消費者情報 2010年11月号 (関西消費者協会)

①特集 多重債務問題と反貧困
・詳しくは本誌を読んでいただくとして、現在の問題をいろんな視点から解説しています。
・やっぱり、私自身は日本が豊かになった代わりに、日本人の心を失ったのではないかと思います。人々の心を病ませ、悪質商法をはじめとした消費者問題の拡大につながっている一因になっているのではと思います。
・多重債務問題については、貸金の規制が強化されたことで、これからの人は借りれない人も多くなりますが、多重債務による破綻は減少するのではないかなあと思います。多重債務に陥る前に早期にOUTとなることで深刻な事態は減るかもしれません。また、貸金という商売自体も転換期を迎えているのではと思ってます。

②消費者関連資格に備える、今週末のKeyWordレッツ・スタディ
・合格した先輩に聞きました 二次試験必勝!体験アドバイス
・「消費生活アドバイザー」と「消費生活専門相談員」という消費者関連資格の二次試験の情報です。
ネット上では、これらの資格に関する情報が少ないので受験者にとっては重宝するのではないでしょうか。

※今月号はこれという記事が少なかったです。まあ消費者情報はページ数が少ないですから。

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関西消費者協会 http://kanshokyo.jp/hp/
消費者情報 2010年11月号

消費者情報 2010年10月号 (関西消費者協会)

今月号で取り上げるのは1つだけですが、法律の勉強をしましょう。

判例に学ぶ
耐震偽装マンションの購入について「錯誤無効」を認めた札幌地裁判決

・耐震偽装マンションの購入者らが売主に対して新規分譲契約の無効・取り消しを求めた事案。
・買主→法定の耐震強度を満たしていないのに満たしているとの前提で購入した意思表示には、民法95条の「要素の錯誤」があるとして、契約の錯誤無効等を主張。
・売主→耐震基準を満たすよう補修する瑕疵担保責任を負うだけである。
・判決→耐震性能等の基本的性能が具備された建物であることが当然の大前提で、耐震偽装の建物の引渡しは、その誤解に基づき売買を合意したことになり、売買目的物の性状に関する錯誤(いわゆる動機の錯)があるとした。阪神大震災を例に、耐震強度に関する錯誤が重大なものと認め、法95条の錯誤無効を肯定し、売買代金の返還を認めた
動機の表示がないという売主の主張に対して、耐震偽装の具備は予想外の錯誤の主張によって売主が困惑するという事態は発生しないもので、「当該性状があるから買い受けるという動機が表示されたがその性状がなかった場合と同一視すべきだ。
・まとめ→民法の錯誤無効となったが、これは実務上容易ではない。事業者の不実告知・不告知・情報提供義務違反により動機の錯誤が起これば取り消しできるように民法の錯誤の要件を緩和し、消費者契約法での取消権が拡充される必要がある。

法律用語がたくさん出てきて読み解くのには集中力が必要ですが、詳しくは本文をじっくり読んで、民法の解説もじっくり読みながら勉強してみてはどうでしょうか。
最高裁HP(http://www.courts.go.jp/)に判例掲載されています
平成18(ワ)2803 損害賠償請求事件 平成22年04月22日 札幌地方裁判所
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=80557&hanreiKbn=03

教科書どおりでは、建築物に瑕疵があった場合は建て替え等を要求するのではなく修理で対応するということが書かれてあったように思います。また、「要素の錯誤」は取り消しできるけど「動機の錯誤は」取り消しできない、という解釈もあります。
耐震偽装となると、契約取り消し無効まで判断することができるんですね。
ハードルは高いですが、対象によってはいろんな解釈ができるということですね。

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消費者情報 2010年10月号

消費者情報 2010年9月号 (関西消費者協会)

①特集 高齢社会の困りごと 「住宅リフォームと買い物」
この特集の中で買い物難民についてコメントしたいと思います。
・経済産業省は食品や煮用品の購入など必需的な買い物に不便を感じている「買い物弱者」が増加している地域があり地域流通のあり方など対応を検討している。
・背景として、少子高齢化・単身世帯の増加・人口の大都市集中と地方の過疎化の進展・国内小売業の市場規模の減少などがあげられており、特に高齢者問題が深刻である。
・自動車の発達により郊外型ショッピングモールなどの大型店が多く出展したため、地域の中小商業は経営悪化し店舗閉鎖に追い込まれた。その地域に住む消費者は近隣に買い物をする店舗がないので交通手段がない場合には買い物弱者となる。
⇒私が子どものころは地域のお店は健在で電気店や八百屋や市場などがたくさんありましたが、スーパーができてくると状況も変わってきました。社会が成熟した先が今のような形になったんだと思いますが、それを責めることはできないと思います。時代の流れですね。最近は大鋸店舗も景気の悪化で店舗閉鎖してきており、買い物する場所すらなくなった地域もあるようですね。この流れは止めることができないと思います。新しい仕組みを構築する必要があると思います。幸いなことに、その取り組みも様々に試されています。
・地方の電気屋さんでは価格を安くするのではなく地域住民と密接につながりを持ち、高齢者などへの電球の交換なども引き受けたり地域の見守り役も担うようになり、商売としてもがんばっているという話は5年ほど前ぐらいから聞きます。私の子ども時代への回帰でしょうね。人間同士のつながりを求めることが新たな関係を生み出すのですが、価格が安いことを重視すれば今のような社会になってしまいます。私も人のことは言えませんが。
・今後は、インターネットを使った買い物も注目されるでしょうね。画面を見ながら買い物をする、今やipadに代表されるタッチパッド式の画面はこのような場面に必要とされますね。都心部では地域のスーパーがネットで注文を受け配達もしてくれます。地方では最近コンビニが生き残りをかけた新たなサービスを展開しています。たとえばトラックに小さな店舗のように商品を並べて、お店と同じ品揃えで過疎地域を回り喜ばれているなど。今、高齢者の所在確認などが社会問題になっています。これらを上手く連携させることができればお店にとっても消費者にとっても行政にとっても可能性が見えてくると思います。
・ガイアの夜明けでは、買い物についてもよく取り上げられています。
「ガイアの夜明け」(4/13)“便利”を深めろ!~コンビニ飽和時代の新戦略~
http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber/preview100413.html

②多重債務キャラバントーク ワタシのミカタ
・公営住宅の家賃滞納者へ訪問し実態を調査すると、預貯金もなく生活費をサラ金から借りることもあり、その取立ては厳しく、家賃は最後の優先度になる、などを知ったことから、システムを改善し家賃滞納がほぼなくなったという事例を紹介しています。いろいろ言いたいこともありますが、現場や実態を知ることは大切です。

③判例に学ぶ
「欠陥住宅」損害賠償における「居住利益」の控除を否定した最高裁判決
・欠陥住宅で建て替えとなった場合に、居住者がそれまで住み続けた居住の利益は損害から控除すべきだという事業者の反論に対して、控除できないとの判断が下されました。
・確かに、たとえば5年後に立て替えたら、建物の寿命が5年延びるので、5年分は相殺すべきだというのは、なるほどと思います
・しかし、建物の瑕疵は容易に発見できず賠償請求したとしても応じない場合が多い。その間も安全性を欠いた建物に住まなければならない。損益相殺すると賠償額が小さくなり、誠意がない売主に利を与える事態にもなり公平ではない、とのことです。
・危険な商品は利得にもならない、業者のやり得を許さない。勉強になる記事でした。

④投稿 消費者被害防止と事業社名公表
・事業社名公表の考え方はとても難しいです。特に、自治体では条例に基づき公表できるが、ほとんど実施されていないのが現状です。
・自治体でも積極的に公表すべきだという意見は最もでしょうが、本当に難しいです。負担が大きいです。現実的には、国が代わりに公表してくれるようなシステムが必要だと思います。

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関西消費者協会 http://kanshokyo.jp/hp/
消費者情報 2010年9月号

消費者情報は一般の書店では販売していないようです。
大阪ではジュンク堂書店や旭屋書店などで売ってるようですが、そのほかでは、「政府刊行物サービスセンター」や「弁護士会館ブックセンター(霞が関)」で手に入るようです。