格は、通常は、この登録試験機関制度をつくるということは法律事項ですので、複数の団体、1に限るときは指定機関制度の中にありますが、「一に限る」と法律に書くのです。そうではなくて、この報告書に忠実にやるとすれば「一に限る」と書かないで法律にして、要件を満たすところは幾つでも認めていくということが法律事項になります。
そういうことですので、いずれにせよ、報告書に書いてあることを尊重し、書いていないことは今後いろいろ御意見をいただきながら検討していくということでございます。

20ページ
○川口審議官
済みません。やや誤解がある委員がいらっしゃるかもしれないので申し上げますが、相談員に資格制度をつくって、さらに特定消費生活相談員という制度をつくっていくということは、決して行政職員の仕事を肩がわりしていくということではなくて、余り議論されていないのですが、19ページには、消費者行政担当職員の重要な役割というのを当然の前提として書いてあります。これは今まで以上にそこを強調していくという大前提があってのことですから、行政職員を肩がわりしていくということでは決してありません。前回申し上げましたけれども、都道府県の役割を強化していく、これは法改正が必要だと思います。都道府県の仕事をふやしていくときに、行政だけではなくて、そこは現場をよく知っている相談員資格者、相談員経験者から特定という人を置く。その人がすべてやるわけでもないわけです。ですから、人事異動していろいろな部署を回っている常勤の行政職員をしっかりやっていただくということが今まで以上に重要だという大前提がありますし、その上でのさまざまな施策を当然やっていくということがこの報告書の趣旨だと思っております。相談員のところに焦点が当たっていますが、相談員さんのお仕事自体ががらっと変わるということは全くなくて、基本的には今までどおりのお仕事を、誇りを持って、信頼を受けてやっていくという考え方になっております。

23ページ
○川口審議官 相談員というのは職。職を法律に決めますので、それについている方は消費生活相談員です。どういう人を雇っていいかということは別途議論があって、資格をとっている人。資格と同等だと都道府県知事、市町村長が認定する人。それから、現在、3資格ございますが、その3資格を持って働いている人。分類すれば、そういう3種類ということになりますけれども、そういう人は消費生活相談員になれます。その方は、資格がなくても消費生活相談員。ただ、試験合格者というのは、試験に合格した人。どの試験に合格した人というのは区別はされますが、通常、それがどのようになるか。それはちょっと細部の話でありまして、いずれにしろ、消費生活センター、あるいは窓口で勤務している人を職として法定しますと、その職についている人が消費生活相談員ということでございます。

25ページ
○樋口座長代理
この前、私のほうからも、昨年8月の中間報告、消費生活相談員資格、法的措置というのをお願いして、初めて拝見しました。中央集権的過ぎてある意味でびっくりしました。資格の付与者が内閣総理大臣なるのですね。権威づけとしては理想だと思いますが、今までの経緯を考えたら、何でここまで中央集権的な報告書ができたのだろうなと思いました。考えてみたら、このとき、確かに国民生活センターがどうなるか、わからない時期でございました。ですから、それはそれで納得いたしました。
今度の報告書は、それぞれの3つの資格付与団体が付与してきた資格をしっかりと認めた上で、というので結構ではないかと存じます。
⇒そのとおりで、中間報告作成時には国民生活センターは独法廃止により消費者庁と一体になることが前提でしたので、イコール専門相談員資格がなくなる、したがって、早急に新しい資格試験と制度を考えなければならなかったという事情があったでしょう。それが政権交代などで、どうも国センは独法として残る可能性が高くなったことで、ややこしくなってしまいました。一度言い出したことを引っ込めるのは難しいですし。まだまだ結論は出ないような気がします。

26ページ
○池本委員 池本です。意見を2点と提案を1点申し上げたいと思います。
まず、意見の1つは、先ほど川口審議官から、特定消費生活相談員と職員との関係で、職員の強化・育成は大前提であるということを説明していただきました。私自身、もちろんそうだと思いますし、ここを詳しく書き込んでいただいた、今回も担当職員の企画・立案の役割ということまで付加していただいたという意味では賛成です。
ただ、この間、相談員だけではなくて、実は職員の方からも3人ほど意見が来たのです。職員については、重要性のアピールはあるけれども、施策としては研修を充実しますということしかない。相談員のところには特定消費生活相談員という制度化がある。これが2つ同時並行で入れば、市町村にとっては相談員にどうぞというふうに流れが加速するのではないかという現場の危惧感があるのです。やはりそこは慎重に動いていく必要があるということ。
それから、都道府県の担当職員から来たメールですが、特定消費生活相談員ではなくて、消費生活相談担当主任のような職員の位置づけこそ都道府県に置いてもらったらいいのではないかという意見が出たのです。実は、職員の問題も、今回研修をやりますということは一応触れていただきましたけれども、消費者行政担当職員をどうやって確保し、あるいはもっと長くいて専門性を高めるかという議論が十分できていないと思うのです。そういう課題もまだあるのだということはぜひ留意していただきたい。
それから、ちょっと話が戻りますが、先ほど相談員の資格試験のことで冒頭私が質問したところで、複数の団体に担ってもらうという方向性を再確認しました。その後の議論で、試験問題の統一化、あるいは一部統一化という話を聞いて、私、そこはちょっと驚いたのです。それは、相談員試験の質を向上するため統一化するということだけ見ればなるほどなと思うのですが、私が冒頭でお話ししたように、地域の消費者リーダー、企業の消費者問題専門家、そして行政の相談窓口の専門家という3つの資格制度があって、それぞれがどう高められるかという議論ができないままに、行政の窓口のことだけやってきた。そのいびつさが出てきているのだろうと思うのです。
試験問題の統一化云々という議論は、報告書の中ではない、その後の運営の問題ということですが、その3分野がきちんと生かされていくという方向づけをしながらやっていくのであれば、現在のそれぞれの試験のそれぞれの質は高めるけれども、試験問題の統一化というのは非常に危険な議論ではないかと感じました。
最後に、提案を申し上げたのは、今回、20ページの「結び」の中へ、昨年の中間報告の中で触れてあって手つかずになっていた地域における消費者活動の専門家の育成、あるいは企業における消費者問題専門家の育成、さらに自治体における消費者問題担当職員の専門性向上などについて速やかに検討していくことが求められるという方向性を確認していただき、記述していただけないかということを提案したいと思います。
以上です。

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