解説 ドロップシッピング その2

①ドロップシッピングとは何か、アフィリエイトとはどう違うのか (その1)

雑誌などでのドロップシッピング商法の解説には「ドロップシッピング」のことを正確に説明しようとするあまり、余計にわかりにくくなっているところがあります。
しかし、このアフィリエイトとドロップシッピングにおける天と地ほどの大きな違いをまず押さえておく必要があります。

復習になりますが、
アフィリエイトは何度も説明してきましたが、お店の商品のバナー広告などを自分(アフィリエイター)のHPに掲載し、それを見た人が、そのバナーをクリックすることで、その商品のショップに飛んで、そのお店で商品を購入することになります。
結果的には、購入者は商品を売っているショップから直接購入することになり、この商品購入契約にはアフィリエイターはなんら関係しませんし、購入者もそのバナー広告が単に商品やショップを紹介しているだけなのか、実はアフィリエイト広告だったのかは特に気にすることはありません。

ドロップシッピングは、
商品やお店を紹介するのではなくて、らショップを開設・運営し、自ら商品を販売することになります
すなわち、事業者になることになります。したがって、会社勤めの場合は就業規則違反になったりしますし、税務署に事業者として申告する必要もあります。
ショップを経営するので、相談員ならご存知の通信販売に当たり、また特定商取引法に基づく表示も必要になります。
また、当然ながら、購入者はあなたのショップから購入するのでクレーム対応も必要になります。
アフィリエイトでは単なる消費者(収入があるので厳密には違うかもしれませんが)だったのに、ドロップシッピングによって一気に「(個人)事業者」として起業してしまったことになります。

商品を仕入れたり郵送したりしていないのになぜ? と思うでしょうが、それを成立させているのがドロップシッピングの仕組みです。
在庫を持たなくてもショップが開けるというのが特徴です。

販売の仕組み
ショップはドロップシッピングを利用可能な卸売業者などのベンダーと提携し、ベンダーから商品を仕入れます(卸値だから安いとは言われてますが)。
ショップでは、その商品に自分の店での利益を上乗せし自由に価格を設定します。これが最大の魅力となります。
注文が入るとショップはベンダーから商品を仕入れて購入者に郵送しますが、この郵送作業もベンダーが代わりにやってくれます。
送り状はもちろんショップの名前で送られます。
また、注文を引き継ぐ仕組みもベンダーから提供されたりもします(ショッピングカートの仕組み、後述)。
したがって、ショップでは注文をとるだけで、あとはベンダーがやってくれるので、手軽にショップをもてるということです。
自分でする作業といえば、販売する商品を選び、自分で価格を設定することだけです。
あまりにも簡単すぎるので、自分自身がショップのオーナーで事業者である自覚が薄れるかもしれませんが、売主としての責任が発生するので、クレーム対応などが必要ですが、それらについては相談員であればよく知っていると思います。

これが一般的なドロップシッピングの仕組みですが、中には、ベンダーが販売責任をもったりクレームの対応をしたりする契約の形態もあります(そこまでしたらドロップシッピングの意味がなくなりそうですが)。
基本的には、ドロップシッピングは消費者がショップのオーナー(事業者)になる仕組みだと理解しておけばいいと思います。
(ドロップシッピングの仕組みについては、検索すれば詳しい解説サイトはたくさんありますので参照ください。なお、本講座での解説は相談員向けにアレンジしたものとなっております。)

さて、ショップを始めたあとはどうなるのでしょうか。
残念ながら、ショップを開設した当初の夢や希望は、まもなく消え去ってしまうことになります。
ほとんどのショップでは全く商品が売れないのです。
商品の売上がないショップは経営的にどうなるのかは予想がつくと思います。

補足ではありますが、ドロップシッピングは在庫を持たずにショップを解説することができ、商品や価格を自由に設定することが可能で、発送作業も代行してくれるという「ビジネスモデル」であり、この仕組み自体はすばらしいものだと思います。起業したい人にとっては魅力的です。そして、事業であるから、うまくいけば収益もあげることができます、失敗することもあるという自己責任の世界です。

もし、ドロップシッピングはあやしいものだ、と思うのであれば、それはバイアスです。
問題になっているのは、このビジネスモデルではなく、このドロップシッピングというビジネスモデルを一種の「商材」に仕立てあげて、それを悪用した古典的な悪質商法なのです(これについては③で解説します)。

次回は、この仕組みの続きで「ドロップシッピングは儲かるのか」ということについて解説したいと思います。

(平成22年8月23日 初稿)

解説 ドロップシッピング その1

ここ1年ぐらいでしょうか、最近の商法として、いわゆるドロップシッピング商法の被害にあう消費者が激増しています。
行政も動きが早いのか遅いのかわかりませんが、実名公表などがされ、新聞やテレビでも報道されています。

さて、ドロップシッピングという聞き慣れない言葉に相談員として拒否反応が出ていませんか?

実は、ドロップシッピング商法は非常に単純な商法であり、昔からある古典的な商法ともいえます。

今回から何回かに分けて、ドロップシッピングについて解説します。
ドロップシッピングへの理解を深め、適切かつ的確に「対応」できることを目標とし、相談員としてのスキルアップの向上につなげたいと思います。
また、この手の商法はパターンが同じということも理解して欲しいと思います。

ドロップシッピングについては、3つのポイントに分けて順番に説明したいと思います。
①ドロップシッピングとは何かということ(アフィリエイトとはどう違うのか)
②ドロップシッピングには(商材として)何が必要か
③ドロップシッピング商法は古典的商法(パターンが同じ)であるとの理解

さて、ここで以下の説明文を読んでください(②の説明の一部です)。
専門用語を交えていますので、ほとんど理解できないと思います。
このドロップシッピング解説シリーズが終わったときには理解できていることを願ってます。

『ドロップシッピングに必要なものは何でしょうか。
無料の「サーバー」では「商用利用」を禁止しているところが多いので、まず、「レンタルサーバー」を借りることになります。
そして、ホームページアドレスを表示するために「ドメイン」が必要となります。
当然ながら「独自ドメイン」がおすすめです。
それらを準備できたら、自分のショップをオープンさせるために、ホームページを作ります。
ホームページ作るためには、「ホームページ作成ソフト」や「ショッピングカート」なども必要でしょう。
さらに、商品を入れ替えたりする日々の「HP更新作業」や来訪者を増やすための「SEO対策」も必要になります。』

何のことかわかりますか?
これを理解できる相談員は相当ハイレベルだと思います。
相談員が理解できるはずのないものを消費者が理解できるはずはありません。
そして、被害にあった消費者にアドバイスするためには相談員が当然理解しておくことが円滑な対応に結びつきます。
とはいえ、理解しないままでも対応はなんとかできてしまいます。
しかし、理解したうえで対応することが相談員としての真髄であり、スキルアップにつながります。
理解しないまま、対応し、被害のピークを越えて、消え去ってしまう商法はたくさんあります。
理解して自分の言葉・知識として吸収されたときに、相談員としてのスキルがレベルアップするのです。
いろいろドロップシッピングについて解説されていますが、どれも浅いと思います。
深いところでそれぞれが絡み合ってこそ理解へのひらめきがおこるのです。
ドロップシッピングについてバイアスのない観点から理解して欲しいです。
また、こういう観点からの解説に出会うことは、まず、ないと思います。
このブログをみられている相談員はきっとスキルアップするに違いないと確信しています。

それでは、次回以降、解説していきます。

(平成22年8月19日 初稿)

解説 アフィリエイト その4 クリック報酬型アフィリエイト

これまで、物販系アフィリエイトと会員獲得系アフィリエイトを解説しました。
これらは、成果報酬型アフィリエイトと呼ばれ、クリックした後に購入や入会といったアクションが発生しなければ報酬に結びつきません。
広告を出すクライアントにしてみれば、出稿経費が不要なので、今や主流になっています。

これに対してクリック報酬型アフィリエイトがあり、アフィリエイトが登場したころは、こちらが主流でした。
読んで字の如し、サイトに貼り付けているバナー広告などをクリックすれば、それだけで報酬が発生します。
(また、クリック報酬+成果報酬という複合パターンもあります。)
クリック報酬は最近は1円ぐらいにしかなりませんが、数十円というのもあります。

クリック報酬にもさまざまな種類があります。
サイト管理者が、ASPから広告を選んで貼り付けるパターン。
これは管理者が目的により選択することができるので自由度が高いですが結構面倒です。
最近多いのが
そのサイトの内容にマッチした広告を自動表示するコンテンツマッチ型広告→グーグル、楽天、ヤフーなど
パソコンの訪問履歴から個人個人が関心のありそうな広告を表示するターゲットマッチ型広告→マイクロアドなど
があり、表示される広告の種類により報酬は異なってきますが、報酬は若干多めです。

これらはグーグルなどのポータルサイトがやってるんですよね。
グーグルなどが企業から広告を募集して、グーグルが多くのサイトを解析して最もクリックしてくれそうなサイトに広告を出す。
楽天やヤフーもやっていますが、この分野ではグーグルの一人勝ちです。
したがって、クリック単価も高いです。ただし、サイトの審査が厳しいことが有名です。
そのほか、グーグルは検索したときにスポンサーサイトとして一番上に表示されるなどの広告もしており、実際に広告効果により売り上げが倍増した企業もあります。
このようにポータルサイトはこのような広告収入にも力を入れています。

昔は、このクリック広告は、ほとんどがアダルトサイトやギャンブルサイトでしたが、後に出会い系サイトなどと変遷してきます。
始まった当初はクリック報酬も高かったのですが、今はこれらのサイトも成果報酬型に移行しているのがほとんどです。
不正な手段を使ってクリックを誘導したりなど問題がありました。

ちなみに携帯電話のサイトでは、一番上にほぼ必ず広告が表示されていますよね。
携帯電話ではクリックしてくれる確率が高いので報酬も高くなっています。
しかし、こちらも成果報酬型に移行しつつあります。

このクリックを悪用したのが、ワンクリック詐欺ですよね。
今はもう下火になりましたが。
また、最近は情報商材の広告が増えてきました。
さらに、このクリック報酬を利用したお金儲けの方法を情報商材などでも販売しています。

(平成22年6月24日 初稿)