マンション住人のトラブル その2(回答編)
「マンション住人のトラブル その1」の続きです。
※なお、上に書いた内容だけででも、その裏には、人間関係やそれぞれの立場などが複雑に入り混じっているので、単純なものではありません。
また、消費者センターとして、どこまで関与できるのかというのもあります。
【回答】
マンション内の問題、特に管理人の問題については入居者と管理会社との問題になるので消費者センターは入ることができません。理事長や入居者など管理組合を通して管理会社と話し合ったらいいのではないでしょうか。それでも解決しない場合は、住宅専門の相談窓口や法律相談を受けてください。
⇒現実の対応の多くは、このような対応になると思います。対応の方法はいくつもあって、この対応は間違っていません。
ところで、この話を聞くのに10分近くはやり取りしているでしょうか。親身になって相談者の話に耳を傾けた後の最後の助言になります。
消費者センターとしては正論であり、全く問題がない対応ですが、すっきりしない思いをもつこともあるのではないでしょうか。
本当は、もっと助言をしたかったけど、民民の話なので、助言することを躊躇してしまう。
センターとして、ほかの相談員と同じ対応をしなければならないので、私だけぬけた話はできない。
そういう事情が背景にあるのかもしれません。
そんなときに限って、「行政は何もやってくれないのか!」と苦情を言われたりします。
「相談員として相談者に対して満足してもらう対応ができたのか」「もっとできることはなかったのか」
確かに、消費者センターが「あっせん」する案件でもないし、分かりやすく確実な対応です。
しかし、相談員として「助言」できることをすべて出し切れたでしょうか?
相談員としての「やりがい」や「満足度」が満たされたでしょうか?
相談員になった理由や相談員としてのモチベーションを思い出してください。
「困っている消費者のために役立ちたい」ではなかったでしょうか。
繰り返しますが、この事例は基本的に消費者センターが間に入って「あっせん」する事案でもないし、できない領域でしょう。
しかし、「助言」はできると思います。
「助言」したところで、誰も損はしないですし、一般論であれば上司からお叱りを受けることもないと思います。
何よりも相談者の今後の交渉に「勇気」を与えることができ、間違って「最悪」な方向に行くことを未然防止することもできると思います。
相談員は相談現場で多くの経験を積んでいるのですから、相談者よりも知識や事例も知っているし、交渉の経験も豊富です。
相談者が今後交渉していく上で、どのように対応していけばいいのか、法律的な考え方や振る舞い方などを助言することは個人の裁量でもできると思います。
実際に、相談者に少しでも助言したいと思った場合、今回の事例で、個人の裁量(一般論で助言できること)を持って、どのような助言をしたらいいのかわからない場合があると思います。
さらに、本当は助言をしてあげたいのだけれども、そこまでの知識を持っていない、ということもあると思います。
そこで、相談員として、その裁量の中で助言できることについて考えたいと思います。
これが正解というわけではありませんし、いろんな答があるうちの一つと思っていただけたらと思います。
さまざまな可能性をできるだけ網羅していますので、自分なりに参考になるものがあれば活用していただきたいと思います。
まず相談対応するにあたって、重要なステップである、聞き取った内容を分かりやすく箇条書きに整理して、それぞれについて検討していく作業を始めます。
そのときにポイントなることは、相談内容を事実(推測を含む)と感情(希望を含む)に分けて考えることです。
それではケーススタディの最初の問題として、箇条書きした相談内容を「事実(推測を含む)と感情(希望を含む)」に分けてください。
なお、1つの内容の中に複数の要素が含まれていることもありますし、今後、確認していかなければならないこともあります。
①知人(相談者)は15戸ほどの分譲マンションに賃貸で入居している。
②2年ほど前にマンションの管理会社が変わってから、郵便ポストの中のチラシが勝手に出されて処分されていた。
③管理人がきている週3回の日と同じなので、管理人がポストの鍵を勝手に開けてチラシを処分しているようだ。
④また、管理人は関係のない日にもマンションに来てウロウロしているので気味が悪い。
⑤マンションの理事長に相談して管理会社に苦情を言ってもらったところ、しばらくは収まったが、最近、また同様の状況が起こっている。
⑥そこで、ポストの鍵を交換して番号を変えた。しかし、変わらずチラシが処分されていた。
⑦鍵を変えたのに中を開けて勝手にポストの中を見るのは問題ではないか?何とかやめさせたいが、どうしたらいいのか?
ヒントとして下線を引きました。考えてみてください。
(次回へ続く)