ノンバーバルコミュニケーション(メラビアンの法則)

「スキル」は日本語訳で「技術」です。
「技術」は学ぶことができます。
学ぶためには、「技術」を知らなければなりません。
いよいよ、コミュニケーションの基本的な技術について、少しづつ紹介していきたいと思います。
そして、その基本的な技術を相談現場に応用していく考え方について発展させていきたいと思います。

まず最初はタイトルにもあるとおり、「ノンバーバルコミュニケーション」です。
「バーバル」とは言葉と訳されます。
ノンバーバルなので、言葉ではない、言語的でない、非言語的となります。
つまり、言葉を使用しないコミュニケーションのことをを「ノンバーバルコミュニケーション(非言語的コミュニケーション)」といいます。
具体的には、顔の表情や声の大きさ、声のトーン、視線、身振りなどによるコミュニケーションのことです。

これに対し、言葉によるコミュニケーションのことを「バーバルコミュニケーション(言語的コミュニケーション)」といいます。
具体的には、会話や文字などの言語的なコミュニケーションのことです。

一般的に、コミュニケーションには、この「ノンバーバルコミュニケーション(非言語的コミュニケーション)」と「バーバルコミュニケーション(言語的コミュニケーション)」の2つに大きく分けられるとされています。

心理学者のメラビアン博士が、話し手が聞き手に与える影響について調査した結果、話し手の印象を決めるのは、「言葉以外の非言語的な要素で93%の印象が決まってしまう」ということがわかりました。
これを「メラビアンの法則」とか「メラビアンの実験」とかいいます。
ネット検索すると詳しく解説されています。
具体的には
・顔の表情・見た目・しぐさ・視線などの視覚情報 ・・・55%
・声の質(高低)・速さ・大きさ・テンポなどの聴覚情報・・・38%
・話す言葉の内容などの言語情報・・・7%

言葉に書くと難しそうですが、簡単なことですよね。
話し相手が何もリアクションしてくれなければコミュニケーションが成立しなくなることは日常生活でもありますよね。
このことを学ぶコミュニケーション研修も頻繁にされるので経験されたことがあるのではないでしょうか。
「相手の話をただきくだけ」「相槌などで反応する」
この違いにより話し手が受ける印象は大きく違ってきます。

「何だ、そんなこと」、よくわかっていて、相談対応のときにもやってるよ。
といわれる方がほとんどですが、本当に相談現場では十分にできていのでしょうか。
もちろん、相談業務は相談内容(バーバル)が重要ですので、この法則がそのまま当てはまるとは限りませんが、相談内容をはっきりさせるためにも様々な場面で必要となります。
この考え方を相談現場でしっかり活用することにより、相談者とのコミュニケーションがより円滑になると思われます。
裏を返せば、失敗すると、クレームになってしまいます。

相談現場で相談者と相談員が最初にコンタクトする場面から必要になってくる重要なコミュニケーションです。

ここから、相談業務がスタートするともいえます。
(つづく)

(平成22年12月20日 初稿)
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一般論の相談現場への応用

スキルアップ講座のメインにあたる相談現場での対応に関する「コミュニケーション」の重要性とスキルアップについて、今後取り上げていくつもりですが、基本的な考え方について書きたいと思います。

コミュニケーションといえば、「あいさつ」や「言葉使い」などを思い浮かべます。
これらのことは、子どものころから勉強してきたことですね。
簡単なことですが、相談現場で自信を持って使えてますか?
「横柄な態度だ」「親身になってくれない」「消費者の味方になってくれない」「名前を名乗らない」「言い方がきつい」などの苦情を受けたことはありませんか?
実は、思いのほか、この種の苦情は少なくないと思います。
小さいころから教わっていて、社会人として、当然使えるべきものが、使えていないということがあります。

「思ったこと・考えていること」と「実際に実行すること」が、全く反対であるという経験はありませんか。
怒るつもりはなかったのに怒っていた。
やさしくしたかったのに、きつく当たってしまった。
子育ての現場でもありますね。
子ども学校の成績を見たときもそうですよね。
「ついつい最後には説教になってしまう」
極論を言えば、子どもを殴ってしまったとか虐待してしまった、いじめてしまった。
また、口では「ダイエット」「禁煙」「禁酒」を宣言しているのに、できない。
3日坊主という言葉もあります。

そうです。
人は、思っていることをなかなか実行できないのです。
理性とか、心理学の世界になってしまうかもしれませんね。

思っていることを実行する能力をつけてほしいと思います。

相談現場でのコミュニケーションは、前提として、一般的に言われているコミュニケーションが基本となっています。
まず、この基本をしっかり理解することです。
しかし、一般論ではそうそううまくいかないことが多々あります。
相談現場という環境と個々の相談事例や相手の人格など特殊な状況にあわせたコミュニケーションへと応用していく必要があります。
つまり、
STEP1 → 一般論としてのコミュニケーション
STEP2 → 相談現場での共通のコミュニケーション
STEP3 → 個々の相談事例や相手の人格に合わせたオーダーメイドのコミュニケーション

とステップアップしてくるのです。

コミュニケーションに関する研修を受ける機会があると思いますが、それぞれ、どのステップの研修かを理解しておくことが大切です。
相談員が希望する研修は「STEP3」だと思います。
しかし、実際の研修は「STEP1」や、せいぜい「STEP2」だと思います。
その大きな理由は、コミュニケーションの専門家は「外部講師」が基本だからです。
外部講師が相談現場を熟知しているわけではないので、どんな優秀な講師でも「STEP3」の研修をすることは不可能だと思います。
たとえ、試みたところで、表面的なトンチンカンなものになる可能性が高いです。
このことは、研修を受講するときの姿勢(https://soudanskill.com/20101014/111.html)でも同じような内容で書いたところです。

それを棚に上げて、「この研修は全然勉強にならなかった」「相談現場とはかけ離れている」と批判します。
そういう相談員は、お荷物相談員のレッテルを貼られているでしょう。批判ばかり人間です。スキルアップの見込みがありません。

さきほど「どのステップの研修かを理解しておくことが大切です」と書いたところです。
「STEP3」の研修でないのなら、当然「STEP3」の研修内容であるはずがありません。
「STEP3」を期待しても「STEP3」ではないのだから、後から「STEP3」ではないと批判するのはおかしいのです。

本当に賢い相談員はどうするでしょうか。私はどう考えるでしょうか。

外部講師を呼ぶからには、その道の専門家であることは間違いありません。
したがって、「STEP1」なら「STEP1」の、「STEP2」なら「STEP2」のスキルを全力でアップさせるのです。
そして、「STEP3」へのヒントを少しでも感じ取り、相談現場に応用していくのです。

このような考え方を持つように意識変革させてください。
私のスキルアップ講座は、「意識変革(心がまえ・心がけ)」を一番重要視しています。
そうすれば、おのずと情報が入ってきますし、身につくのです。

なかには、それでは「STEP3」の研修をしてもらえばいいのでは?と思う方もいるでしょう。
「STEP3」の研修は実施可能でしょうか。
相談現場に精通していて、かつ、講師としてのコーチングおよびティーチング能力にすぐれている講師。
法律の専門家はたくさんいますが、見つけだすのは難しいのではないでしょうか。
内部の人間が講師をするのが一番の近道ですが、そんな優秀な人材はそうそう存在しないと思います。

このスキルアップ講座では、「STEP1」から「STEP2」、そして「STEP3」まで、記事のタイトルにもあるように「一般論を相談現場へ応用する」ための具体的な手法をお話したいと思います。
ただし、前回の記事でも書いたように、相談員や関係者以外にはあまり公開したくないので、どうするか検討中です。

もし、私が表舞台に立つようなことがあれば、「STEP3」の講師としてお話できる日を楽しみにしています。

(平成22年12月16日 初稿)
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消費者情報 2010年12月号 (関西消費者協会)

①特集「消費者市民社会」って何ですか?
・「消費者市民社会」とは明確な定義はされてないが、「消費者が消費行動を通じて社会に参加し、持続可能な社会をつくっていく」と説明されています。持続可能という難しい言葉が出てきていますが、地球環境問題とよく似ています。
・消費者が積極的に声を上げていく、消費者教育の充実、情報の共有などがポイントとして説明されています。
※私は「消費生活の持続可能な社会は」は無理だと思います。環境問題はどうだったか?ということを考えると、日本人は「権利だけを主張して義務を果たさない」という悲しい現実があります。このことは消費生活にも当てはまると思います。

②現場からの情報 相談
教員採用試験対策講座の解約料
・講座を申しこんだが早急に契約しないと翌日の授業からの授業が受けられないなどと告げられ、あわてて契約。
・入学金3万円、授業料37万円、通信講座費3万円、教材費1万円、合計44万円の支払い
・数回受講後、内容に納得いかず10日後に解約したが、19万円もの高額な解約料を請求された。
・中途解約にかかる平均的な損料が焦点です。
・入学金と授業料は全額前納
・中途入学も認められていることから受講生の補充はいつでも可能。
・入学金と1ヶ月の授業と未受講分の10%の解約料の提示があり、返金は34万円となった(当初の解約料の半分)。
※事業者の言いなりにならず、しいかり交渉していくことが大切ですね。ただし、事業者との力の格差があるので消費者センターがあっせんに入るのがいいのではないかと思います。

③判例にに学ぶ
携帯電話機の異常発熱による低温やけどについて製造物責任を認めた画期的判決
・左大腿部の低温やけどが、ズボンのポケットに入れていた携帯電話機の異常発熱が原因であると訴えた裁判。
・ズボンの前ポケットに入れてコタツに入っていた
・やけどの発生源が携帯電話であり通常仕様であったことから、本来有すべき安全性を欠いているとのことで欠陥責任を認める判決
・被害者が負担した高額な調査費用の賠償も認められた
詳しくは判例参照 http://kanz.jp/hanrei/detail.html?idx=6381
・判決文には機種名は記載されていませんが、当時の報道では機種名が公表されていました。私が使っていたものと同じだったので記憶が鮮明でした。
・さて、私は、「ズボンポケットに入れっぱなしにする」という行為は、若い人は結構やっているのですが、「通常使用である」といえるのかどうか少し疑問を持っています。普通のポケットと違い、ズボンのポケットは体に密着しており、体の動きに合わせて密着度も増します。物理的に壊れる可能性もあると思います。
・地裁では棄却していますので、高裁の判決に対し、事業者は上告しています。最終判断はどうなるのでしょうか注目しています。

④ひょうご消費者ネット 団体訴権への展開
クレジットカード・リボ手数料の引き上げ問題について
・JFRカード株式会社が平成22年2月ごろに『5月締め分より、「DAIMARU CARAD」などのリボ払い手数料を、実質年率9.6%から14.4%に引き上げると規約改定の告知をした。
・新規分に限らず、改定前の利用分の残高に対しても新しい利率が適用される。
・どこも同じですが規約改定は告知後は了承する条項もあります。
・ただし、突然、5%も一方的に引き上げられるのは問題がある。
・「一方的変更権付与条項」「意思表示擬制条項」は不当条項の典型である。
・申し入れに対して、事業者はカードの規約の問題などの提言に取り組むとの回答があった。
・適格消費者団体 NPO法人ひょうご消費者ネット のHPに詳細が掲載されています。
http://hyogo-c-net.com/
※カード規約の改定は了承するというのが今の規約のほとんどです。最近も法律改正に伴う規約の改正の通知がたくさん届きました。ただし、それらは実質的にはほとんど影響のないものですが、今回のように手数料の値上げなどにかかわるものは死活問題ですね。これが5%でなく1%であったら問題にならなかったかもしれませんが、この上げ幅は消費者サイドから見れば大問題です。ただし、不当条項の指摘もありますが、法的に問題を突き詰めるのは難しいような気がします。

リンクはこちらです
関西消費者協会 http://kanshokyo.jp/hp/
消費者情報 2010年12月号