月刊 消費者 (2011年1月号)

1月号は特記すべき記事はありませんでしたが、「2010年の10大ニュース・ヒット商品」が特集されていましたので少しコメントします。

10大ニュースは新聞でも発表されていました。
消費生活モニターが選んでいるわけですが、普通の10大ニュースとあまり変わりませんね。ヒット商品のほうが面白いかも。でも、何で?という商品もありです。

どちらにしろ、流行を知ることは相談員として大切なことです。知らないものがありましたら調べてください。

【消費者10大ニュース】
酷暑、子供手当て・高等学校授業料無料化、エコポイント、口蹄疫、所在不明高齢者発覚、事業仕分け、大阪地検特捜部証拠改ざん、改正臓器移植法施行、たばこ大幅値上げ、就職浪人、

【ヒット商品】
食べるラー油、エコポイント商品、iPad・スマートフォン、高速道路無料化社会実験、格安航空会社、Twitter・you tube、、熱中症対策グッズ、もしドラ、ロールケーキ、ガリガリ君

日本消費者協会 http://www.jca-web.org/
月刊 消費者

月刊 国民生活 2011年1月号

①特集 どう生かす 団体訴権
・団体訴権とは2008年改正から消費者契約法に定められた消費者団体訴訟制度のことで、2009年には景品表示法や特定商取引法にも対象が拡大しています。
・的確消費者団体は9団体で、これまでの差し止め訴訟として14事例が紹介されており、重要な判例となる事例も出ています。
※私自身は有意義な活動だと思います。しかし、訴訟の乱立や不可思議な解釈での訴訟、負けたときの影響を考えると不安を感じます。

②チェックチェック 苦情相談
販売代理店が独自に設けていたデータ通信サービスのクーリングオフ
・通信会社ではクーリングオフの規定は設けていなかったが、販売店が独自に設けていたクーリングオフが適用された事例
・通信会社自体は気付いていなかった、今後は独自に設けている販売店側が責任をもって対応することに。
・ホームページでの接続の優位性についての説明に行き過ぎた表現があるとのことで指導し、訂正を検討。
※書類でのクーリングオフ記載は絶対ですね。事業者側も「しまった」というところだと思います。また、文書上でなくとも、口頭で「いつでも解約できます」などがあれば強く主張していくことが重要になると思います。

③暮らし注意報
ご注意!悪質な「有料メール交換サイト」
・いまさらですが、定番ですね。
・SNS、懸賞サイト、占いサイト、芸能人の悩みを聞いて、芸能人のマネージャー、など今年流行したパターンです。
※何で引っかかるの?と思うかもしれませんが、ひっかっかってしまうんですよね。だから業者はやめられないんです。次から次へ手をかえ品をかえ。ただし、消費者センターでの対応方法はある程度確立されているので、取り戻せる可能性もずいぶん高くなりました。この対応方法は別の機会に書きたいと思います。

④暮らしの判例
学期開始後の4月5日における大学への入学辞退と授業料の返還請求
・この判例については、国民生活研究 第50巻第1号(2010年6月)で詳しく解説されており、ここでも取り上げているので省略します。

⑤消費者訴訟を学ぼう
宗教団体・信者の不法行為責任
・違法な献金勧誘行為と精神的苦痛を受けたとして損害賠償請求した事例です。
・「浄霊」という手かざしは大学内でもおなじみでしたね。なつかしい。
・借金をしてまで献金を繰り返すことは自由意志に基づく献金であるとはいいがたいとして、損害賠償を一部認めたが、献金勧誘行為が社会的に違法と案では認められないと、判断されました。

国民生活センター http://www.kokusen.go.jp/ncac_index.html
月間 国民生活

一般論の相談現場への応用

スキルアップ講座のメインにあたる相談現場での対応に関する「コミュニケーション」の重要性とスキルアップについて、今後取り上げていくつもりですが、基本的な考え方について書きたいと思います。

コミュニケーションといえば、「あいさつ」や「言葉使い」などを思い浮かべます。
これらのことは、子どものころから勉強してきたことですね。
簡単なことですが、相談現場で自信を持って使えてますか?
「横柄な態度だ」「親身になってくれない」「消費者の味方になってくれない」「名前を名乗らない」「言い方がきつい」などの苦情を受けたことはありませんか?
実は、思いのほか、この種の苦情は少なくないと思います。
小さいころから教わっていて、社会人として、当然使えるべきものが、使えていないということがあります。

「思ったこと・考えていること」と「実際に実行すること」が、全く反対であるという経験はありませんか。
怒るつもりはなかったのに怒っていた。
やさしくしたかったのに、きつく当たってしまった。
子育ての現場でもありますね。
子ども学校の成績を見たときもそうですよね。
「ついつい最後には説教になってしまう」
極論を言えば、子どもを殴ってしまったとか虐待してしまった、いじめてしまった。
また、口では「ダイエット」「禁煙」「禁酒」を宣言しているのに、できない。
3日坊主という言葉もあります。

そうです。
人は、思っていることをなかなか実行できないのです。
理性とか、心理学の世界になってしまうかもしれませんね。

思っていることを実行する能力をつけてほしいと思います。

相談現場でのコミュニケーションは、前提として、一般的に言われているコミュニケーションが基本となっています。
まず、この基本をしっかり理解することです。
しかし、一般論ではそうそううまくいかないことが多々あります。
相談現場という環境と個々の相談事例や相手の人格など特殊な状況にあわせたコミュニケーションへと応用していく必要があります。
つまり、
STEP1 → 一般論としてのコミュニケーション
STEP2 → 相談現場での共通のコミュニケーション
STEP3 → 個々の相談事例や相手の人格に合わせたオーダーメイドのコミュニケーション

とステップアップしてくるのです。

コミュニケーションに関する研修を受ける機会があると思いますが、それぞれ、どのステップの研修かを理解しておくことが大切です。
相談員が希望する研修は「STEP3」だと思います。
しかし、実際の研修は「STEP1」や、せいぜい「STEP2」だと思います。
その大きな理由は、コミュニケーションの専門家は「外部講師」が基本だからです。
外部講師が相談現場を熟知しているわけではないので、どんな優秀な講師でも「STEP3」の研修をすることは不可能だと思います。
たとえ、試みたところで、表面的なトンチンカンなものになる可能性が高いです。
このことは、研修を受講するときの姿勢(https://soudanskill.com/20101014/111.html)でも同じような内容で書いたところです。

それを棚に上げて、「この研修は全然勉強にならなかった」「相談現場とはかけ離れている」と批判します。
そういう相談員は、お荷物相談員のレッテルを貼られているでしょう。批判ばかり人間です。スキルアップの見込みがありません。

さきほど「どのステップの研修かを理解しておくことが大切です」と書いたところです。
「STEP3」の研修でないのなら、当然「STEP3」の研修内容であるはずがありません。
「STEP3」を期待しても「STEP3」ではないのだから、後から「STEP3」ではないと批判するのはおかしいのです。

本当に賢い相談員はどうするでしょうか。私はどう考えるでしょうか。

外部講師を呼ぶからには、その道の専門家であることは間違いありません。
したがって、「STEP1」なら「STEP1」の、「STEP2」なら「STEP2」のスキルを全力でアップさせるのです。
そして、「STEP3」へのヒントを少しでも感じ取り、相談現場に応用していくのです。

このような考え方を持つように意識変革させてください。
私のスキルアップ講座は、「意識変革(心がまえ・心がけ)」を一番重要視しています。
そうすれば、おのずと情報が入ってきますし、身につくのです。

なかには、それでは「STEP3」の研修をしてもらえばいいのでは?と思う方もいるでしょう。
「STEP3」の研修は実施可能でしょうか。
相談現場に精通していて、かつ、講師としてのコーチングおよびティーチング能力にすぐれている講師。
法律の専門家はたくさんいますが、見つけだすのは難しいのではないでしょうか。
内部の人間が講師をするのが一番の近道ですが、そんな優秀な人材はそうそう存在しないと思います。

このスキルアップ講座では、「STEP1」から「STEP2」、そして「STEP3」まで、記事のタイトルにもあるように「一般論を相談現場へ応用する」ための具体的な手法をお話したいと思います。
ただし、前回の記事でも書いたように、相談員や関係者以外にはあまり公開したくないので、どうするか検討中です。

もし、私が表舞台に立つようなことがあれば、「STEP3」の講師としてお話できる日を楽しみにしています。

(平成22年12月16日 初稿)
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