ジャドマニューズ 2011年11・12月号

「ジャドマニューズ」の最新号は、HPで電子書籍として閲覧できます。
http://www.jadma.org/jadma_news/index.html

「通販110番」の記事から一部紹介し、コメントします。

通販110番消費者相談編
「不具合で交換した商品も壊れた!」

事例1「不良品でも保障期間が過ぎたら対応しないのか?」
・ネットショップ購入の電動歯ブラシが4ヶ月で故障し、交換になったが、4ヵ月後に再び故障。
・6ヶ月の保証期間がすぎたが今回だけ特別に交換
・今度壊れて交換してくれないなら返品希望
→次の商品が半年以内に故障した場合にはもう一度だけ交換することとなった

事例2「セット商品の片方が何度も壊れるので、未使用分を返品したい!」
・2台セット購入のコードレス掃除機のうち1台が3ヶ月で故障し、交換したが、3ヵ月後にまた同じ故障で交換。
・もうすぐ保障期間が切れるので不安。未使用品のもう1台の返品を希望したが、返品期限が切れていると断られた。
→外国製品なので原因解明はできないが、今後の使用に不安があるとのことなので2台とも返品を受け付けた。

※早期故障は相談現場でも頭の痛い問題です。小さいメーカーや輸入販売店だと、たまたま故障したのか、品質が悪かったのか、不具合なのかを追求するのは難しく、結局、今回の対応のように、粘って主張した人の希望が通ることになってしまいます。
※早期故障は奥が深いので機会があれば別途記事にしたいと思います。

通販110番事業者相談編
限定セールの表示について

事例「商品は充分あるのに「数量限定1000個限り」と表示して販売することは可能か。
・数量限定についての景品表示法やガイドラインの規定はあるのか
・1週間「1000個限定」と販売して、しばらく期間をおいて、同じ商品をまた1週間「1000個限定」と販売した場合はどうか
→判断基準はケースバイケース。脱法的と認められる場合は有利誤認規定違反のおそれもある。
割引前の価格が常識的に見ても高い場合や希少価値があり今すぐ買わないと売り切れると思わせたりする場合は違反のおそれがある。
数量限定は景品表示法の中には直接規定はないが、「おとり広告に関する表示」の中に表示に関する考え方が示されている。

※数量限定や閉店セールなど、日常生活の中でも身近な事例ですね。規制にも限界があるので、規制とは別に、消費者の商品選択の目を養うことも重要だと思います。

特集 どーする?健康食品
消費者庁の「健康食品の表示に関する検討会」の委員も勤めている田中教授との対談が特集されています。
・健康食品とは何か-期限と役割を探る-
・健康食品の現在-制度的な矛盾と問題点-
・健康食品の未来-あるべき姿とは-
※健康食品はいつまでたっても「いわゆる健康食品」にとどまっています。対談の中にもあるとおり「有効性」と「安全性」に問題が集約されます。しかし、現実には、それらを全く無視して、「やせ薬」などが利用されています。食品添加物や放射能には敏感なのに、全く矛盾している点が一般人の常識になっているのが現実ですね。脱法的なものはニーズがある限り、なくなることがないのは歴史が証明しています。

社団法人 日本通信販売協会 HP http://www.jadma.org/
会報誌(JADMA NEWS) http://www.jadma.org/jadma_news/index.html

消費者情報 2012年1月号 (関西消費者協会)

①巻頭インタビュー
「簡単に誰でも利益が出るような儲け話などはない」
・1980年代の豊田商事事件から安愚楽牧場の倒産までの時代の象徴的な事件を振り返りながら利殖商法・出資金商法の問題点と被害を軽減させる方策について弁護士にインタビューしています。
※「簡単に誰でも利益が出るような儲け話などはない」とは昔からよく言われていますが、実のところどうでしょうか。私は「儲け話はある」と思います。ただ、「簡単かどうか」「誰でもかどうか」という点が異なると思います。株、金、為替(FX)、と誰でも儲けるチャンスはあります。そして実際に儲けている人もいます。そういう話があるから自分も同じように儲けることができると思ってしまうのです。1割の人が利益を出して9割の人が損失を出すともいわれています。投資で生活している人もいるし、何よりも証券会社や銀行などの機関投資家は投資で利益を出すのが仕事です。ただ、アメリカと違い、日本では投資で利益を出すことは後ろめたいことと考えられています。今回紹介されている問題商法との大きな違いは自力本願か他力本願かというところです。他人に任せた時点で手数料等でマイナススタートです。さらに本当に運用しているのか詐欺なのかも分からない場合もあります。言葉巧みに誘われ他人にお金を任せてしまうところが大きな失敗です。自己投資であれば自分で銘柄を指定し売り買いの指示を出し、自己責任です。その違いをはっきり区別し、認識しておくことが、「投資の性質」を判断する基礎となり、相談を受けるときの考え方の基礎にもなるのではないかと思います。何でもかんでも投資はダメだという考えはバイアスだと思います。ただし、問題になっている悪質業者は徹底的に息の根を止めるべきであり、それができる法整備を望みます。

②特集「投資型金融商品トラブル警報!」
・投資型金融商品の種類と仕組み、規制法を俯瞰する
・消費生活相談からみた最新の投資型金融商品のトラブルに関する傾向と対策
・投資取引における法規制のポイント
・相談実務のツボ 金融商品取引に関する相談対応の手順と事例
※金融商品の相談はもれなく専門の相談機関を紹介するというのではなく、センターでできることから法的手続きが必要なものまで対応の幅が広くなっています。相談員でも金融商品に関する知識は個人差が大きいです。金融商品に関する研修が多く開催されていますが、理解するのが大変です。今回の特集については自分の知識になるように何度も読み返し理解してください。

③ADR機関を利用しよう!
「越境してきた隣家の大木を撤去したいが・・・」

・隣家には10m以上の大木があり、申立人の敷地に枝、葉が大きく越境している
・撤去費用は100万円程度
・申立人の責任で撤去することなり、解決金として隣家が20万円支払うことで和解した
※この条件は悪いような気がします。ただ、本質はお互いが困っているというところでしょう。原因が隣家にある限り、条件が反対のような気がします。

④温故知新で読み解く消費者問題
「こんにゃくゼリーによる事故」

※こんにゃくゼリーについては以前に個別に記事を書いたところですが、私と同じような考えでうれしいです。「これからも製造販売を続けていくのならゼリーという表現は止めてほしい」というのは激しく同意します。

リンクはこちらです
関西消費者協会 http://kanshokyo.jp/hp/

消費者情報 2012年1月号

月刊 国民生活 2012年1月号

①特集 市販薬 販売方法のゆくえ
・市販薬 販売方法のゆくえ
・薬事法改正がめざしたもの
・販売実態とネット販売規制の見直し
・一般医薬品に関する都民の意識調査から
・医薬品と消費者トラブル-PIO-NETにみる相談の概要-
・コラム(1)市販薬のリスク
・コラム(2)医薬品副作用被害救済制度
※記事の見出しを見ると、重要な問題のように感じますが、相談現場ではあまり活用する機会は少ないと思います。
薬事法改正に伴う医薬品のリスク区分と販売方法の変更は一般消費者の行動に大きな変化をもたらしました。また、医薬品のネット販売については途中で運用が変更される動きが出るなど紆余曲折しています。
ただし、これらの問題が消費者センターの相談にあがるかといえばそうではなく、医薬品自体の相談については専門的な窓口を紹介するにとどまります。
どちらかというと、PIONETの統計のように、「配置薬」に関する苦情が圧倒的に相談件数を占めています。ケーブルテレビのように本当は有用なものなのに、営業方法が悪質で苦情になってしまうもったいないパターンですね。配置薬の仕組み(無料で薬箱を置いて、使った分だけ料金を支払う仕組みで、急病時に薬を買いに探さなくてもよいメリットがある)自体はすぐれていますが、コンビニでも薬が販売できるなど、そろそろ時代も終わってきたのかもしれません。
市販薬や薬事法については知識として勉強になりますが、相談現場では活用する機会が少ないので、大枠を勉強しておくと良いと思います。

②事例で学ぶインターネット取引
情報商材の問題点
・ECネットワークの原田さんによる執筆4回の2回目です。
・情報商材とはどのようなものか
・情報商材とポータルサイト
・アフィリエイトシステムによる販売
・被害にあわないために
※一時ほどの苦情はなくなりましたが、依然として相談が寄せられます。
限られたページ数に代表事例をまとめています。相談員として、この内容をすべて理解できればいいのですが、なかなか難しいでしょうね。情報商材の話にアフィリエイトが出てきたり、それぞれをしっかり理解していないと?でスルーになってしまうかもしれません。単に読み物としてではなく、自分の知識に取り込めるようになることを願います。この3ページに講義形式で3時間の研修をすれば理解につながるのではないかと思いますが、なかなかそうはいきませんね。この3ページの3時間の解説研修でもやってみたいです。
情報商材で「インフォスタイル」「インフォトップ」といえば、相談に出てきて覚えがあるかもしれませんね。私は「インフォトップ」のアフィリエイトにも登録しているので、内面から情報商材の販売の仕組みを見ることもできます。情報商材についてはシリーズ解説する予定です。

③知っておきたい相談周辺の基礎知識
販売奨励金と月割割引サービス
・1994年から20007年までは、携帯電話の販売奨励金(1台5万円程度)により、端末は0円で、毎月の料金に端末代を上乗せする形で販売されていた。
・2007年以降は端末代と通信料は分離され、端末の割引はなくなったが、通信基本料が大幅に安くなった。
・データ通信端末とネットブックパソコンをのセットにして100円など格安で販売するかわりに、比較的高額な定額料金の2年縛りの販売方法が出現した。
・スマートフォンでも各種の割引制度が使われている
※今回の記事は販売奨励金制度から現在に至るまでの流れをコンパクトにまとめているので必見です。
以前は基本料3600円で長期契約家族割引使用で1800円まで割引がありましたが、今や、1800円が基本で2年契約で980円というのがほとんどですね。メリットとデメリットを十分理解することがポイントです。

④住宅を考える
欠陥住宅問題-建物の欠陥とは-
・欠陥住宅かもしれないと思ったら
・欠陥とは何か
・建物の安全性とは何か
・建築士による相談・調査
※住宅による相談については、それぞれのセンターにより対応方法が違うと思います。住宅専門の相談センターがあるところは紹介することになると思いますが、センターであっせんする場合はかなりしんどいかもしれません。
今回の記事は、対応の流れを段階を踏んで論理的に説明しているので、非常に勉強になり、住宅以外にも応用できそうです。若干、理解しにくい部分もありますが、スルーしました。「欠陥現象」と「欠陥原因」を区別して考えるというのは理屈は理解できますがあまり使わない言い回しであり疑問が残りました。

国民生活センターHP
月刊国民生活1月号
http://www.kokusen.go.jp/book/data/gko.html

次の2月号は毎年恒例の、相談員試験の問題と解答の公表と合格者の一覧が掲載されます。
そして、何よりも注目が、「消費生活相談員」が特集記事となります。雑誌形式の出版の終了を間近に控えているのと、相談員が注目されているので、いいタイミングですね。どんな記事か楽しみです。おそらく、相談員は消費者の被害回復や悪質業者の撲滅へ貢献してきたという内容になると思いますが、個人的には、「相談員の資質について、より高度な知識とコミュニケーション力が求められているが、資質の確保が難しく、問題となる相談員もいる」というようなところまで突っ込んでもらえたらと思っています。