スマートフォンの販売に力を入れるのは

1年ほど前から携帯電話各社の新製品販売のラインナップは「スマートフォン」です。
従来の携帯電話の話題は全く出てきません。

なぜ、スマートフォンなのでしょう?
それは、スマートフォンが儲かるからです。
いや、もしかしたら、従来の携帯電話が儲からないからなのかもしれません。

はるか昔、販売奨励金を使って1円携帯で売っていた時期がありました。
機種代金は月々の電話料金に上乗せされ、基本料金が3600円程度でした。
その後、長期契約継続者への割引と家族割で基本料が1800円程度になりました。

それでも、機種代金が通信量に上乗せされているのは良くないということになり、端末の料金と通信量が別立てになりました。
細かい部分は省略するとして、契約期間や家族割に関係なく基本料金が1800円になり、端末代金が5万円とかになりました。

さらに、2年の契約を約束することで基本料金が980円になり、さらに、端末代金の毎月割引サービスもでてきて、契約者の囲い込みに走りました。

事業者が端末代金を回収できるかと思ったら、結局は、端末代金の割引合戦の消耗戦となり、1つ前のモデルであれば0円で販売されるようになり、結局、もとに戻ってしまったようなものです。

そのとき主流の契約モデルとしては
基本料金980円(無料通話1000円付き)+Eメール315円+パケット料金
というところで、ネットや電話をあまり使用しないユーザーであれば、パケット料金は無料通話内で収まり、月々1200円程度の支払で済んだのです。これで、1つ前の端末を0円で買えば、携帯電話会社は利益を出すことが難しくなります。

その後、通信速度も速まり、ネット接続する消費者が増加し、パケットつなぎ放題というプランに移っていきましたが、全員がそうするわけではありません。
パケットつなぎ放題はパケット料金の上限が4400円~5000円程度でした。

つなぎ放題になり通信量が膨大になると、パケットで儲けることは難しくなってきます。
次に、メールし放題のプランが出てきて、基本料金が780円程度になりました。
パケットで儲けることは諦めたのでしょうか。
このプランの最大の欠点は、無料通話がなくなったことです。
したがって、電話料金がもろに請求され、無料通話内の安い料金で運用したい消費者にとっては、盲点だったかもしれません。
それでも、パケットつなぎ放題にしてくれればいいのですが、そうとは限りません。

そこで救世主としてスマートフォンが出現しました。
スマートフォンは基本的にはパケットつなぎ放題が原則です。
Eメールもアプリで動くのでデーター通信が必須となります。
従来の携帯電話と違いスマートフォンのユーザーはほぼもれなくつなぎ放題プランに加入しています。
使用する頻度が少なくても、つなぎ放題にする必要があります。
そうして、携帯電話会社はスマートフォンでは必ずある程度の料金を回収することが可能になりました。

最低限の料金収入の面から考えるとスマートフォンは携帯電話会社にとってはありがたい存在かもしれません。
今は、ウイルス対策やアプリ取り放題など付加的オプションを契約させるように動いています。
オプションの月極め契約は安定的な収入をもたらします。
当然、スマートフォンは端末代金も従来に比べて高額な設定になっています。
ただし、スマートフォンでも1つ前のモデルなどは0円になっていることもあります。

ざっと携帯電話の料金プランに注目してスマートフォンの販売に力を入れている、力を入れざるを得ない状況になっているという流れを書いてみました。様々なとらえ方があるかもしれませんが、相談現場では料金に関する苦情相談が多いので、基本的なプランについては知っておく必要があります。

以上が、普通の消費者の買い方になると思います。

普通でない?、できるだけ端末を安く購入し、毎月の料金も低く抑えて、さらに商品券をゲットするなど、賢い?運用の方法もありますので、今後紹介します。

安く押さえるキーワードとしては
購入時期、購入店舗、契約プラン、WI-FI運用です。

この記事にはコメントを記入することができます。コメントを記入するには記事のタイトルかコメントリンクをクリックして単独で記事を表示してください。

やたらとスマートフォンばかり

消費生活相談員資格の法的位置付けの明確化等に関する検討会中間報告(平成24年8月)より

消費生活相談は、ここ数年全国で年間90 万件程度で推移している。若干減少傾向にはあるものの、例えばスマートフォンの急速な普及により、スマートフォン及びその関連サービスに係る相談が急増したり、複雑な金融商品の普及に伴い投資商品に関する相談も増加しているなど、国民の消費生活の変化に伴い、相談の内容が変わってきているとともに、広域化、広範化、複雑化、高度化している。

PIO-NET にみる2011 年度の消費生活相談‐全国のデータから‐

②アダルト情報サイト
2011 年度は前年度よりもさらに約1 万件も増加した。利用料が有料であるという認識がないままサイトを進んでいくと、登録となり、料金を請求されたという相談がほとんどである。パソコンを起動するたびに料金を請求する画面が表示され消えなくなり、対処法に困って相談してくるケースも多い。また、スマートフォンの普及に伴い、スマートフォンからサイトを利用したという相談も増加した。

全国の消費者センターの広報紙にも「スマートフォン」によるトラブルの啓発ばかりです。

今や相談現場とスマートフォンは切っても切れない関係になりました。
そして、スマートフォンは端末の不具合トラブルや契約トラブルだけでなく、アダルトサイトやソシアルゲームなど関連サービスにも直結しています。

携帯電話の時代にも同様のトラブルの相談がありました。しかし、そのときはこれほどまでに携帯電話の知識が問われていませんし、相談員が携帯電話を所有していなくても、多少の知識が不足しても、大きく問題視されることはなかったのではないかと思います。
しかし、冒頭に紹介したように、スマートフォンや関連サービスに関する知識は相談員に必須であるかのように考えられています。

私はこれまでにも、単なる勉強した机上の知識ではなく、自分自身が実践することが一番大事であり、携帯電話やネットは実践の中から生きた知識を得ていくことが相談員にとって大切であると主張し続けてきました。

初期の携帯電話では何とかなったかもしれませんが、後期にソフトバンクが新しい戦略を繰り広げる中、机上の知識だけでは追いつかなくなってきました。そして、今や、スマートフォンの時代となり、スマートフォンや関連サービスは、スマートフォンを所有し生きた知識として知っている相談員と机上の知識しかない相談員とではレベル差が明白です。さらに、消費者の考え方も変化してきており、知識がないことに対して攻撃されるような時代になってきました。もはや、「私はスマートフォンには詳しくないのですが...」という説明は相談者の怒りを買う時代になってきました。

それでは、相談員はどこまでついていかなければならないのでしょうか?

最近、スマートフォンやソシアルゲームなどの関連サービスについての相談員を対象とした研修が多く開催されるようになりました。また、ECネットワークの原田さんの研修会は全国のセンターでもWEBからラーニングできるようにもなりました。

外部講師の研修内容はとても勉強になります。ただし、相談現場で必要な知識とシンクロしているかといえば少し距離感を感じます。外部講師なので、最前線のピンキリの相談員が相談案件を解決するために知りたいことに比べて少しレベルが高く、範囲が広いように感じます。すなわち、研修内容と必要な知識に少しGAPがあると思います。
とはいうものの、相談現場を熟知しつつ、スマートフォンなどの知識にたけている講師が研修しているという話も聞いたことがありません(そういう発想事態がないのでしょうね)。コラボすれば面白いのではと思ったりもします。

スマートフォンも、1年前と比べてはるかに浸透してきました。
携帯電話会社各社の新作発表会はスマートフォン一色です。
そろそろ機は熟したと思います。
相談員もスマートフォンを購入したり、購入を検討しているのではないでしょうか。
そういうアクションが実践への第一歩です。
購入を検討すると悩みます。
アンドロイドがいいのかiphoneがいのか、ドコモかauかソフトバンクか、料金プランは、本体の料金は、割引サービスは、WI-FIって、LTEって、などなど考え出したらきりがありません。しかし、考えることによって知識が積まれていくのです。

このスキルアップ講座でも、現場で役に立つスマートフォンの料金やプラン、通信、使い方、買い方などについて、今後定期的に解説していきたいと思います。

周りの相談員や職員になかなか聞けないことや、解説してほしいこと、疑問などをコメントしていただけたら、コメントに返信するか、解説内容に盛り込みたいと思います。匿名でも書き込みできるので遠慮せずに書き込んでください。場違いな質問でも場違いである理由を解説します。

この記事にはコメントを記入することができます。コメントを記入するには記事のタイトルかコメントリンクをクリックして単独で記事を表示してください。