ジャドマニューズ 2014年7・8月号
JADMA日本通信販売協会
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2014年7・8月号
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ジャドマニューズ
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今月号から勉強になる部分を紹介し、コメントと相談現場への応用について解説します。
特に今回は非常に勉強になる号です。ぜひ読んで頂きたいと思います。
リレーコラム「通販ビジネスの持続可能性」
本当の「売り物」とは「感動」「信頼」「共感」
・誰もが販売可能となったネット通販においては「同質化」「過当競争」のなか、目に余る販売方法が溢れかえり、今まで築き上げてきた「通販は信頼できる」という概念が崩れつつあります。
・持続可能性は「顧客から選別される企業価値」を如何に確立するかにかかっています。
・これから日本は少子高齢化により人口が減少し、消費人口も加速度的に減っていく「減成長社会」に突入していきます。
※ネット通販の現状と、今後の生き残り方のヒントが満載です。個としての差別化された価値観は私もキーポイントだと思います。特に小規模事業者にとっては。
座談会 顧客対応の変化
企業4社の顧客対応担当者の座談会(高島屋、東京糸井重里事務所、富士フィルムヘルスケアラボラトリー、やずや)
テーマ1 顧客対応担当者が抱えている課題とは
・20-30代の若い社員が多いので、50-70代のお客様の感情によりそえない
・厳しいクレームを受けた後の心のケアは、全員で対応して気持ちを共有し、後に引きずらないようにする。抱え込まず、長引かせない。
※消費者センターの相談員は40代以上が多いので、ある程度の年齢層はカバーできますが、やはり、リタイア後の世代からの相談対応は大変なことがあります(具体的には別の機会に)。
テーマ2 ネット以前と以後では顧客はどう変わったか?
・メールの普及によってお客様の苦情が過激に?
・回答が1行しかない場合も、気を使わないといけない。
・後で残ってしまうものなので送る前に必ずチェックする。
・以前に返信メールをSNSに担当者の名前とともに貼り付けられたことがある。
・ネット上の「不確かな情報」で問い合わせをする人が増えた
・お互いに専門的な知識がないので、研究開発部門に聞くが、わかりやすく翻訳しなければららないケースが増えた。
・ネットのニュースの反応がすごく早くなっている。
※メール回答を作るのは、一つのスキルだと思います。必要最小限のことを的確にまとめる力が必要です。ネットの掲示板の情報を見て相談する人もいますが、基本的には正しい情報源でないものは取り扱いません。ただし、とりあえず、ネット検索して確認はしていました。何らかの事件が発生すると反応が早いのは同じで、そのためにまずそのニュースがあることを知っておく必要があります。さらに、詳しい知識も勉強できればと思いますが、現実には追いついてませんね。
テーマ3 通販の変化は顧客にどう影響するか
・産地証明など、できる限りの「安心」を提供し、付加価値を高める
・アマゾンと比べてなんで翌日とどかないのか、誤配の交換は自宅まで取りこい、などスピード感を求める方が多い
※事業者側の問題による応対はクレームレベルが高く、慎重な対応をする必要があると思います。「自宅まで来い」の話は特に考える必要があります。
テーマ4 JADMAが顧客対応部門にできること
・トラブルが続いている中国工場に視察に行ったときお客様からの感想メールを持っていったら、それ以降、品質がよくなった。
・「困ったお客様」に対する会員企業の取り組みを共有したい。
※中国工場の話は企業不祥事を減らすためのヒントになっていると思います。JADMAは消費者センターでもよく利用させて頂いてますので大助かりでした。少し企業目線が多いのが気になりますが、それは仕方がないと割り切ることも必要です。
特別レポート 通販をめぐる法改正の動き
通販業者に深く関係のある2つの大きな動きがある
①食品の新たな機能性表示制度
・・・いわゆる健康食品をはじめとする保健機能を有する成分を含む加工食品及び農林水産物の機能性表示の容認
②改正景品表示法に新たに盛り込まれる「課徴金制度」
・・・不当表示があった商品の売り上げに対して一定の掛け率の課徴金を算出(3%?5%?)
通販110番
事業者相談編
品切れや納期が遅れる場合は、すみやかに連絡を!
相談事例1 商品完売の連絡がなかった!
カタログを見て、ベルト2本セットを注文した。商品がなかなか届かないので、会社に問い合わせたところ、「商品の入荷が遅れているので、もうしばらくお待ちください」との回答だった。しかし、その後も商品は届かず、会社から連絡もない。注文から1カ月以上も経っているので、再度会社に問い合わせたが、「商品は完売しました。申し訳ありません」と言われた。
オペレーターは謝っていたが、いつ完売になったのか、なぜ連絡をくれなかったのか等の疑問に対する詳細な説明はなかった。このような対応は問題ではないのか。処理内容
「入荷待ち」がわかった時点で、まず消費者に遅延を知らせるべき
相談者に「遅延および完売が判明した時点で、会社はすぐに連絡を取るべきだった。会社に苦情内容を伝え、注意を促したい」と回答したところ、理解が得られた。
当該社に連絡して苦情内容を伝えたところ、「ハガキで注文いただいた。通常であれば7~10日程度でお届けできた。しかし、当商品は入荷待ちの状態で、明確な入荷予定日がわからず、入荷次第お届けする予定だった。しばらくして、商品の完売がわかったが、当方の不注意で顧客へのお知らせが遅れた。顧客に電話をかけたが、本人が不在のため、電話に出られたご家族に伝言をお願いした」との回答だった。
担当者に「完売については、ご家族が伝えていないと察せられる。しかし、受注後『入荷待ち』がわかった時点で、まずは本人に遅延を知らせるべきだったのではないか」と指摘した。担当者より、「顧客にはご迷惑をかけたので、お詫びかたがた当方から連絡をさせていただく」との回答を得た。
※商品が送られてこないという相談は消費者センターでも多い相談です。ネット通販の悪いところがこれに集約されています。特に、個人の事業者はおろそかになりがちです。
相談事例2 会社に細やかな対応を望みたい!
ネット通販で、セール品の子ども服を12点注文した。今日商品が1点だけ届いた。明細書を確認したところ、他の商品は欠品となっていた。商品代金は100円で、別途送料と振込手数料の合計750円が加算されていた。これでは商品代金よりも手数料が高くなり、セール品を注文した意味がない。会社に苦情を申し入れたところ、商品代金のみ払い込めばよいことになったが、事前に欠品の連絡があればキャンセルをしたと思う。会社はもっと細やかな顧客対応をすべきではないのか。
処理内容
苦情内容は消費者の意見として会社に伝えたいと回答
当該社に対しては、「商品が届かない」「電話が混雑していてつながらない」などの相談も寄せられていました。相談者に、「セールのため、注文が殺到しているようだ。会社の状況を考えると、細やかな配慮に手が回らないと察せられる。今後のためにも、苦情内容を消費者の意見として会社に伝えたい」と回答したところ、理解が得られた。
※まず、常識的に考えることができなくなったら顧客サービスは終わりです、という典型例ですね。
通販110番より
明確な説明と理解の得られる顧客対応で、消費者とより良い信頼関係を築きましょう
会社の予想を超えて注文が入り、商品が入荷待ちとなることはあり得ることです。入荷日が確定していて消費者に知らせることができる場合はよいのですが、相談事例1のように入荷日が不確定で、さらに完売のため引き渡しができなくなった場合、消費者の気持ちを考慮して、明確な説明と理解の得られる顧客対応が求められます。
相談事例2では、会社に消費者の意見を伝えたところ、「通常の状態であれば、商品発送前に顧客に連絡を入れることができる。しかし、現在はセール品の注文が殺到していて手が回らない状態であり、同様の苦情が寄せられている」との回答でした。セールで注文が殺到することは予測できたことで、消費者への配慮が欠けていると察せられました。
通販において顧客対応は、商品広告とともに消費者の信頼を得るための要です。JADMAの定める「通信販売倫理綱領実施基準」では、「広告表示より遅れることとなったときは、すみやかに申込者に通知すること」と規定しています。会社の顧客対応いかんによっては、消費者の信頼を失ってしまうことを常に意識し、より良い信頼関係を築けるよう心がけることが望まれます。
※想定外という言葉がはやりましたが、十分予想されることです。きちんと対応しなければ顧客はどんどん逃げていきます。
事業者相談編
比較対象価格の表示
相談事例1 参考価格の表示
過去に販売当社での販売実績はないが、百貨店などで販売している価格を参考価格として、トマトジュースや海鮮セットなどをカタログに掲載して販売するにあたり、メーカー参考価格といったようなものを表示できるか。
回答
全国展開の通販の場合、 市価を比較対照価格に用いるのは不可能!
二重価格表示を行う場合において、比較対照価格として用いることのできる価格は、「メーカー希望小売価格」、「自店旧価格」、「市価」とされています。
ご相談の参考価格は市価ということになり、通常、通信販売は全国で販売されるものですので、トマトジュースや海鮮セットの全国の市場価格を調査する必要があるということになってしまいます。しかし、そのような市場調査は不可能ですし、メーカー希望小売価格もないと思われますので、参考価格(市価)を比較対照価格とすることは難しいです。
一般的には、二重価格のガイドラインに沿って、「最近相当期間」自社での販売実績(セール前8週間のうちの過半)を作っていただいてから、二重価格表示をしていただくのがよろしいかと思います。
相談事例2 増税前後の価格の比較表示
化粧品の販売会社10社と広告代理店との連合企画による消費税8%増税後の化粧品の販売に当たり、10社の商品の広告を共同企画で掲載するチラシにおいて二重価格表示を行う際に、比較対照価格は平成26年3月までの消費税5%の内税表示を比較対照価格として、平成26年4月以降の販売価格は8%の内税表示と比較して二重価格表を行うことは可能か。また、10社のうち1社は外税表示で販売しているところ、その社だけ外税での二重価格表示が混ざってしまうが、どうすればよいか。
回答
消費税率の違いや外税価格の表示は明確に
比較対照価格は内税同士での表示にするか、外税同士での表示にするか、どちらかに統一すべきところ、平成26年3月の販売価格と4月の販売価格では消費税率が違うので、そのことを内税価格のところに3月までの販売価格については「消費税5%込み」と表示し、4月の価格には「消費税8%込み」と表示すれば誤認はない排除できると考えます。
また、共同チラシの中で1社だけ外税での価格表示がある場合は、消費者が誤認することのないよう、3月までの販売価格には「別途消費税5%」及び4月以降の販売価格には「別途消費税8%」というように、この社の商品だけは外税であり、別途消費税がかかることがわかるように表示すべきです。
相談事例3 1年続けているキャンペーン価格
当社では販売当初から1年以上「キャンペーン特別価格」と表示して販売しているが、新商品の販売当初はともかく1年経っても「キャンペーン特別価格」という表示のままでいいのか悩んでいる。
回答
「キャンペーン特別価格」は期間をきちんと明示し、終了後は価格を戻すこと
販売当初は確かに「キャンペーン特別価格」と表示しても差し支えありませんが、きちんとキャンペーンの期間を明示し、キャンペーン終了後は販売価格を戻すべきです。1年経ってもずっとそのままの価格ということになると、「キャンペーン特別価格」でも何でもなく、「通常販売価格」となってしまうので有利誤認となるおそれがあります。
一般消費者から消費者庁等に「あの会社は年がら年中『キャンペーン特別価格』と表示して販売していて、特別価格でも何でもないのではないか」といった苦情があれば、有利誤認の疑いがあるとして調査の対象となることもあり得ます。
「キャンペーン特別価格」と表示して販売しても問題とならないのは、新商品販売からせいぜい半年位までというのが一般的だと思いますが、仮に半年間「キャンペーン特別価格」で販売した場合、キャンペーン終了後に元の販売価格に戻したとしても、価格差が大きい程、高い方の価格で購入する顧客は少なくなってしまうのではないでしょうか。意図的に行った場合はもちろん有利誤認となります。
※相談事例1と3は事業者にとって勉強になるのではと思います。特に3の事例は紳士服とかでも良く見かけますね。二重価格のガイドライン「最近相当期間」は自社でのセール前8週間のうちの過半の販売実績というのをしっかりおぼえておいてほしいです。