新たな詐欺商法の予感
国は東日本大震災に関して、復興国債を発行すると発表しました。
「復興のために資金を調達したい国」と「少しでも復興のために役立つのならと購入する国民」との思いが合致した政策でしょう。結局は国民の借金になることには違いないのですが、今回はそのことは置いておきたいと思います。
このニュースで私が感じたことを、みなさまも感じたでしょうか。何でも疑ってしまう職業病ですね。
エビの養殖、イラクディナール、水資源、と、詐欺的商法は商材を代えるけで永遠に続いていくことは過去にもお話しましたが、「復興のための債権」という名目で日本人の被災地を少しでも助けたいという気持ちに付け込む詐欺が出現する予感がします。
私が詐欺業者であればいち早く目をつけると思います。悪質業者は私たちの一歩先を行きます。アンテナを張ることは大切です。
それを後押しするニュースがあります。
たとえば、被災地で被災した企業に国は工場再建のための補助金を出すことにしていますが、建設時に最初から補助金を出すのではなく、企業が融資を取り付けて、完成時に補助する仕組みになっています。しかし、この制度はほとんど活用されていません。なぜなら、銀行の審査が厳しくなり、今までに延滞をしたこともない、付き合いのある銀行でさえ、融資を拒否し、企業が自力で融資を取り付けることが困難になっているからです。
このニュースを例に出して、「銀行が融資を渋っていて困っている企業に融資するための債権を発行することにしました。ぜひ被災した企業を助けてあげてください。国が後から補助金を支払う制度になっていますので、必ず融資金は返還されます。したがって、債権も安全です」という勧誘手口が考えられますね。
じゃあ、私たちに何ができるのでしょうか?啓発?
実はできることは少ないのです。まさしく、以前にも書いた啓発の限界です。
商材が変わっただけで、次々にだまされてしまうのです。
「被害の未然防止」にはなりにくく、「被害を受けた後の対応」になってしまうのが現実です。
現場にいれば、それを痛感します。
このような歴史的背景を考えると、啓発だけでなく、行政の事後対応としての消費者の被害回復のための法整備や迅速な対策を強化することが現実的です。
消費者庁からも詐欺的商法に関しては警察と連携して口座凍結などの手続を迅速にするようにとの通知も出されています。
口座凍結や厳罰、資産没収などを迅速に行う制度を後押ししてほしいです。
啓発は目に留まりにくいですが、被害情報は目に留まりやすく、マスコミも取り上げます。
新しい詐欺の相談があれば、いち早く情報を共有して、公表し、被害が出ていることを消費者に知ってもらうことで、少しでも消費者被害の未然防止に役立てることが重要だと思います。
最後に、復興国債がらみの詐欺が発生せず、単なる私の心配しすぎになることが一番うれしいです。