相談員に必要な知識

相談員に求められる知識は、広く浅い。いや、広くそれなりに深くなければなりません。
その知識を大きく分類すると
①相談員としてのベースとなる法律の知識
②多様な相談に対応するために、多くの事例を知ること

①は当然のことです。みなさん持っているはずです。
②がポイントです。いわゆる、一般常識を知ることです。
一般常識といっても、相談員が知るべき一般常識になります。
したがって、相談者より知識を持っていることが望ましく、可能な限り持っている必要があります。
もちろん、マニア的な相談者は別です。

相談を受けた場合、いくら法律の知識があっても、それが何のことか分からなければ意味がありません。
相談員が知っておくべき知識とはどのような知識でしょうか、またどのようにしてその知識を習得したらよいのでしょうか。

私はコミュニケーション能力と同じように、この知識についても重要と考えております。
なぜなら、知っていればいるほど解決への道のりが近くなるからです。
逆に知らなければ迷宮入りし、そのこと自体が苦情になってしまいます。

相談員が知っておくべき知識
①一般の人が触れることの情報
ニュース(CMを含む)、新聞(広告を含む)など
②興味のある人が知っている情報(比較的対象が広い)
一般的な雑誌など(ファッション、食品など)
③興味のある人が知っている情報(比較的対象が狭い)
専門誌など(自動車、バイク、デジカメなど)
④ある行動に向けてとる行為に対する情報(比較的対象者が広い)
携帯電話を買う、通販購入など
⑤ある行動に向けてとる行為に対する情報(比較的対象者が狭い)
ネット契約、ネットバンク、ネットオークションなど

①②③はそれだけ積極的に情報に触れて自分の知識にするかにかかっており、日々の努力で習得できるので比較的容易です。
逆に言えば、少なくとも①で入手できる情報を知っていなければ相談員として問題があるといえる。

ポイントは④⑤です。
これらを学ぶポイント、そして対応できる相談員とできない相談員の違いは何かといえば、
「あー、それ知ってる。私この前申し込んで大変だった。説明を読むと難しくて理解するのに苦労したよ。」
つまり、リアルな体験があれば、スムーズに相談対応に入れるのである。

④と⑤の分類は、一般的に多くの消費者が体験する事例は④であり、
あまり体験者数が少ない事例は⑤となります。
そして、④から⑤へは常に変動が見られます。

10年前には携帯電話購入など⑤に近いものですが今や常識的な④になっています。
まさか、携帯電話の相談のときに「携帯電話を持ってないから良くわかりませんが、」と枕詞を言ってないでしょうね。

最近相談の多いアフィリエイトなどは今はまだ対極の⑤になります。
アフィリエイトを体験している(実践している)相談員は少ないでしょうね。
アフィリエイトとドロップシッピングの違いを自分の言葉で理解していますか。
私は理解しています。
なぜならアフィリエイトを実践し始めて1年以上になるからです(当然もっと前からアフィリエイトもドロップシッピングも知っていました)。
理解しているからこそ、バイアス(誤差や思い込みなど)なく対応できるのです。

④と⑤の知識を習得するには、簡単です。
「体験」してください。
携帯電話を自在に使いこなし、パソコンでさまざまなサイトを巡回し、楽天でネットショッピングをして、ネットでクレジット番号を入れる契約をして、ヤフーオークションで落札・出品し、ネットバンクを契約して、コミュニティサイト(SNS、掲示板、出会い系サイトなど)に登録して、などなど例を挙げたら永遠に続きます。

そんなに「体験」できない、でしょう。
そういう場合は、「疑似体験」してください。
疑似体験には2種類あります。
1つは、目の前で実践してもらのです。
実践してくれる人がいなければ、ネット検索などで、方法(いわゆるハウツー)を知るのです。
当然ながら、目の前での実践のほうが自分のものにできます。

この目の前で実践する「疑似体験」を取り入れている研修はあるでしょうか。
なかなかないですよね。

この「消費生活相談員スキルアップ講座」では、比較的容易に体験できる事例を紹介・解説します。
それにしたがって実際に「体験」していただきます。

また、将来的にリアルな講座を開催した場合には、目の前で、楽天ショッピングで買い物したり、ヤフーオークションで落札・出品したり、ブログを開設したり、出会い掲載とに登録したり、ワンクリック詐欺に引っかかったり、リアルな「疑似体験」を予定しております。

今後、この必要な「体験」については少しづつ紹介していきたいと思います。

最後に「体験」していれば、「楽天ショッピングの確認メール」や「ヤフオクの手数料システム」や「出会い掲載との仕組み」などが簡単に理解でき、あっせんに活用できるのではないかと思います。

(平成22年4月5日 初稿)