月刊 消費者 (2010年10月号)

月刊消費者という雑誌は、一般消費者向けで、相談員向けにはやさしすぎますね。
相談員として学ぶものは少ないと思います。
また、一般向けにしてもボリューム的にも内容的にも、もう少し工夫が必要だと思います。

今月取り上げる記事は特にありませんが1つだけ思うことを書きます。

農林水産省 げんき列伝
こだわりレタスをスーパーに直販
・八ヶ岳高原でこだわりの高品質レタスをつくって、首都圏と直接取引き営業し、売り上げを伸ばしている。
・今の社会は、価格重視か品質重視か分かれると思います。品質よりも価格重視にすることは簡単でしょうが、品質重視にするのが難しいですね。品質がよければ必然的に価格は高くなり、消費者に受け入れられなくなってしまうジレンマ。
・しかし、売り方しだいでは立派に業として成り立つ時代になってきています。ネット社会の今は口コミなど手法は豊富であり、それを使いこなさなければならないです。時代に合わせた方法をとることが必要です。農業や漁業も収入的にも職業として魅力のあるものを作り出していく必要があると思います。
・そのような実践例は、ネット上やテレビ番組「ガイアの夜明け」など直接見て知る機会が多くなっています。
・選択するのは消費者です。将来を見据えた正しい選択をしてほしいです。

日本消費者協会 http://www.jca-web.org/
月刊 消費者

月刊 国民生活 2010年10月号

①チェックチェック!苦情相談
詐欺的出会い系サイトの高額ポイント料金支払いで多重債務に
・無料の占いサイトを利用したら、同時に出会い系サイトにに登録されたというよくあるパターン。
・多くのメールが来るようになり、最初は普通の会話を続けながら9ヶ月間400万のポイントを利用した。
・典型的なパターンです。なぜ、長期間気付かずに続けたのかと思うかもしれませんが人間心理の世界です。この心理を理解してこそ、レベルの高い相談対応ができます。当然ながら、過去を責めてはいけないのはお分かりでしょう。
・私にも送られてくるメールの実物を公開していますので参考にしてください。
【別館】ネット関連情報

②暮らし注意報
映像配信サービスのトラブル急増
映像配信サービスは、映画やテレビ番組を見たいときに格安でいつでもみれるというもので、主に光回線を持っているケーブルテレビやプロバイダーなどで提供されています。
レンタルビデオにいかなくても見れるという大きな特徴で便利なサービスです。
しかし、こんな素敵なサービスでも勧誘方法に問題があることが多いので残念です。
本当に必要な人はあまりいないと思いますが、最初の1ヶ月は無料です、などの勧誘で解約トラブルが多いのです。
ビデオオンデマンド(映像配信サービス)について、しっかり知っておいてください。
機会があれば解説します。

③暮らしの判例
保険の乗り換えと説明義務違反
・高齢者が保険代理店担当者の勧誘により簡易保険を解約して終身保険等に転換されたことについての判決です。
・保険勧誘の違法性・・・適合性原則違反、説明義務違反、特別利益の提供等の禁止違反
・無効取り消し事の有無・・・公序良俗違反、錯誤、消費者契約法違反(重要事項の不実告知、不利益事実の不告知)
・どんな法のどこに違反するかなどを論理的に説明しているので勉強になります。

④消費者訴訟を学ぼう 消費者訴訟の現場から
欠陥住宅に住むことは利益?
・欠陥住宅の建替えにあたり、今まで住んでいたことに対する利益を損益相殺できないという最高裁判決です。
・関西消費者協会の消費者情報9月号にも同様の記事が掲載されていました。
・重要な判決なのでしっかりチェックしておいてください。

⑤法令から読む食品表示のウラオモテ
変わる食品行政
14回のシリーズの最終回ですが、消費者庁について書かれている部分を一部紹介します。
・消費者庁には、農林水産省や厚生労働省のようの「業界」を気にする必要がないのですから、純粋に消費者目線からの企画が期待できます。
・消費者庁は・・・・ほかの大臣に「口出し」もできるようになりました。
・悲しいかな世の中は不況の真っ只中・・・・新たに公務員を増やすわけにもいかず、ほかの省庁からの定員を振り分けてもらい・わずか200名余りの小さな所帯で発足することになりました。
(コメント)縦割り行政を打破できる仕組みはすばらしいですが、マンパワーの不足など、まだまだですが、今後期待したいです。

⑥相談員のひとりごと 相談に学びながら
聴くことのことを重ねて
・重要なフレーズがあります。
抜粋
『普段は早口なのに相談対応になると「ゆっくり話すのですね」と相談員仲間に言われ、初めて気が付いた。』
・話し方は重要です。このように、臨機応変に切り替えることができる能力を身につけてください。
・普段早口で、相談も「早口」かつ「専門用語を使う」かつ「相手の話を聴かず話し続ける」という最悪の話し方にならないように肝に銘じてください。しかし、このような状態に陥っても自覚症状がありません。周りもあまり指摘しません。赤信号に気が付いてください。
・話し方のスキルについても別途解説したいと思います。

国民生活センター http://www.kokusen.go.jp/ncac_index.html
月間 国民生活

解説 ドロップシッピング その7(最終回)

③ドロップシッピング商法は古典的商法(パターンが同じ)であるとの理解

ドロップシッピングの解説もいったん最終回となりました。
これまでの解説を読んで理解していただけたのであれば、ドロップシッピングとは、またドロップシッピング商法とはなにか分かったと思います。
そして、このドロップシッピング商法は古典的商法であるというのも納得がいくと思います。

つまり、今回は商材が「ドロップシッピング」であっただけで、対象は何でもよいのです。

ドロップシッピングというのは実はコストはほとんどかからないものだというのは分かってもらえたと思います。
そのコストがかからないものに対して、無理やりコストをかけてしまう商法なのです。
そして、それが悪いことかどうかはコストと比較しての価値観になります。
もっとも、安いコストの商品を提供する意味はないので高額になるのでしょう。

ドロップシッピング商法は、今まで解説してきた本来自分がすべき一連の作業を代行し手間賃を稼ぐことと安いものではなくあえて高いものを売ることで利益を出すのです。
前回にも説明した、カローラを売るのではなくベンツを売っているのです。
しかも、そのベンツが本来の性能を発揮できてない(たとえばSEO対策したのに上位表示されないなど)ことも問題です。
さらに、誇大なうたい文句ですね。
利益を上げれる可能性があると同時に簡単には利益を上げることができないことも分かっていただけたと思います。

おかげでドロップシッピングに悪いイメージが付いてしまいました。
そして、それが、ドロップシッピングとはあやしいものだというバイアスが生じることにもつながったのです。
本来はすばらしいビジネスモデルだというのにです。

10年近く前のネットがまだ普及し始める時期にも同じようなことがありました。
小売店に対して、「インターネットでお店のホームページを開設しませんか」という商法です。
消費者センターにも相談があったと思いますが、事業者ですので対象外で対応したと思います。
この商法はドロップシッピング商法と似ていて、HP開設スペースのためのサーバー契約とHPの作成費と更新費でした。
高額な初期費用と毎月の費用が必要です。
単純に自分でやればほとんど費用がかからいことはお分かりですよね。
さらに、パソコン本体の費用やHP作成ソフトまで買わされる場合もあります。
そうすれば、初期費用はあっというまに50万円を超えてしまいます。

もとはといえば、消費者が必要な知識を持ち合わせていないデジタルデバイド(情報を持つ者と持たない者、ITを使える者と使えない者との間に情報格差が生じ、それが収入格差にもつながっていく)という昔からの大きな問題が根底にあるのだと思います。

先物商法でロコロンドンなどの投資と同じですよね。最近は外貨です。
マルチ商法やねずみ講や豊田商事残党などとも発想は同じようなものです。
基本原則は共通です。商材は何でもいいのです。
基本原則が同じということは、基本的な対応方法も同じなのです。
目新しい言葉に惑わされる必要はありません。
その目新しい言葉をしっかり知っておくということを日ごろから心がけておけばよいのです。
まあ、その目新しい言葉を知っておくというのが実は難しかったりするのです。
その役割をこのスキルアップ講座が果たせたらと考えています。

相談員として、本来の正しい意味を理解しておけば、ワンランク上の相談対応につながっていくと思います。
「ドロップシッピング」の相談を受けてしまった、どうしよー、ドロップシッピングって何だったかなー」などという情けない対応にならないように日々努力してください。
そして、今回のドロップシッピングの解説が参考になれば幸いに思っています。

(平成22年9月23日 初稿)

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