消費者情報 2011年3月号 (関西消費者協会)

①特集「ISO26000 SR・社会的責任と現代」
・CSRは一時流行しましたね、という書き方は変ですけど、不況になってから以前ほどの熱心さはなくなったように思います。
・ISO26000は「企業の社会的責任に関する手引き」です。一つのスタンダードが示されることは継続性は別として意義あることだと思います。
・企業の不祥事関連年表は2001年からの主な不祥事が100件あまり紹介されています。一通り見てみると、消費者問題の歴史や社会情勢などの世相が垣間見えますね。

②現場からの情報 相談
「モバイルデータ通信とパソコンとのセット契約トラブル」
・店頭で、モバイル契約をするとパソコンを無料でもらえます、といいながらパソコンは無料でなかったトラブル。
・誰もが知っている売り方ですね。初めてネットする人にはいいかもしれませんが、すでにネットの契約をしている人には余分な出費ですね。
・結局のところ、モバイル契約をすると、契約の種類にもよりますが最大4万円程度の大幅な割引があるのは事実です。パソコン本体の料金が割引額より安いものだったら無料になり、高いものだったら割り引いた差額を支払うことになります。指定しているパソコンでなくても家電量販店なら店頭パソコンすべてに適用できる場合もあり、通信契約をしたい人には絶対お得な買い方ですね。
・今回無料でないのは、差額が出たからかもしれませんが、やっぱり説明不足ですね。売ってなんぼの商売ですので。誤った説明があり、取り消したいのであれば、断然主張すべきです。
・そもそも通信契約をすることは理解していたはずで、やっぱり通信契約は必要なかったと考え直すのはどうかなと思います。ほかの商品も同じです。それは自立した消費者ではないと思います。
・ネットでモバイル通信による割引キャンペーンはたくさんあり、様々な契約形態があって複雑ですが、金額はしっかり書いています。月々5000円の通信料として24ヶ月で12万円。実は私もパソコン購入を検討していて調べたのですが、割引目的だけでの契約としては割高な気がしますね。
・この事例は、消費者センターでも頻繁に相談のある事例です。対応としては、ほぼマニュアルどおりでOKだと思いますので、相談員として契約の仕組みをしっかり理解することが重要です。

③判例に学ぶ
「商品CFD取引」を「賭博行為」に該当するとして不法行為責任を認めた事例
・本判決では、本件CFD取引における差損益は、実勢市場レートや市場実勢為替レートに左右するものであり、これらのレートの動向は業者にも顧客にも予見することはできず、また、その意思によって自由に支配することができないものであるから「偶然の事情によって財物の得喪を争うもの」であるとして、まず形式的にも賭博行為に該当することを認めました。(本文より一部抜粋)
・被害者にとっては画期的な判決だと思いますが、一般論はどうでしょう。
CFD取引が賭博行為?理解しがたいです。予見できないのは為替も商品相場も株式も同じですし、社会情勢から見ると予見できる要素はあると思いますし、金融市場で正当に取引をしている人には迷惑な話のような気がします。もし、上級の裁判で争うとすれば、賭博行為にはならないと私は考えます。ただし、適個別の事例では合性違反や不実告知や断定的判断の提供などの問題がある場合は当然に補償されるべきものだと思います。

リンクはこちらです
関西消費者協会 http://kanshokyo.jp/hp/
消費者情報 2011年3月号

消費者情報 2011年1月号 (関西消費者協会)

①特集いま知っておきたい食情報
・偽装表示、期限表示の見直し、消費者庁の創設など食品を取り巻く環境は大きく変化しようとしています。その最新の動きについて各方面から寄稿されています。
②2010年消費者関連出来事
・この1年間の出来事が時系列で月ごとに130件あまりが箇条書きでまとめられています。
③2010年消費者関連法律
・10個の関連法律があげられていますが、直接関係するのは、「消費生活用製品安全法施行例の一部を改正する政令」で、「使い捨てライターに関する」取扱が変更になっています。
④ADR機関を活用しよう
不動産の相隣紛争に関する解決事例
・「借地上建物の買い取り事案」と「越境建物の問題の事案」の2つの事案について、正式に裁判すると手間やお金がかかったり、法律で判断するには難しかったりする事案をADRによる話し合いで専門家による妥当な提案をおこない、合意に至ったケースを紹介しています。
・この考えは、まさしく消費者センターにも合致する考えですね。
⑤判例に学ぶ
高木証券による住居用不動産投資ファンド被害について損害賠償責任を認めた判決
・タイトルそのままのないようです
・リスクを説明していなかったり不適当な勧誘行為により誤解を与えた
・金融商品販売法5条等に基づき損害賠償責任を認めた(過失相殺3割)

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関西消費者協会 http://kanshokyo.jp/hp/
消費者情報 2011年1月号

消費者情報 2010年12月号 (関西消費者協会)

①特集「消費者市民社会」って何ですか?
・「消費者市民社会」とは明確な定義はされてないが、「消費者が消費行動を通じて社会に参加し、持続可能な社会をつくっていく」と説明されています。持続可能という難しい言葉が出てきていますが、地球環境問題とよく似ています。
・消費者が積極的に声を上げていく、消費者教育の充実、情報の共有などがポイントとして説明されています。
※私は「消費生活の持続可能な社会は」は無理だと思います。環境問題はどうだったか?ということを考えると、日本人は「権利だけを主張して義務を果たさない」という悲しい現実があります。このことは消費生活にも当てはまると思います。

②現場からの情報 相談
教員採用試験対策講座の解約料
・講座を申しこんだが早急に契約しないと翌日の授業からの授業が受けられないなどと告げられ、あわてて契約。
・入学金3万円、授業料37万円、通信講座費3万円、教材費1万円、合計44万円の支払い
・数回受講後、内容に納得いかず10日後に解約したが、19万円もの高額な解約料を請求された。
・中途解約にかかる平均的な損料が焦点です。
・入学金と授業料は全額前納
・中途入学も認められていることから受講生の補充はいつでも可能。
・入学金と1ヶ月の授業と未受講分の10%の解約料の提示があり、返金は34万円となった(当初の解約料の半分)。
※事業者の言いなりにならず、しいかり交渉していくことが大切ですね。ただし、事業者との力の格差があるので消費者センターがあっせんに入るのがいいのではないかと思います。

③判例にに学ぶ
携帯電話機の異常発熱による低温やけどについて製造物責任を認めた画期的判決
・左大腿部の低温やけどが、ズボンのポケットに入れていた携帯電話機の異常発熱が原因であると訴えた裁判。
・ズボンの前ポケットに入れてコタツに入っていた
・やけどの発生源が携帯電話であり通常仕様であったことから、本来有すべき安全性を欠いているとのことで欠陥責任を認める判決
・被害者が負担した高額な調査費用の賠償も認められた
詳しくは判例参照 http://kanz.jp/hanrei/detail.html?idx=6381
・判決文には機種名は記載されていませんが、当時の報道では機種名が公表されていました。私が使っていたものと同じだったので記憶が鮮明でした。
・さて、私は、「ズボンポケットに入れっぱなしにする」という行為は、若い人は結構やっているのですが、「通常使用である」といえるのかどうか少し疑問を持っています。普通のポケットと違い、ズボンのポケットは体に密着しており、体の動きに合わせて密着度も増します。物理的に壊れる可能性もあると思います。
・地裁では棄却していますので、高裁の判決に対し、事業者は上告しています。最終判断はどうなるのでしょうか注目しています。

④ひょうご消費者ネット 団体訴権への展開
クレジットカード・リボ手数料の引き上げ問題について
・JFRカード株式会社が平成22年2月ごろに『5月締め分より、「DAIMARU CARAD」などのリボ払い手数料を、実質年率9.6%から14.4%に引き上げると規約改定の告知をした。
・新規分に限らず、改定前の利用分の残高に対しても新しい利率が適用される。
・どこも同じですが規約改定は告知後は了承する条項もあります。
・ただし、突然、5%も一方的に引き上げられるのは問題がある。
・「一方的変更権付与条項」「意思表示擬制条項」は不当条項の典型である。
・申し入れに対して、事業者はカードの規約の問題などの提言に取り組むとの回答があった。
・適格消費者団体 NPO法人ひょうご消費者ネット のHPに詳細が掲載されています。
http://hyogo-c-net.com/
※カード規約の改定は了承するというのが今の規約のほとんどです。最近も法律改正に伴う規約の改正の通知がたくさん届きました。ただし、それらは実質的にはほとんど影響のないものですが、今回のように手数料の値上げなどにかかわるものは死活問題ですね。これが5%でなく1%であったら問題にならなかったかもしれませんが、この上げ幅は消費者サイドから見れば大問題です。ただし、不当条項の指摘もありますが、法的に問題を突き詰めるのは難しいような気がします。

リンクはこちらです
関西消費者協会 http://kanshokyo.jp/hp/
消費者情報 2010年12月号