携帯電話の違約金条項の使用差し止め訴訟

携帯電話を、ドコモでは「ひとりでも割50」「ファミ割MAX50」、auでは「誰でも割り」で2年契約にすると基本料金が半額になるというサービスはいまや一般的ですが、2年間の契約満了時の翌月に解約しない限り自動更新され、中途解約すると違約金が9975円必要だというのが、利用者の利益を一方的に損なっており、消費者契約上も認められない、自動更新後も違約金が必要なのは不当な拘束だとして、消費者団体の京都消費者契約ネットワークが訴訟を起こした、と新聞に掲載されていました。
このニュースについて感想を書きたいと思います。

消費者センターでは中途解約に関する苦情相談件数は常に上位を占めています。料金の仕組みがわかりにくい・説明がなかったなどというのがそもそもの原因です。相談員自身が仕組みをわかっていないこともあり、相談者からの聞き取りや事業者との交渉で話がかみ合わないこともあります。争点になるポイントは限られているので、相談員として、各社の料金・契約の仕組みの概要は知っておく必要があると思います。これについては、別の機会に説明したいと思います。

従来(今も継続していますが)は契約期間に応じて割引する年割りと家族割の2本立てで前者は過去の契約期間に応じて10年で最大25%割引になり、後者の25%割引とあわせて基本料が半額になるというものでした。つまり、以前から同一事業者を長期間使用していなければ、割引の恩恵にあずかれなかったのです。ところが、2年契約を前提にいきなり半額にするというプランが出てきました。とても、ありがたいプランです。ただし、中途解約には違約金が発生するというものです。
このビジネスモデルは、よく考えられていると思います。事業者にとっても、消費者にとっても、中途解約しなければ、メリットの高いやり方だと思います。近年は長期契約で基本料を割引制度が一般的です。これは、長期契約することで基本料収入が確実に見込めるからこそ、割引くことが可能になったもので、当然、問題のない制度だと思います。半額なので1年で元が取れるということですね。この制度が携帯電話機本体の割賦販売にも応用されています。こちらのほうも苦情相談が多いと思いますが、基本的には問題はないと思います。表示がわかりにくいのは問題ですが。
ただし、2年間の自動更新については私自身は何とかしてほしいと感じています。

このようなトラブルは消費者側にも責任があると思います。
何が問題だかというと、「携帯電話を買ったのにすぐに解約する」ということです。一般的に携帯電話を数ヶ月で解約するということはあまりないですよね。みなさんのまわりでも、数ヶ月で解約したという話しは頻繁に聞くでしょうか。
どちらかというと、短期解約(中途解約)は消費者都合による解約と思います。当然、受けてた便益は返還するのが当然でしょう。これは。料金プランだけではなく機種料金にもいえることです。(新聞の景品も似てるかもしれませんね)。消費者にも様々な言い分はあると思いますし、説明を受けていないとか、わかりにくいという話は当然ありますが、せめて、最初の2年間は契約を続けてほしいですね。
実際の相談現場では、そのような感情論は考えずに、事実を元に粛々と処理していくことになります。ときには、「こじつけ」や「揚げ足取り」もしたりしますが、ほどほどにしてほしいです。

ちなみに本体は2年使用すればガタがくるものが多いです。電池も取り替える必要もあります。したがって、次の2年間が無事に使えるとは限りません。それを考えると、2年間の更新をするのは不安です。買い替えよりも、継続したほうが事業者は利益になるのだから、継続の2年契約は改善してほしいですね。故障したときに有利に買い替えできるようにしたり、1年契約にするとか、違約金を半額にするとか。
機種変更は本体代金が高額なので、一番恩恵を受けるのは、2年ごとに乗り換え(MNP)や新規契約にしたりすれば恩恵を受けます。私も最近、買い換えました。
どのような買い替えをしたのかを説明するとわかりやすいし、みなさんも実際に経験されたら料金の仕組みが良くわかるのではないでしょうか。

裁判では適正な判断が出てほしいと思います。悪しき判例にならないように願ってます。

月刊 消費者 (2010年6月号)

日本消費者協会が出版している「月刊 消費者 2010年6月号」を読んだ感想を書きたいと思います。

①特集 インターネットの「お作法」
・「インターネット面白くて怖いもの」という内容でECネットワークの理事が書いています。
さすが専門家だけあって、広くわかりやすく説明されています。
私が何度も言っているとおり、ネットは便利なもので今の現代社会では使いこなすべきアイテムです。とにかく、やってみることです。経験値を積むことが重要です。その過程では失敗もあるでしょう。小さな失敗ならOKです。大きな失敗は基本的にはないことが多いです。もし大きな失敗をしたならば、普通ではないリスクのある行為をしてしまったと思います。
この記事に書かれていることは、とても勉強になりますので、十分理解するとともに、この内容をこえた世界にも入って、ネットの奥深さを体験することも重要です。その奥深さについては、機会があれば解説したいと思います。
ちなみに、ここでも登場する出会い系サイトの被害例の「タレントとマネージャー」ですが、出会い系に登録している(または勝手に登録されている)私の元にも、同じようなメールがリアルタイムできております。
・「消費者目線から見た口コミサイト」という内容で経済産業省の方が書いています。
口コミサイトについて。消費者が口コミサイトに書き込む理由、口コミサイトの現状・可能性・未来など
相談員は、口コミサイトを大いに活用すべきです。特に利用価値が高いのは、価格.comの商品情報です。家電品や携帯電話などの相談があった場合は、このサイトで検索してみると、その商品の品質がよくわかります。それらの情報を予備知識に持って、解決方法を探ることになります。もちろん、参考ですよ。上級者では、2ちゃんねるを活用したりします(2ちゃんねるについても別の機会に解説します)。
②使ってみたら
「米びつろうと」
特にこの商品がというわけでもないのですが、米を普通の米びつに常温保存している人がほとんどですが、品質が劣化します。冷蔵庫に保管するのがベストです。保管はペットボトルを使う人が多いです。
わかっているのですが」、実行している人は少ないんですよね。
③消費者相談室
「自動送信された通信の料金」
携帯電話の収益モデルは徐々に変貌しつつあります。今は、パケットを上限定額で使うというのが主流になっていますね。したがって、それを前提としたかたくりがいっぱいあります。
その一つが、今回のトラブルの原因となっている「モバイルウィジェット通信」です。
契約時に必須オプションになっていたり、解約を忘れていたり、店舗で十分説明はできていない可能性もありますが、消費者も理解しておくべきだと思いますね。
交渉すれば、取り消しや減額になる可能性はあるとは思いますが、消費者側の責任もきっちり自覚すべきです。
相談員として、同様のシステムをきちんと理解して置いてください。
④食品サロン・たべものたべてみる
「甘いラー油 ぶっかけ!おかずラー油」
今ブームになっているラー油です。過去の記事で書きましたが、記憶に残ってますか?
⑤COJのちょっと待ッター
「建築申し込みを解約したが申込金が返還されない」
建築申込金の不返還条項、違約金条項、消費者契約法第9条第1号違反
などについて、実際の事例を元に、論理的に解説されています。
相談員として、論理的に考えることは重要ですので、参考にしてください。

日本消費者協会 http://www.jca-web.org/
月刊 消費者

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消費者情報 2010年6月号 (関西消費者協会)

関西消費者協会が出版している「消費者情報 2010年6月号」を読んで感想を書きたいと思います。

①特集「物価とくらし50年」
いまや超デフレ時代。負のスパイラルが渦巻いています。
戦後日本の歴史も65年、その間に起こった出来事を物価とくらしの観点からまとめています。
読み応えがあります。すばらしいです。
あの時は、こうだったなと、自分の時代と重ね合わせたりします。
子供のころは、まだまだ1ドル300円時代だったんだなあと。
プラザ合意で一気に2倍の円高ですね。
②表紙と巻頭インタビュー
まあ、いろんな人がいるんですけどね。
価値観は人それぞれです。
人はとかく自分の価値観を押し付けてしまいがちですが、このような雑誌に前面に出てしまうのはちょっと、と思いました。
③コンシューマートピック
中国毒入りギョウザ事件について考察しています。
おっしゃるとおり、中国はなぞだらけです。
つい、この間まで発展途上国、今も?
そんな中国に日本が食品を依存しているのは、結局は日本の消費者が安いものをと望んでしまった結果だと思います。
④現場からの相談情報
通信契約と抱き合わせの100円パソコンです。
全国的に同様の事例が多いです。
相談員としては、まず、仕組みをしっかり知ること。
メリットデメリットを知ること。
そのうえで、販売者と消費者の双方の問題点を分析すること。
などなど、別の機会に詳しく解説したいと思います。
⑤ワタシのミカタ(多重債務キャラバントーク)
消費生活相談窓口で多重債務の相談も同様に扱ってはどうか、という内容です。
これは、やはり、それぞれの自治体のキャパシティーの問題だと思います。
理想的には、すべての相談に対応できたらいいのですが、相談件数の多少、人員、相談員の質、など一律には考えられないほど多様です。
すべてを消費生活センターが担うのではなくて、消費生活センターが道しるべとなって、必要な役割分担をすべきだと思います。

リンクはこちらです
関西消費者協会 http://kanshokyo.jp/hp/
消費者情報 2010年6月号