消費者安全調査委員会への申出制度(10月1日から開始)

前回、消費者庁長官記者会見の記者会見(平成24年9月26日)で消費者安全調査委員会のことを取り上げましたが、この申し出制度について紹介します。

消費者庁HP
ホーム > 審議会・懇談会等 > 消費者安全調査委員会 > 消費者安全調査委員会への申出
http://www.caa.go.jp/csic/action/index.html

消費者安全調査委員会への申出
事故等原因調査等の申出制度とは・・・

消費者の生命又は身体被害に関わる消費者事故等について、被害の発生又は拡大の防止を図るため、事故等原因の究明が必要だと思料する場合に、消費者安全調査委員会に対し、その旨を申し出て、事故等原因調査等を行うよう求めることができる制度です。

この申出は、申出に係る消費者事故等の被害者だけでなく、個人、法人を問わず、誰でも行うことができます。

申出された事案については、消費者安全調査委員会で必要な検討を行い、その結果に基づき必要があると認めるときは、事故等原因調査等を開始します(申出があった事案すべてを調査するものではありません)。

申出制度の目的

申出制度は、消費者安全調査委員会の事故等原因調査等のきっかけの一つとして、消費者庁から報告される事故等情報だけでは抽出できない事故等について、必要な事故等原因調査等につなげるためのしくみを構築することにより、調査等の必要な事故の漏れや事故等原因調査等の盲点の発生を防ぎ、必要な事故の再発・拡大防止対策につなげていくことを目的としています。
申出の方法

事故調査室内に専用の相談窓口を開設し、事故等原因調査等の申出を希望する方からの電話相談の受付を開始します。ご希望の方は以下の要領にしたがって、消費者安全調査委員会まで申出ください。

申出の様式
調査委員会への申出は同委員会が定める様式を使用してください。
申出書の様式: [PDF形式 ] [WORD形式]
申出書の記入例: [PDF形式]

申出書類の提出先
申出書類又は関係書類は、封筒の表面の右側に赤字で「申出書類在中」「申出関係」などと記入し、次の宛先に送付してください。

【申出書類の送付先】
〒100-6178 東京都千代田区永田町2-11-1 山王パークタワー6階
消費者庁 消費者安全課 事故調査室  宛て

申出に関する問い合わせ
申出書式の記入方法、申出制度の内容などのご不明な点は、次の電話番号までお問い合わせください。

【問合せ先】
消費者庁 消費者安全課 事故調査室
専用電話番号 03-3507-9268 (受付時間 10:00 ~ 17:00)
FAX 番号  03-3507-9284

申出者の方へのお願い

消費者安全調査委員会が事故等原因調査等を行うかどうかを判断するにあたって必要なときは、消費者安全課事故調査室がお電話等で申出者等に申出の事案について問い合わせをさせていただくことがあります。そのときは、ぜひご協力いただくようお願い申し上げます。
申し出ていただいた事故等の情報は、法律に基づき、消費者庁に通知されます(個人を特定できる情報を除いた申出内容の概要を、事故の再発防止・拡大防止のため、消費者安全調査委員会又は消費者庁が公表する場合がありますので、あらかじめご了承ください。)。
死亡事故や重傷事故の被害者及び被害者の親族の方から申出を受け付けた場合は、消費者安全調査委員会から調査を実施するかどうかの通知を行います(消費者安全法第28条第3項)。

担当 : 事故調査室

Consumer Accident Investigation Office

この委員会の活動事態は国の問題であり地方のセンターに直接の影響を及ぼすことはないと思いますが、ただ1点、消費者からの相談も受け付けるというところはおさえておくべきところです。というのも、センターで受け付けた事故案件には解決が難しいものや、なじまないもの、個別案件で損害賠償になっているものなど、センターが扱う案件としてはしんどいかなという事故について、これまでは法律相談を紹介するなど、消費者の意向に答えることができるような相談機関があまりないのが現状でした。しかし、今回の申し出制度で、消費者が事故について直接申し出る機関ができたわけです。ただし、それが取り上げられるかといえば、その可能性は少ないかもしれませんが、とにかく、国レベルの相談機関ができたという意義は現場のセンターとしてはありがたいことであり、対応の難しい相談者に紹介できるという点では知っておかなければならないと思います。本来の委員会の役割とは異なる逃げ道といわれれば身もふたもないですが、現場としてはありがたいです。消費者安全法のヒヤリハットの事故通知と性質的には似ていると思います。

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消費者庁長官の記者会見(9月26日分)

重要度:高
※行政資料の重要度を個人的に分類

消費者庁のHPに、週に1回、消費者庁長官の記者会見の要旨が公表されています。
今回は前半の「消費者安全調査委員会」について重要度が高いという位置付けにしました。
「消費者安全調査委員会」については次回の個別の記事で取り上げます。

消費者庁HP
http://www.caa.go.jp/
トップページの新着情報からでもリンクしています。
トップ > 活動について > 大臣等記者会見
http://www.caa.go.jp/action/kaiken/index.html

阿南消費者庁長官記者会見要旨
(平成24年9月26日(水)14:00~14:21 於)消費者庁6階記者会見室)
http://www.caa.go.jp/action/kaiken/c/120926c_kaiken.html
消費者安全調査委員会の設置及び第1回消費者安全調査委員会の開催、介護ベッド手すりに係る死亡事故が相次いでいることについて
1.発言要旨抜粋

今日は私から2点発表したいと思います。
まず1点目ですが、消費者安全調査委員会の設置と第1回の消費者安全調査委員会の開催についてです。
まず、改正消費者安全法の施行によって、10月1日に消費者安全調査委員会が設置されることになります。消費者安全調査委員会は、生命又は身体の被害に係る消費者事故等の原因を究明し、その発生又は拡大の防止を図ることを目的として設置する機関であります。消費者庁は、消費者安全調査委員会の知見を活用して、より一層消費者安全の確保に努めてまいりたいと考えております。
10月1日ですが、事故調査室内に専用の相談窓口を開設いたします。事故等原因調査等の申出を希望する方からの電話相談の受付を開始いたします。
なお、第1回目の消費者安全調査委員会ですが、会合を10月3日に開催する予定です。その会合においては、まず冒頭に委員長を互選いただきます。それに続いて議題ですが、4つあります。まず、調査委員会の議事の手続その他調査委員会の運営に必要な事項を定めた調査委員会の運営規程。2つ目には、部会の設置など基本的な組織に関することです。3つ目は、消費者安全法に基づき事故等の原因調査等の申出を受け付ける際の申出書の様式についてです。4つ目は、調査対象の選定指針を審議していただくことになります。
もう1点です。介護ベッドの手すりによる死亡事故が相次いでいることについてです。
これまで事業者、そして厚生労働省、経済産業省、消費者庁等が介護ベッド用手すりのすき間に首や手足を挟み込む危険があること、手すり等のすき間を埋める対策などについて、注意喚起ですとか点検依頼を行ってまいりましたけれども、介護ベッド用手すりにかかわる事故が引き続き起きています。
このように事業者や関係省庁が注意喚起等を行ってきたにもかかわらず事故が発生しているという状況を踏まえ、今まで行った注意喚起、そして点検依頼がきちんと在宅等の介護されている現場に届いているのかなどについて、消費者庁自ら調査することといたします。また、消費者庁として今後も地方消費者行政担当部署や消費生活センターなどと連携し、消費者に対して更なる注意喚起や点検依頼を行ってまいりたいと思っております。さらに、注意喚起や点検依頼の情報については、啓発材料として、消費者教育ポータルサイトにも掲載する予定でございます。

2.質疑応答(抜粋)


読売新聞、崎田と言いますが、事故調のことで何点かなんですけれども、相談窓口を設置する、受付開始というのは、10月1日からすぐに受け付けるという意味ですか。

はい、10月1日から受け付けます。

ということは、その前に相談窓口の電話番号とかを周知するということですか。

はい、そうです。
電話番号を申し上げます。03-3507-9268です。

何時からなんですか。

受付時間が10時から17時です。3人体制で行います。

もう一つ、調査対象の選定指針、これをもう少し具体的にお願いします。

調査対象の選定指針の具体的な内容については、安全課はおりますでしょうか。
消費者安全課
ここにつきましては、国会審議における附帯決議においてもそういった選定指針を定めることとされたところでありまして、その中では例えば公共性、被害の程度、単一事故の規模、多発性といったものが書かれておりますので、そういったことも踏まえて委員会の場で審議していただくことを考えております。

そうしたら、具体的に調査、何をするかというところまで決めるわけではないということですか。

指針に基づいて選定するということになります。お申出いただいた事故ですとか、消費者庁に寄せられてきます事故情報などの通知があります。その中から選定していくということになります。

とりあえず調査するというのは、テーマを決めるということですか。

委員会で、その選定する基準を決めるということになります。

基準を決めた後に、実際に調査するテーマまで、個別の案件まで決めるという意味ですか。

個別の案件は、その指針に基づいて、何を取り上げていこうかということを決めることになりますが、まず第1回目はその指針を決めていただくということになります。

指針を決めるにとどまると。

はい、そうです。

実際の調査を、個別案件を決めるとすると、いつ頃になるのでしょうか。

それ以降になりますね。

第2回目以降。

はい、そうです。

11月以降という意味ですか。

いえ、もっと早目に開催できると思いますけれども。

そうですか。月1回の開始じゃなかったでしたか。
消費者安全課
そこは委員の先生方の日程で、10月中にできるかどうかはまだ分かりませんけれども。

委員会ができた時に、委員会開催の時に、個別案件も決まるということでしょうか。

そうなります。

この記者会見でテーマとは全く関係ない質問が出ましたが、なかなかするどい質問ですので紹介します。
全く記者のいうとおりですね。
(消費者情報10月号の記事で紹介したパッケージガチャが該当しますね)
これについても別途ソシアルゲームの解説で取り上げたいと思います。


週刊東洋経済の二階堂と申します。
今日の話題からまたそれてしまうんですけれども、ソーシャルゲームについてお伺いしたいんですけれども、以前も一度お伺いしたいんですけれども、コンプガチャ廃止以降の新しい商法によって、ユーザーが更に射幸心を煽られているというような事例がやはりあるのが実態なんですけれども、事業会社のほうでも、別にコンプガチャがなくても、幾らでも煽ることは可能だというような話もほうぼうで聞くんですけれども、これは絵合わせに該当しないから、そのままでいいのかというのは、よくないんじゃないかなと思っていまして、そこは消費者庁さんとしてのお考えというのを改めてお伺いしたいんですけれども。

カード合わせについては、今はやられていません。そのようなことがあれば、また規制の対象となります。今相談として多いのは、新しい課金方法に関するものが非常に多数寄せられていまして、カード合わせに対する具体的な指摘があるものはないです。ですから、消費者庁としては引き続き情報把握に努めて、カード合わせについては、厳正に処分をするという形にしています。
また、このゲームの運営事業者がこれまで以上に課金、収益を上げているといった批判などの苦情も含め、多数の情報が寄せられております。これらの情報は内容としては、課金方法に対する批判ということですので、これについて消費者庁が運営していますインターネット消費者取引連絡会において議論しております。業界のほうは自主的に未成年者のユーザーへの課金上限額を設定するなどの対策を行っていると承知しておりますけれども、引き続き連絡会の運営などを通じて情報把握をしたいと思いますし、事業者が自主的に取組を行うための環境をつくっていくことから始めたいと思っております。

消費者情報 2012年10月号 (関西消費者協会)

今月号から気になる記事を紹介します。

①特集 多様化する通販世界
・通信販売業界の実態と利用者の動向
・通信販売における関連法規のポイント
→通信販売に関する関連法規(特定商取引法、電子消費者契約法、景品表示法・薬事法等、法の適用に関する通則法」がまとめられています
・多様化するネット通販と広告表示規制の問題点
→平成23年10月に公表された「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」について「景表法上の規制」「特商法上の規制」を解説
・多様化するインターネット通販のトラブル
→ECネットワークの原田さんが「海外ホテル予約サイト・海外通販・ソーシャルゲーム・アプリ購入・サクラサイト」の5つの事例を紹介
・海外インターネット通信販売トラブル
→平成23年11月に設置された「消費者庁越境消費者センター(CCJ)」の報告、「海外の消費生活相談機関とも連携・国内とは勝手が違う・解決が困難な模倣品トラブル・グローバル企業が運営するサイト・解決すべき5つのポイント」の項目で解説
・通信販売30年史
・通信販売の実態と賢い利用
・相談スキルアップ窶・I通信販売トラブルに関する聞き取りとあっせん
→「クーリング・オフはない」で終わらせない聞き取り、通販では広告が最重要、複雑なネット通販とクレジット決済
の項目に分けて解説しています。
※通販トラブルは、ほとんどが「返品したい」などの定型化されているものなので、基本的な対応方法を学んでおきたいですね。
今後ネット通販はますます増加していくと思いますので、相談員も常にネット通販の最前線を知っておく必要があります

②判例に学ぶ
「武富士経営者の個人責任を認めた事例」横浜地裁平成24年7月17日判決

・経営破たんした武富士の配当は約3%ときわめて低廉。
・一方、武富士創業家は武富士の経営を通じて莫大な利益を築いた
・経営者個人の不法行為があるのではにかという訴訟で、個人責任を認めた下級審判決が出た。
・創業家が築いた資産を過払い金の賠償にあてることが最終目標。
※趣旨はよくわかりますが、経営者個人の資産も経営破たんの責任として差し出さなければならないとなると、一般的に法人の考えが成り立たなくなるような気がします。倒産した会社の債権を経営者個人が不当利得として賠償することができるのなら、投資関連の悪質事業者には効果があると思いますがどうなんでしょうか。最高裁では、認められないような気がします。
、東日本大震災で東京のマンション6階の電気温水器から配水管に亀裂が生じ5階に水漏れした。
・損害保険で保険金を請求したが、「地震免責条項」があり、保険会社はその適用があるとして支払を拒否した。
・原審では、比較的耐久性の高いマンションあんおで震度5では配水管の亀裂は生じないはずなのに、通常有すべき耐久性を有していなかったので地震によるものではないとした。
・高裁では地震と漏水事故とは相当因果関係があるので地震免責条項は適用され保険金の支払義務は負わない。
→地震免責条項の地震が具体的にどれぐらいの規模なのか不明確である。今回の考え方は結構面白い考え方だと感じました。詳しくは本誌を読んでください。

③生活力アップ豆知識
「食品の賞味期限をあなたはご存知ですか窶・H」

期限日がない加工食品は永遠に食べられるの?【砂糖の賞味期限】
・賞味期限の表示義務がない食品は、無期限に食べられるのではなく、その時点での状態で判断します

加工食品品質表示基準 第3条-7より抜粋

品質の変化が極めて少ないものとして別表3に掲げるものは賞味期限及び保存方法の表示事項を省略することができる
(別表3)1.でんぷん、2.チューイングガム及び冷菓、3.砂糖、4.アイスクリーム類、5.食塩及びうま味調味料、6.飲料水及び清涼飲料水(ガラス瓶入りのもの(紙栓をつけたものを除く。)又はポリエチレン製容器入りのものに限る。)ならびに氷

※「古い砂糖が出てきたけれど食べられるでしょうか?」という相談があります。「砂糖などは長期間保存可能な食品として賞味期限の表示義務が免除されています」ということです。この話は勉強になるので1回読んだら覚えるので頭に入れておいてください。

④団体訴権への展開
「携帯電話の2年縛り+9975円の解約金条項の使用差止判決出る!」

・京都消費者契約ネットワークがおこした団体訴訟です。
・ドコモとauについて判決が出ました(ソフトバンクは提訴中)
・2つの判決について、京都消費者契約ネットワークは控訴
※過去に判決に対する私の感想を紹介しましたが、控訴して何を目指しているのでしょうか。

⑤ネット漂流 Vol.5 「コンプガチャ規制後のゲーム業界」
・表題には「金銭感覚を狂わせる」とあります
・コンプガチャは規制されたが、パッケージガチャというという新たな手法が出てきた。
・コンプガチャほど投資を必要せず20万円程度で入手できるようになったが。
・課金ユーザーはIT系で働く人たちが使い先のないお金をつぎ込んでいる。一般の人と違う金銭感覚を持っている。
※さすがは篠原先生ですね。最新情報を紹介しています。しかし、具体的なゲーム名が出せないところが、この種の雑誌の欠点ですね。パッケージガチャは私も知っています。グリーのドリランドです。機会があればドリランドを題材にソシアルゲームを解説しようと思っています。

リンクはこちらです
関西消費者協会 http://kanshokyo.jp/hp/
消費者情報 2012年10月号