人の話をきくこと(TVタックルより) その2
まず、人の話を聞かず割り込んでくるという状況が生まれる理由として
「その話に納得がいかない」ということです。
その背景として、「事実関係が違っている」「思い込みがある」「批判されている」と思っているからです。
間髪いれずに、納得いかない話をさえぎり、自分の意見をかぶせて主張してきます。
話をかぶせてきた場合に、討論番組では、そのまま主張し続けていましたので、2人同時に話をしていることになります。
当然かぶせたほうは、声もトーンも大きくなっています。さらに、3人目も話をかぶせてきます。
話を中断したら「負け」と思っているのでしょうか。
人物像
まず、相手の話をさえぎりまったく話を聞こうとしない人は、いくら説明しても最後まで納得しないことが多いと思います。
そのような人物像に対して、説得を続けるということは労力がかかるだけで実らないことが多く疲れてしまいます。
正義感と責任感が強い相談員は何とか相手を説得しようとがんばりますが、がんばればがんばるほど裏目に出ます。
ポイントは冷静な事実確認
相談内容を「事実」と「推測」に分けるという説明を今までしてきましたが、このタイプの人は「事実」ではなく「推測」を「事実」に転嫁して主張していることがあります。第3者から見れば「推測」なんですが、それを指摘すると、主張そのものが成り立たなくなるので、論点をずらすなど、「事実」の確認から避ける傾向があります。それを指摘しようとすると、話を際限なく重ねてくるのです。このように話が重なると、声が大きいほう、口調が強いほう、早口で巻くし立てるほうが「勝つ」という意識になるので終わりません。
相談対応としては、かのような勝ち負け論争になるのは避けなければなりません。
対応方法
どうするのかというと、「一歩引くのです」。
相手が、明らかに間違っている主張や、誤解していたとしても、割り込んできた話に、さらに割り込まず、最後までしゃべらすのです。
相手の話が終わったら、声のトーンは冷静かつゆっくりと「~の根拠は難ですか」というオープンクエスチョンや、「~があったのですか」というクローズドクエスチョンを問いかけるのです。すると、都合の悪い話だと、前述と同じようなやり取りに戻るのですが、これも、しゃべりたいだけしゃべらしておくのです。その後、「もう一度確認したいのですが」と。事実確認を続けます。根競べですね。
あっせんには事実関係が最重要です。それがあいまいなままだと話がまとまりません。
明確な答えは出なくても、雰囲気でわかると思うので、「~ということですよね」と誘導型クローズドクエスチョンにもっていきます。
この事実関係さえ抑えれば、次に段階に進むことができます。
もうひとつは「相手を批判しない」ことです。
批判されると必ず反論してきます。言葉を上手に選んで批判にならないような表現をしましょう。
「苦笑いしている出演者」のように「一歩引いて」、同じステージに乗らないようにするのが相談員の立場です。
もちろん、気持ちのつながりや共感は大切ですが、相手によってしっかり使い分けましょう。
これを読みながら、私は大丈夫と思っているかもしれませんが、当事者になるとついつい冷静さを失い興奮してしまうことがあります。
貴重な第3者の指摘があれば素直に振り返ってみてください。
どのような論点の相違でそうなってしまったのか。
どうすれば冷静に対応できたのか。
実践から日々学んでいく必要があります。