難苦情対応事例 後半(季刊ダイレクトセリング125号)

事例
「15年前の契約に不満を持ち、示談後も繰返し行政機関等へ苦情をいう消費者。どのように対応すべきか」
の解説の続きです。
前回は事例に書いている対応方法について、感情の面で対応をしなければ、消費者の主張に沿う何らかの対応をしたとしても、同じことが繰り返されますと説明しました。
今回は、具体的に5つあげた感情について分析し、法的手段以外の対応方法について考えたいと思います。
といっても、法的手段を実行となると、なかなか現実的ではないですし、今回の事例に対してのベストチョイスではない気がします。

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難苦情対応事例 前半(季刊ダイレクトセリング125号)

季刊ダイレクトセリング
http://www.jdsa.or.jp/www/jigyo/shuppan-02/mokuji-10.html
季刊ダイレクトセリング 125号(2014年1月発行) ※次号が発行されるまでの公開ですので今のうちに(たまたま前号が残ったままです)
http://www.jdsa.or.jp/www/jigyo/shuppan-02/ds/ds125.pdf

前回の続きです。

事例
「15年前の契約に不満を持ち、示談後も繰返し行政機関等へ苦情をいう消費者。どのように対応すべきか」
内容
男性の相談者からの申出は、15年くらい前から、1〜3年の間隔をあけて続いている。毎回、必ず、初めに自分の電話番号を言い、一方的に折返しの電話を求める。折返しの電話をしないと催促の電話が度々かかってきた。一度、相談者から電話があると、伝えるべき結果は同じであっても、とりあえずは応対せざるを得ない状況にある。申出の金額は、その都度違うが、内容はほぼ同じであった。1997年の父親の複数のリフォーム契約に関するもので、雨漏り対策として窓の木枠をアルミ製に交換した120万円の契約についての話が中心である。その契約から約8年後の2005年に、相談者から「8年前、父が夜12時ごろまで居座られ、120万円のリフォーム契約をした。工事が杜撰である。訪販協に何度も相談したが、その後の対応がない。経産省にも相談したが同じ。警視庁に申し出たら『悪質商法。被害届が出れば、捜査する』と言われた。このままであれば、警視庁に被害届を出さなければならない」という電話があった。それ以降も、2010年、2011年、2012年に、同じようなクレームの電話がかかってきた。
当社は、2005年頃から何度も相談社宅に行き、2007年には示談書を交わして30万円程を返金したが、その後、相談者は「示談書のサインは自分ではない」などと言い出した。そこで、当社としては、「警察でも、裁判でも受けてたつので、行ってください」と伝えているが、相談者は、思い出したように、訪販協や各関係省庁に苦情を申出ている。相談者は、例えば、「国交省の弁護士が契約は無効だと言った」などと話していたので、国交省の窓口に確認したこところ、「相談者が言うような回答はしていない。こちらに電話をされても困る。やめてほしいと相談者に伝えてほしい」と言われた。また、以前には、当社の代表電話に電話をかけてきて、「社長を出せ!」と大声を出したりした。当社としても、これ以上は放置できないので、相談者に、「当社の顧問弁護士から回答書を送るようにする」と話したところ、相談者は「弁護士から文書が送られるのは迷惑だ」と言っていた。

この事例は、そのまま行政にもあてはまりますし、センターに関係の深い家電メーカーなどの事業者にも当てはまります。
いわゆる、「お客さん」です。
今回の事例は事業者としての対応ですが、行政としての対応は、かなり異なる場合がありますね。
常連になってほしくないですが、そうはいかないのがこの世界です。
今回は、事例にある解説に、行政(=消費者センター)だったらどうなるのかということを考えたいと思います。
さらに、今回の相談者が何を目的としているのかという本質的なことについても考えたいと思います。

ちなみに、今回の事例はクレーム対応のケーススタディに使いたい事例ですので、個人的に保存版にして、パワーポイントでケーススタディの研修資料にしておこうと思っています。
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季刊ダイレクトセリング 125号(2014年1月発行) その1

「公益社団法人 日本訪問販売協会」が「季刊ダイレクトセリング」という広報誌を発行しています。
JADMAニューズは月刊なので忘れませんが、こちらは季刊なので久々に気づいてチェックしてみました。

125号でなかなか強烈かつ行政にもありがちな事例が紹介されていましたので、ぜひ考えていただきたいです。

この広報誌はWEBから最新号が閲覧できます(バックナンバーは有料です)。
公益社団法人 日本訪問販売協会
http://www.jdsa.or.jp/
季刊ダイレクトセリング
http://www.jdsa.or.jp/www/jigyo/shuppan-02/mokuji-10.html
季刊ダイレクトセリング 125号(2014年1月発行) ※次号が発行されるまでの公開ですので今のうちに(たまたま前号が残ったままです)
http://www.jdsa.or.jp/www/jigyo/shuppan-02/ds/ds125.pdf

特別インタビュー
石ヶ休剛志 経済産業省商務流通保安グループ消費経済企画室長
ダイレクトセリングの現在と可能性
消費税増税など激動が予測される平成26年の幕開けに当たり、石ヶ休氏に日本経済におけるダイレクトセリングの可能性や強み、そしてダイレクトセリング業界が今後取り組むべき課題についてお聞きした。(聞き手:編集部)

この記事から一部抜粋して紹介します。

顧客満足を高めるコミュニケーション品質の確保

石ヶ休 そのときに求められるのは、顧客満足が高められるような販売員のコミュニケーション品質の確保でしょう。
 各企業で取り組まれていると思いますが、協会として一定レベル以上の販売員を認証することでバックアップするようなやり方も考えられるのではないでしょうか。
――法律に関する資格講座は、既に協会で実施しているのですが、法的知識に加えて、マナーや社会常識的な知識、教養を確認したり補ったりすることで、力のある販売員を育成することができそうです。教える側の養成も含めて考えたい課題です。
石ヶ休 人材育成にあたっては、どういった人物像を求め、スキルとしては何が必要になるのかを明確にしておくことが大切でしょう。
 コミュニケーション品質は、どういう要素に分けられるのか、どの要素でどこまで達すればよしとするのか。漠然とコミュニケーションというのではなく、要素に分けてレベルを要求しないとうまくいかない。難しいですが、重要な課題ではありますね。
 コミュニケーション品質向上講座ができたら、それはすごいことです。難しいことだけに、成功したら大きなインパクトがあります。検討の価値があると思います。
――人物像としては「もう一度会ってみたい」と思われる人になろう、あの人からもう一度話を聞きたいといわれるような人になろう、という目標を提示しています。
社会に何を与えるかというヴィジョンを明確に持っている企業には、そういう人が集まりやすいと分析しています。
 特定商取引の法的知識、マナーや社会常識に加え、文化的な素養、趣味の領域で得意な分野があれば高品質のコミュニケーションにつながり、強みになると思います。
お客さんが大切にしている趣味の分野の話題で、それなりの素養を持って一定レベル以上の会話が成り立つコミュニケーションができたら、歓迎され、また話をしたいと思ってもらえるでしょう。
必ずしも同じ分野でなくても、何かひとつ得意な分野を持つ人は、他の人が大切にしている分野に対しても敬意を払って話をきくことができます。
こういう品質の高いコミュニケーションができれば、例えて言えばデパートの外商のように、レベルの高い顧客をつかむことができます。もっとも、企業側にはそういうレベルの高い販売員を迎え入れることができるような状況や環境の整備が求められますけれども。検討する価値はあると思います。
石ヶ休 そうしたハイクオリティのダイレクトセリングができれば、顧客満足度も極めて高いでしょう。

経産省の役人との半紙ですね。訪販協としてはがんばっていることを主張したいでしょうが、人材の理想を言えばきりがないです。
ほかの世界でも同様ですが、それを実現しようとする動きがなかなかないんですよね。
消費者行政の世界でも理念にどう現実を追いつかせるかが課題です。
最近、消費者行政の人材育成の話をなかなか聞きませんね。
今は景表法を都道府県におろすための人材育成に力を入れているようです。

高品質のコミュニケーションの訪問販売で思い出すのが、名古屋のヤナセで3日に1台外車を売るカリスマディーラーで、テレビでもよく紹介されます。
東海テレビ「スタイルプラス」東海仕事人列伝『 3日に1台BMWを売る男 舘野文誉 』http://tokai-tv.com/styleplus/old/new/070318/index.html
まさに、これに該当する人材でしょうが、なかなかそこまでにいたるのは簡単ではありません。

訪販業界でも問題のある商材には人材養成よりも契約を取りに行くセールストークです。販売員も短いサイクルで回ります。使い捨てのようなものです。
一方、本当の良い商材を正しく販売する業者が生き残るのでしょうが、そんな商材は少ないし、人材養成したとしても、訪販業界は悪質業者の影響で打撃を受けているし、最悪、不招請勧誘の禁止にまで行く可能性もあります。ネット通販の影響もあります。今までのやり方では縮小する一方でしょう。
訪販業界の未来は、新しいビジネスモデルを確立することがキーポイントです。
新しいビジネスモデルこそ、ここでいう人材が作り出すのかもしれませんね。
それよりも、訪販業界として、もっとやるべきことがあるでしょうと、高齢者の被害が減らない現状に思います。

私たちは、人材育成の理念を見る聞くだけでなく、実際に少しづつでも、意識して実行していくことが大切です。
スキルアップ講座で会費を支払っても勉強するという意欲は、人材育成のスキルアップの真っ只中にいることになります。
それだけでも、すばらしいことだと思います。こつこつとスキルアップ講座の記事を読み、考えていく中で育っていくものだと思います。
先日紹介した「相談員に求められる能力」は遠い理想論かもしれませんが、一歩づつでも近づいていくと思います。

本題は、事例紹介だったのですが、長くなりそうなので次回にします。
ちなみに事例の題材は「15年前の契約に不満を持ち、示談後も繰返し行政機関等へ苦情をいう消費者。どのように対応すべきか」です。
これは深いですね。よかったら事前予習しておいてください。

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