第一印象 ファーストコンタクト その3

来所相談でのファーストコンタクについて書きたいと思います。
ここでは、あくまでも、消費者と相談員が最初のあいさつを交わすまでに付いて述べたいと思います。
電話相談と違い相手の姿が見えます。当然ながら相手から相談員の姿が見えるというところで、声だけではなく態度にも気をつけなければならないので複雑になります。

目標は、電話対応と同じ、消費者に安心してもらい、お互いの信頼関係を築き、心を開いてもらうことです。
相手が見えるだけあって、うまくいけばスムーズです。
しかし、ひとたび関係が崩れるとその場から逃げ出せないために対応に困難を伴います。
ここでのポイントも電話と同じマイナスを出さないことです。

しかし、前提として消費者は弱い立場なので、消費者センターの対応が少々まずくてもトラブルになることは少ないと考えられます。
(最近はそうでもないのですが、これについてはべつの機会に)

消費者はトラブルを抱えてすがる思いで消費者センターに相談に訪れます。
普通は電話相談から始まるのですが、来所から始まるということは、よっぽどの内容ではないかと考えておくことも重要です。
すでに怒り心頭で、いきなりまくし立てることもあります。

ここでは初期対応、すなわち受付は誰がするのか、について考えます。
こればかりは消費者センターによって体制が異なります。
大きな消費者センターでは相談員が応対するかもしれませんが、小さな消費者センターでは受付の事務職員、行政職員、アルバイトなどが対応すると思います。
相談員が受付対応するのであれば「ツボ」は分かると思いますが(分からない相談員もいますが)、それ以外の人が受け付け対応する場合は、どれだけ受付がマニュアル化されているかに限ります。
マニュアル化といえば堅苦しいですが、いかにトラブルなく相談員に引き合わせるかが、受付の絶対使命です。

来所相談は顔が見えるだけに電話と違ったアドバンテージがあります。
それは、相手の相談内容のトーンが推測できることです。
大きな荷物を持っていたら商品かな、封筒を持ってたら請求トラブルかな、息子に連れられたお年寄りか、親につれられた子どもか、すでに興奮してそうなのか、いかついのか、少しおかしそうなのか、などなど
先入観は良くないとは言いますが、外見からかもし出されている雰囲気を感じ取り、対応のミスをなくす(マイナスをなくす)ために活用したらよいと思います。

受付では、笑顔で親切に対応するのがいいのでしょうか?
賛否は分かれると思いますが、私は電話相談と同じように淡々と対応したらよいと思います。
まあ、相手にもよりますが、いきなり笑顔でニコニコと話すと、怒り心頭の消費者の場合は逆燐に触れることもありますので、淡々とした方がいいのではと思います。

さて、受付では、相談受け入れ可能条件を確認する必要があります。
このタイミングは消費センターによって違います。
受け入れできない場合の対応について、しっかり対応できるようにしていてください。
受け入れ不可能とは、住所地が違う、近隣トラブルである、事業者間のトラブルである、など、相談可能範囲は消費者センターによって異なります。
受付できない場合は、電話と違い、せっかく来所したのに、たらいまわしにする、という新たなトラブルが発生します。
行政サイドとしてはあたりまえのことなのですが、消費者としては理不尽で受け入れられません。
そして、できないことを説明するときに、その話し方を含めた対応が新たな苦情を生んでしまうことがあります。
受け入れできる場合と受け入れできない場合、そして受け入れできない場合はスムーズに関係部署を紹介する、という対応をマニュアル化しておいてください。

さて、受け入れできるかどうかは、どうやって確認するのでしょうか
相談内容を聞かなければわかりませんよね
実際に相談対応する相談員であれば問題は少ないのですが、受付など違う人が確認する場合、どこまで相談内容を聞けばいいのか、しっかり考えておく必要があります。
消費者によっては、いきなり相談内容をまくしたてるときがあります。
そんな場合、実際に対応する相談員に同じことを説明することになり、さっき言ったばかりだろうという苦情にもなります。

以上のように、こまかく考え始めるときりがないですよね。
ただし、これは、最悪の場合を想定しています。
最初に言ったように、前提として消費者は弱い立場なので、消費者センターの対応が少々まずくてもトラブルになることは少ないと考えられます。

しかし、こういった細やかなことが自然にできるような相談員であれば、おのずと相談対応・コミュニケーション能力にすぐれているともいえると思います。

そして、相談者と相対した相談員は、「相談員の○○です」というあいさつから本題に入っていきます。
この時点で、マイナスがない、むしろプラスの状態であれば、以後の話もスムーズに進むのではないかと思います。

※来所相談におけるノンバーバルコミュニケーションの「顔の表情・見た目・しぐさ・視線などの視覚情報」については、今回のファーストコンタクトのカテゴリーではなく、別の相談対応のカテゴリーで書きたいと思います。

(平成22年2月3日 初稿)
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「すぐやる」術のすすめ (日経産業新聞2011/2/3より)

日経産業新聞はビジネススキルの記事が頻繁に掲載され、とても参考になるので紹介します。
「すぐやる」術のすすめ (日経産業新聞2011/2/3より)

①なぜすぐやれない人が多いのか
→完璧を目指してしまうから
ビジネススキルの現場での事例があげられています。
・まず取りかかり、上司らに状況を逐次報告することが大事
・相談しながら修正することで結果的にいいものができる
・できが良くて遅いより、できが悪くても早いほうがいい
など
【参考書籍】
「とにかくすぐやる人の仕事の習慣」
著者:豊田圭一、定価:1344(税込)、発行日:2010/03/11
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②行動が停滞している人が多い
→そういう人に足りないと感じているのは「経験」
失敗するほど成功確率は高まる
諦めずにやってみると、適応できたり助けてくれる人がいたりと、困難と思っていたことでもできてしまうことも多い
なせばなる
【参考書籍】
「考えすぎて動けない人のための「すぐやる!」技術
著者:久米信行、定価:1,260(税込)、発行:2008年8月
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※コメント
ビジネス現場を想定しているので、相談現場と同じとは限りませんが、とにかく、思い立ったら「すぐやる」ということを心がけてください
この研修に行きたいと思ったら最優先して参加。
興味のある本があったら即効で購入。
疑問点があったらすぐに調べる。
私もそうですがなど、先送りにしたら絶対にできなくなります。
思い立ったが吉日。
やろうと思ったときが、やり時です。

月刊 消費者 (2011年2月号)

①第7回消費者力検定結果報告
・成績上位者には月刊消費者の1年分のが記念品として贈られるそうです。
一般コース70点満点中63点以上
基本コース40点満点中37点以上
・一部の問題が掲載されていますが、それほど難しくはありません。

②消費者相談室
事例1
「電子マネーで支払った出会い系サイト料金」
・携帯電話の無料ゲームサイトを利用していて気付かないうちに出会い系サイトに入っていた。
・国際弁護士とか医師と称する女性から、「500万円上げます」などと言われた。
・会う約束の時間に行くと急用で会えないなどとして何時間もメールのやり取りが続く。
・よくある典型的なパターンですね。同様の被害をたくさん経験し、消費者センターも、お金を返してもらうための方法がマニュアル化されていますね。
・支払いはクレジットカードではなく、ビットキャッシュという電子マネーという最近のパターンです。
・この事例は6割返金になりましたが1年以上かかっており交渉の困難さが浮き彫りになっています。
・2010年4月から、前払式証票規制法から資金決済法となり、サーバー型の電子マネーも規制されるようになりました。今後も改正の余地はあると思います。

事例2
「書面での督促がないままカードの利用停止に」
・キャッシングの支払いに端数の入金を忘れて放置したためブラックリストにのった。
・実は、カードの支払いが遅れた場合、思わぬ不利益を受けるので注意しなければなりません。
・今回は、督促の電話があったのに放置してしまったとのことです。
・たまたま入金不足があることもあります。私も経験がありますが、すぐに連絡して振込みしましょう。
・この事例では文書連絡がなかったと主張しています。不当条項で適格消費者団体への情報提供を提案しています。
・不当条項で訴えてもかまいませんが、明らかに本人の不注意です。権利を主張する前に自立しましょう。

日本消費者協会 http://www.jca-web.org/
月刊 消費者