ジャドマニューズ 2011年3月号

ジャドマニューズは日本通信販売協会の広報誌で、以前から紹介しているところです。
ジャドマニューズ(日本通信販売協会) https://soudanskill.com/20100809/81.html

3月号の「通販110番」の記事から一部紹介し、コメントします。

通販110番消費者相談編
「商品の説明が紛らわしい!」

事例1「入り数が1枚なのに、「セット」の表示はおかしい!」
・普通2枚で1セットなので2セット買ったが2枚しか届かなかった。説明欄に販売個数=1枚=1セットとなり、紛らわしい。
→紛らわしいという事で交渉を助言。後日セットという表現が削除されていた。

事例2「多く買うと「もっとお得」とあるのに、割引額が変わらない!?」
・2個セットで3960円が2960円の1000円引き
・4個セットは7920円が5920円でもっとお得。2000円引き。
・どちらも1個当たり500円の割引で同じなのに、「もっとお得」はおかしい。
→何をもって「もっとお得」かが不明瞭。後日「もっとお得」の表現が削除されていた。

事例3「「段差対応型」は平たんな場所では使用できない?」
・平面でも設置できると思っていたら、平面には設置できないことがわかった。
→「対応型」の表現が紛らわしく、返品を受けるとともに、今後説明を付け加えることとした。

3つの事例とも、どっちもどっち、と思います。結果的には事業者に問題があったわけですが、特に店舗で実物をみないで手購入する時代になったゆえに、思ったものではなかったという買い物が多くあります。注意して読むと説明があったりするのですが、手にとったっら間違うことがないようなことも実物をみずに購入するので起こってしまいます。すべての広告や説明を鵜呑みにせず、自分自身で判断するという今の時代を上手に生きる消費者を目指したいものです。

通販110番事業者相談編
「取扱説明書」

事例1「入り数が1枚なのに、「セット」の表示はおかしい!」
・「手洗い30度(ぬるま湯)」「弱い手絞り」等の表示のニットシャツを全自動洗濯機の「手洗いモード」で洗ったところ、伸びて着れないので新品と交換してほしい
→全自動洗濯機の「手洗いモード」は必ずしも選択表示とは一致していない。新品でも
※相談員であれば直感的に洗濯機の使い方の問題と理解できるでしょう。すると、申し出先は洗濯機メーカーで、取扱説明書などの確認と改善を要望するところですね。この事例は奥深いですね。使い方の問題とはいえ、家電品は複雑になってきていますので単なる誤使用としてしまうのは正しい判断とはいえない部分も感じます。

社団法人 日本通信販売協会 HP http://www.jadma.org/
会報誌(JADMA NEWS) http://www.jadma.org/jadma_news/index.html

月刊 消費者 (2011年4月号)

①特集 貧困のゆくえ
「改正貸金業法の影響と課題」
改正貸金業法が2010年6月に完全施行されましたが、その影響が大きいのではと懸念されていました。
今回、改正貸金業法の影響について解説されています。
・多重債務者の減少→100万人規模で減少
・ローン難民が大量発生したか?→ごく一部を除いて特に変化なし
・ヤミ金融被害者が増えたか→落ち着いている
・貸金業者の倒産・廃業→事業縮小が社会全体に影響を与えたとはいえない
というのをみてみると、表面的には思ったほど影響はなかったのかもしれませんね。
「働きたい若者たち」
・増加する若者ホームレス
・若者だけの責任ではない貧困
・若者が働ける環境づくりを
「増加する高齢者の貧困」
「貧困は命を奪う」
※貧困の現状を解説しています

②商品先物取引法
・2009年7月に改正され、2011年1月に完全施行された法律のポイントを解説しています

③消費者相談室
「ドロップシッピング契約を解約したい」
・インターネットで知った内職の契約がドロップシッピングで月30万の収入があるといわれたが話が違う
・書面不備によりクーリングオフ
「パソコンのサポート有償との表示がなかった」
ネット購入で無償のサポートがついていると思ったら、パソコン本体の故障なら3年間無償だが、ソフトの場合は有償であった
※どちらもよくある事例です。メリット・デメリットを知り、受身ではなく積極的に賢い消費者になることが大切です

ついに、今号で休刊となりました。
今の社会情勢を考えると復刊は難しいと思います。
もっと、もとを正せば、月刊消費者の内容が本当にニーズに合っていたのか、と考えます。
消費者向けにしては内容が少なく厚みもありませんし、どこにでも入手できる情報です。
一方、消費者行政や企業のCSにとっての専門性があるかといえば、ほとんどありません。
そうなれば、売れないのは必然ではないでしょうか。
公の団体に近いゆえに、編集に必要な力を注げなかったのかもしれません。

日本消費者協会 http://www.jca-web.org/
月刊 消費者

消費者情報 2011年4月号 (関西消費者協会)

①巻頭インタビュー
苦情の背後に潜む問題を見いだし、制度の改革・改善につなぐ
いくつか抜粋します。ぜひ本文を読んでください。
・相談員は目の前の相談者の苦情を解決するのは当然第一主義。でも、決してそれだけではない。その後ろに潜む問題点を見いだし把握して、それを制度の改革や改善につなげていくのが、本当の相談員の役割だと思ってます。
・最近は特定商取引法でスッキリ解決できる相談は少ないです。
・法律はどんどん変わっていきますから基礎知識は必要ですが、相談員の仕事は法律知識を振りかざすことではありません

②特集 終わりなき問題商法
・最近の問題商法の傾向と特徴
・複雑な金融商品の蔓延-仕組み商品の問題点
などの事例が紹介されています

③ADR機関を活用しよう
「自転車事故に関する解決事例」
・公益社団法人総合紛争解決センター(大阪)の事例です
・左折中に起こった自転車と自転車の事故
・相手方の自転車は30万円の高級自転車で修理不可能で全損として請求
・損害賠償請求に対して支払う必要がないことと、支払う必要があるとしても適正な金額を算定してほしい
・和解あっせん人が、現時点での中古車価格。過失割合を考慮し、最終的に15万円の賠償となった
※高級自転車や高級時計など事故のケガよりも物のほうが問題になることがあります。
減価償却は私も理解できますが、乗っていた自転車は15万円では買えないので、中古でもいいので費用負担なしで自転車が欲しいのではないでしょうか、高級自転車の中古なんてほとんどありませんので、不満が残るでしょうね。
相談現場では、クリーニング賠償基準など減価償却が当たり前で、思い出や思い入れなど考慮されません。それを、当たり前とは思わず、このような場合に相手の気持ちをしっかり受け止めてあげることが重要です。

④判例に学ぶ
野村證券からの「仕組み債」の購入について錯誤無効を認めた大阪高裁判決
・トラブル多発の仕組み債です。消費者センターで取り扱うの難しく、結局は裁判になることが多いですね。
このような商品は弁護士などの専門家に任せるのが適当だと思います。
・裁判では、きっちりと法律に基づく解釈と判断が理論的にされます。判例を読み解くことは相談員として勉強になります。判例集を読む時間がない場合でも、少なくとも、このような雑誌の判例の解説を読んでおきたいですね。

リンクはこちらです
関西消費者協会 http://kanshokyo.jp/hp/
消費者情報 2011年4月号