図解「クレーム」切り返しの技術

図解「クレーム」切り返しの技術 どんな相手も納得する”とっさのひと言”

 

登録情報
単行本: 95ページ
出版社: 日本文芸社 (2011/10)
ISBN-10: 4537258918
ISBN-13: 978-4537258912
発売日: 2011/10
商品の寸法: 25.4 x 18 x 1 cm

 

 

(内容)
1 ひとつ間違うと大変なことになる“あぶない”クレーム
2 悪質なクレーマーから身を守る方法
3 相手を黙らせるための切り返しのワザ
4 凶悪クレーマーへの対処法
5 実例から学ぶ「クレーム対処法」


・図書館で見つけた本ですが、B5版のノウハウ本のにおいがピンプンしていたので期待していませんでしたが、予想以上にいい内容だったので購入しようと思います。

・内容自体は事業者のクレーム担当者向けです。
・さまざまなクレームのパターンを網羅しており参考になります。
・この内容を消費者センターに置き換えてアレンジすればいいと思います。

・相談現場では、消費者が事業者への不満を訴えるのですが、ときにはセンターが事業者であるかのように不満を訴えることが少なくありません。さらに、相談員の対応に不満があると、今度はセンターにクレームの矛先が向かいます。
・事業者の顧客対応がこの本のパターンに当てはめて適切な対応だったか。
適切でなければ適切になるようにセンターから事業者に申し出て誘導?すればいいです。
・センターがクレームのターゲットになってしまったら、この本のパターンに当てはめてクリアしてください。
・クレーム時に参考にするだけでなく、通常の話し方や表現のしかたを工夫する言葉が散りばめられています。
・この本を参考書にして、相談員向けのクレーム対応の研修会にアレンジできそうな気がします。

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消費者情報 2013年3月号 (関西消費者協会)

今月号から気になる記事を紹介します。

①特集「霊感商法」を読む
・「霊感商法」事案の特色と対策
→霊感商法の歴史的経緯と問題点を明らかにし、その法的救済手段について解説する。
・信教の自由と違法性のカラクリ 統一教会による霊感商法
→統一教会によって大金を奪われ人生を破壊された人は数知れない。宗教活動に名を借りて行われてきた「霊感商法」の全体像を探る。
・「霊感・開運商法・占い被害110番」から見た消費者被害の現状と対策
→霊感・開運商法における消費者被害の典型的事案を紹介し、規制状況とその対策について報告する。
・開運商法の事例と対策
→開運ブレスレットの購入をきっかけに次々と開運商品を売りつける手口に注意窶・I
・「占いサイト」と子どもたちの危険な関係(IT情報技術推進ネットワーク代表 篠原嘉一)
→子どもたちの心に忍び寄る「占いサイト」の裏側では、親の知らない怖い世界が展開している。
いともカンタンに個人情報が手に入る、満たされない心と占い、「神待ち」という魔手

・悪徳商法に通底するマインドコントロールの恐ろしさ
・相談スキルアップ窶・I霊感商法トラブルに関する聞き取りとあっせん
※開運グッズが新聞や新聞広告、雑誌にあふれています。「お守り」レベルの考え方だったら許容範囲ですが、今回特集されている次々商法や宗教に身をささげるレベルにまでなると問題です。ネットの普及や手口の巧妙化により、その境界線が判断できないような事例が増えています。

②判例に学ぶ
「動機の錯誤による連帯保証契約の無効を認めた事例」平成24年5月24日東京地裁判決

・兄のビルの融資の連帯保証契約をする際に、ビルの資産価値を過大に説明し、債務が払えなくてもビルを売却すれば連帯保証人に請求は来ないとして銀行と契約をした。兄が履行できなくなったが、ビルの資産価値は当初から低く、連帯保証人に保証債務の履行を迫られた。
→銀行の説明により、保証人になったのは、銀行の説明により請求がこないと考えて契約したので、この契約の動機となった銀行の説明が誤認(不実告知・不利益事実の不告知)に当たるとして、「表示された動機に錯誤があったから要素の錯誤により無効である」と判断した。
※民法の錯誤無効を勉強する場合の「要素の錯誤」と「動機の錯誤」の違いについて勉強になるので、ぜひじっくり読んでみてください。

③現場からの情報 【相談】通販サイトの有料会員窶蘀!?
・通販サイトで書籍を購入した際にクレジットカードの明細に覚えのない会費の請求がされていた。
・確認したところ1回につき500円かかる当日配送サービスが無料で何でも受けることができる会員制度があり、その年会費が3900円だった。
・相談者に確認したところ、購入時に当日無料配送を利用したとのことだったが、有料との表示はなかったとのこと。
・キャンセルをしなければ1ヵ月後には有料会員になるとの説明が申し込み画面とは別のヘルプにあったり分かりにくい表示だった。
・これらを指摘したところ返金された。
※いわゆる最初の1ヶ月が無料になる「お試し会員」のことですね。キャンセルしなければ有料会員に移行してしまうので、レンタルDVDのネット会員サービスでもよくあります。今回のような問題のある業者は別として、ごくごく自然にこのような会員方式が存在しますので、同種の相談があった場合は、どのような制度になっているのか、解約方法などの説明表示は分かりやすいかを確認する必要があります。

④ネット漂流 Vol.9 「『LINE』で荒れる子どもたち」
・最近、「LINE]を起因とするトラブルの相談が学校現場で急増している。
・ラインは何より手軽に利用開始できることで会員を確保している。
・ラインをダウンロードする際に「電話帳のデータを利用する」を承諾すると、登録している電話番号がライン側に送られ、相手がラインを利用した時点で紐づくため、昔付き合っていた元彼まで再びつながりを持ってしまう。おまけにこの繋がりは切れない。
・ラインが起因して校内でのゴタゴタが増えているのはこのためだ。電話帳という限られた範囲の中で繋がり合う為小さな範囲でトラブルがおきているのだ。
※通勤電車で見かける女子学生はみんなラインをやってますね。私はやっていないので分からないことが多いのですが、ネットのサービスは初期設定で個人情報をばらまくような設定になっていることがあるので、設定変更するなど注意が必要です。この初期設定というのはフリーミアムならではの商法ですね。

リンクはこちらです
関西消費者協会 http://kanshokyo.jp/hp/
消費者情報 2013年3月号
0020000000842

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事例の質問に対する回答(2013/3/7)

質問

 明らかに消費者が業者に不当な返金を求めていた事例で、業者が全額返金をすることになりました。自分の担当ではありませんでしたが、こんな時、「そこまでする必要はありません。モンスター消費者には毅然とした態度で対応して下さい。」という思いがありましたが、相談員としてそのような場面ではどのように対応すべきなのでしょうか。
詳細を書いていませんが、アドバイスをお願いします。

レスで助言しようとしましたが長くなりそうなのでスレッドを立てました。

回答(私の個人的な考え方ですので参考ということでお願いします)

残念ながらお金で解決しようとする事業者は少なくないでしょう。
事業者にとっては、対応する手間ひまコストと賠償金とを比較したら賠償するという判断になることもあります。
例えば、手間ひまかけて20万円のコストをかけるのと、あっさり5万円のコストをかけるのとでは経営コスト的に考えると明白な選択肢です。ただし、常連化や企業イメージに対してリスクがあります。
私はそれはそれで一つの解決方法だと思います。
相談員として不本意な気持ちはあっても、とりあえずは「あっせん解決した」と考えてください。

正論がすべて通るとは限りません。
正論がすべて通るなら相談業務はとても楽になります。
本来の正解が正解にならないのだから相談業務は難しく、面白くもあるのです。
正解ではない正解という例外も存在しうると受け入れることが大切です。
カールロジャースの2:7:1の法則を思い出してください。
「1」にこだわりすぎない柔軟な頭が相談員には必要です。
今回の事例でも正論を持ち出すと、こんがらがってしまい、最終的には相談員が消費者からも事業者からも攻撃されることも考えられます。そして、結局は、全額返金という結果に落ち着きます。
あっせんの目的は、消費者と事業者の合意です。
全額返金も、事業者がいやいやでも最終的に納得して提示し合意したという事実を相談員として受けとめることです。
相談員はあくまでも影の存在で、相談対応のプロセスにおいては「全額返金するのはおかしい」というスタンダードを示してもいいのですが、それにこだわり続けるとゴールにたどりつけません。
後味が悪くても、お互いが合意したなら、「あっせん解決」という成果です。その割りきりが必要です。
事業者には、この案件が教訓となって、消費者対応のリスクをもっと考えるようになるかもしれません。
そう前向きに思うことがスッキリしない気持ちを落ち着けます。
その後に事業者と今回の解決方法について本音の意見交換をするのも一つの前向きな考えだと思います。
そのときに、相談員として「全額返金はおかしい」という考えを示すのもこれからにつながると思います。

しかしながら、このような結論になった問題の本質は別のところにある可能性もあります。
質問者さんの「相談員としてそのような場面ではどのように対応すべきなのでしょうか。」という問いに対して、「全額返金」というゴールの一場面を切り出すのではなく、それまでのプロセスもあわせて考えることが必要です。すなわち、「全額返金」という場面を相談員が自らのあっせんでつくってしまった可能性があるからです。
相談を受けた相談員は最終的に全額返金という選択肢しか残らなかったのでしょうか?聞き取りをしていく段階で、「全額返金」は過剰要求であることを上手く説明しきれたのでしょうか?
相談者の勢いに押されて、伝言役になっただけになってしまわなかったでしょうか?
通常は、センターが間に入っているのだから、事業者が最初から自ら全額返金すると言わない限り、相談員としての考えを消費者とすり合わせて事業者に提示するプロセスがあったのではないでしょうか。
今回の相談者は本当にモンスター消費者なんでしょうか?今回の事案に対しては「全額返金」というのがその消費者の価値観かもしれません。その価値観を見てモンスターと決め付けてはいませんか?
さらに、事業者に「モンスター消費者に対して毅然とした態度を」の前に、相談員が消費者に対して毅然とした対応で全額返金はおかしいと消費者に言えなかったのでしょうか。

そんなことをいろいろ考えてしまいます。
私は助言を求められたら、あらゆる可能性を考えて最適な選択肢を見つけていく作業をします。
これらのダメ出し?は終わった相談に対しての批判ととらえてはいけません。
本当は、こういう事案について相談員全員で振り返って、もっと違う対応にはならなかったのかと検証することが大切です。
検証することで、次に同じような相談があった場合には違った対応ができるのです。
そうすると、コミュニケーション能力と論理的思考力という現場力が向上します。
ただ、こういう検証をやっているセンターはほとんどないでしょうね。
1時間から2時間の議論をする時間が必要ですので現場では時間がありません。
しかし、これこそが本物のケーススタディです。内部研修で題材にしたらいいと思います。
外部研修で受けたいところですが、このようなケーススタディをコーディネートできる機関や人材が少ないのが現状でしょうね。
ちなみに私はこのようなケーススタディをするのがとても好きで、得意分野です。
今回の質問をアレンジして、この1つの事例で2時間のケーススタディの研修をつくりあげることができます。

質問者さんも、この事例を当事者に詳しく聞くか、相談データを読み返すかして、私だったら、この場面でこういう発言をして、事業者とこういうやり取りをして、最終的に、こういうあっせんあんを提示したと思う。
というシミュレーションをしてください。答えはいくつもあります。
試行錯誤することで実践力や現場力が身につきます。

センターのあっせんで「消費者の要望を事業者に伝える」という過程があります。
その過程において、消費者の要望が妥当であるかを事業者の見解も考慮に入れて相談員が判断し、すりあわせて、消費者に納得してもらいます。
これは私が「相談対応の流れ」で説明した「スタンダードの提示・現実的な提案・妥協案」という部分です。
それぞれの利害関係者(消費者・事業者・相談員)の立ち位置をしっかり認識しておくということです。
立ち位置が違えば対応も変わってきます。相談員がどの位置にいるべきかを考えながら対応していくことが大切です。

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