伝えること、伝わること

カテゴリー:心がまえ 投稿日:
伝える ≠ 伝わる
相手に伝えたことが、すべて相手に伝わるとは限りません。
説明する ≠ 理解する

相手に説明したことが、すべて相手に理解してもらえるとは限りません。

この大原則を理解しておくことが重要です。

そんなことは当たり前だと感じるかもしれませんが、実際には難しいことです。
そして、消費者トラブルの多くは、これらが原因となっているともいえるのです。

相談業務の中で、
相談者は「そんな説明は聞いてない」「聞いていたら契約しなかった」
相談員は「説明不足ということで交渉してはどうですか」「説明不足ということでセンターから申し出てみます」
事業者は「きちんと説明したので問題はない」

この無限ループを経験された相談員も多いのではないでしょうか

事業者が悪意を持って作為的に説明しなかった場合は論外ですが、普通の事業者との契約でもよく起こります。
携帯電話や光回線契約などがその代表であり、高齢者の場合に特に見られます。

事業者の主張も、相談者の主張も、基本的には間違いはないのです。
何が問題になるかというのが、十分にもれなく説明したことが、相手に伝わっていなかったり、理解されていなかったりするということです。
このときに、消費者が、「分からない」といえるのかどうかがポイントになっており、高齢者だと、ほとんどが理解できないので何を聞いたら言いのかわからなくなり、理解しないまま契約してしまうのです。
この、「理解しないまま契約してしまう」のは日本人の国民性かもしれません。

結局は、伝え方、説明の仕方に問題があるのです。
誰に対しても同じ調子で説明をするのではなく、相手に合わせた方法で説明するのです。

先の例で言うと、
相談者は「聞いたけれどよく分からなかった、聞いた気がするけど早口で分からなかった、何となく分かった気になっていた、耳が遠くて聞こえにくかった」
事業者は「きちんと説明し、何か分からないことはありますかと聞いたが、特に聞かれることはなかったので理解していると考えた」
となる場合もあります。
それらを前提とするなら
相談員は「消費者に説明したかもしれませんが、どうも理解できていなかったようです」となります。
それでも契約書に判を押しているのですから、消費者としても、もっと自立してほしいというのは私たちの願いです。
しかし、私たちは相談者のために何とか理由を見つけて助けるように努力します。
なんだかやるせない気持ちになることもあります。

相談員は、相談者の話を鵜呑みにして、強気で事業者に挑むのではなく、いろんな可能性(=消費者側の責任)も考慮したうえで、柔らかい言葉で事業者に問い合わせ、確認し、説明不足・理解不足の交渉をしていくことが、「言った言わない」でもめることの多いこの種の事例には必要ではないかと思います。そうすれば、消費者にも責任があった場合の減額交渉も進めやすいのではないでしょうか。決してけんかを売るのではなく、着地地点を見極めながら交渉することが大切です。

そして、最後に肝に銘じてほしいことが、「事業者の対応=相談員の対応」になる可能性があるということです。
「専門用語を分かりやすく伝える 」(https://soudanskill.com/20100801/73.html
でも説明したとおり、相手の目線に立って、相談者と話をすることです。当たり前のことです。
「専門用語を使う、早口で話す、多くのことを話す、例をたくさんあげる」
これらは、悪質業者の手口です。しかし、一歩間違えれば相談員自身もこのようになってしまう可能性もあります。
そして、「理解しないまま契約してしまう」というのが、相談対応に例えると「相談に対する助言がよくわからないまま、礼を言って帰る」というのに対応します。
すなわち、「事業者⇔相談者」「相談者⇔相談員」「相談員⇔事業者」、この三者の関係で同じことが言えるのです。

分かりやすく説明するには、内容を理解し論理的に簡潔にまとめる能力と、どのような伝え方をすれば相手に伝わるのかというコミュニケーション能力が必要です。
これらの能力のハードルはとても高いです。しっかり意識して、相談現場にのぞみましょう。

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