お客様をつくらない

以下のような相談がありました。特に守秘義務に相当する部分はないと思いますので、考えてみたいと思います。一部修正削除しています。

私はいつも傾聴を心掛けて話をじっくり聞くのですが、ちょっと話を聞きすぎるのか、必要以上に依存してくる相談者(女)が発生(?)してしまいました。
(心療内科に通院している、見るからに病気の女性です)
本来の相談(マルチ商品の返品・返金)は終了しているのですが、何度も何度も電話をかけてきて、しまいには「仕事が終わったらタクシー代を出すから私の家に来てほしい」とか「あなたの携帯電話の番号を教えてほしい」とか。完全に依存したい気持ち満々です。どんなにきっぱり断ってもやっぱり電話をかけてきます。他の先輩相談員にも迷惑がかかりますし、その人が電話をかけてきてる間は、話中になるので、本当に困って電話をかけてきているかもしれない相談者にも迷惑な話です。一応おととい決着をつけましたが、また思い出したように電話かけてくるのではないかという気持ちもぬぐいきれません。
私のようにじっくり傾聴を心掛けると、必要以上によりかかってくる相談者もいます。
センターは、心の相談センターでもなければいのちの電話でもありません。問題解決に対して相談にのるところだと思います。だけど、傾聴も必要なんです。
消費生活相談員は、そこら辺のサジ加減が非常に難しいところだと思います。

回答

消費生活相談の対応としては当然傾聴ありきですので、それを心がけて対応されているのでまったく問題はありません。
相談対応中はある程度依存してきてもかまいません。
アフタの話は、あくまでも今回は例外だったということです。
問題になるのは、案件が終了した後の対応になります。
ご質問のとおり、終了した、もしくは不調で打ち切った場合に、引き続き連絡してくることがあります。

それは、クレーマ的な場合もあるし、質問にあるような、少しメンタルな相談者が案件以外のことで相談員を頼って何かと連絡してくる場合です。

まず、終了した案件が気になって仕方がないという半分継続案件のようなケースは、「大丈夫ですよ」と繰り返し説明することになると思います。
そして、今回のようにどこかで区切りをつけるということが大事です。

理由として
相談の案件は終了したので、センターでは相談以外には対応できず、ほかの相談者からの相談を受けれなくなるので、申し訳ないですが、お話できません。もし、メンタルで気になることがあれば、相談できるところを紹介します。

これ以降の電話には基本的には同じ回答を繰り返し、少々ビジネスライクになってもいいですし、文句を言われてもいいです。とにかく対応する必要はありませんが、ただ、そうはいかないのが行政であるが故のことです。
可能であれば、行政職員に対応してもらうことをおすすめします。
今回のケースで行政職員が対応していないセンターの場合は、メンタルということで、こころの相談をしてくれるところなどを紹介してください。
上手に紹介して誘導できるのかはスキルになります。
あくまでも、最後まで「お願い」の雰囲気で対応することが大切です。
その中の1つのヒントとして、「私(相談員)が対応したくない」のではなく、仕事の仕組みとして「相談以外のことに対応してはいけない。私が怒られる」ことになっているとして、第3者を悪者にすることです。バランス理論が原理です。個人的には話しはしてもいいのだけれども職務上できない。個人的に会うこともできない。

「お客様をつくらない」

ここでいう「お客様」とは用件が終わったのに、継続的に連絡してくる方のことで、メーカーや行政など、どこでも存在します。
種類としては、クレーマー的な人と話し相手が欲しい人に分かれます。

クレーマー的な人の場合

処理した内容に不満がある場合は、何度も連絡してきます。消費者センターでは可能な範囲で希望に沿うようにあっせんしますが、要求が度を越していたり、そもそも事業者に問題がない場合や、事業者が対応できる範囲が限られている場合があります。
そのような場合には、消費者センターの範疇を超えているとして、ワンランク上?の法律相談を紹介します。
ただし、法律相談でも難しい場合が多いので、結局相手をされず、センターに戻ってくることがあります。
何度か対応すればあきらめる場合もあるし、数ヶ月、数年、連絡してくる場合もあります。
さらに、同じような別件で何度も相談に来る場合もあります。
また、ストーカー的なパターンもあります。解決は無理だと分かっていても、気に入った女性と話をしたくて連絡してくるのです。担当の相談員が非番だと通常は「ほかのものが対応しろ」となりますが、ストーカー的な場合はあっさり引き下がり、再び連絡してきます。

話し相手が欲しい人

特に高齢者の場合、あっせんにあたって、細かい配慮をする必要があるので、親切丁寧に対応する必要があります。そうして無事に解決した場合、非常に頼りにされてしまい、また話をしたいと思ってしまうのです。周りに話し相手がいる場合は、そもそも悪質商法にあう可能性は少なくなりますし、やはり背景として周りに話し相手があまりいないことが少なくありません。家族等とも疎遠になったりしていることもあります。回答事例のように、どこかで区切ることが必要です。

一番重要なことは「消費生活相談」には丁寧に対応することです。それ以外のことについては常識的な範囲内にしておくことです。つまり、雑談から被害にあった背景を探る場合などは世間話もありでしょうが、なんとなく、世間話をすると、無限続きそうだという予感がした場合は必要なことのみで対応します。

行政職員が対応

対応が難しい相談の場合は、行政職員が対応することがあります。今回も少し度を越しているので行政職員の出番かもしれません。
ただし、行政職員が対応する体制になっているかどうかは行政によって異なります。
このような案件(リピートに対してある程度対応してきたが、これ以上は無理という場合や業務に支障が出ている場合)が生じた場合にセンターとしてどう対応するのかということを決めておくことが重要だと思います。
そのようなルールがないセンターは、ずるずるとなってしまう恐れがあります。

行政は最後のセーフティネット

行政は市民からの相談をむげに断れません。私自身は個人的に強行的な姿勢になってもいいかなと思ったりしますが、大人げないようです。困っている市民は行政全体で支援することが原則です。消費生活相談については消費者センターですし、それ以外のことについては適したところを相談して確実に誘導することがセンターの役割です。

相談員のメンタルに注意

必要以上に何度もリピートされる場合に、消費者センターではありがちなことだと思って、割り切って対応できる相談員だったらいいのですが、中には、心に重くのしかかりメンタルに負担がかかる場合があります。その場合は、当該案件だけの単発なメンタルであれば、SOSで行政職員など誰かの手を借りるのがいいと思います。一方、メンタル体質な相談員の場合は心構え自体を考え直す必要があります。その場合は適正等も含めて振り返ることになります。

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