ジャドマニューズ 2014年11月号
「ジャドマニューズ」11月号の特集は、消費者行動・デジタルマーケティングの専門家である上智大学の新井教授との「ネットが消費行動に与える影響」についてのインタビュー記事です。これ、通販業界のマーケティングを考えるのに、めちゃくちゃ勉強になります。
JADMA日本通信販売協会 http://www.jadma.org/
- 「公益財団法人 日本通信販売協会」という団体があります。協会に加盟すれば、広告に「JADMA」マークを表示することができます。
- 通販110番という相談窓口で消費者からの通販に関する相談を受けています。
- 広報紙として発行している「ジャドマニューズ」は、とても役立つ内容ですので、毎号取り上げて、解説しています。少し事業者目線に立った内容もあるので、消費者目線ではどうなるかということも合わせて説明しています。
今月号から勉強になる記事を紹介し、コメントや現場への応用について解説します。
「ジャドマニューズ」の最新号・バックナンバーは、HPで閲覧できます。(毎月15日発行)
2014年11月号
http://www.jadma.org/pdf/news/2014_11.pdf
ジャドマニューズ
http://www.jadma.org/jadma_news/index.html
内容
- 特集 ネットが消費行動に与える影響
- 通販110番
事業者相談編 顧客対応編 「電話を利用した適切な販売方法」
消費者相談編 個人情報の悪用が心配・・・
特集「ネットが消費行動に与える影響」
ネットの登場によって消費者が大きく変わった。そんなこと今さら言われなくてもわかっている、という声が飛んできそうだが、では実のところ何がどう変わったのかという本質的なところをうまく説明ができる者は少ない。それは我々の市場にも言える。ネット通販の普及によって、市場は大きく膨らみ「先行きの明るい業界」などと呼ばれて久しいが、ネットによってもたらされた「通販の変化」についてしっかりとした説明はなされていない。我々はネットによって何を得て、何を失っているのか。さらに近年ではソーシャルメディアの登場によって、単なるメディアとしてのネットではなく、顧客との「つながり」という新たな変化に直面している。そこで今回は、インターネットの消費者行動に詳しく、日本ダイレクトマーケティング学会理事も務めている上智大学経済学部教授・新井範子氏に、このシンプルかつ難解なテーマについて話を聞いてみたい。
ネットによって通販はどう変わったか
- 「欲しい」という衝動に応えられるのがネット
カタログ通販に比べて、時間と場所の制約をなくした
理性的な行動よりも衝動の欲求もカバーできるようになった
プライスセンシティビティへの関与が高くなった
スピードや価格などの決定権を消費者に握られるようになったし、情報も消費者のほうが多くなったが、消費者に対する負荷は確実に増えている。 - IT技術の進歩によってオムニチャネルが加速
小売とネットが敵対関係になるのではなくつながって相乗効果を生み市場を伸ばしていく
オムニチャンネルを入り口にして、たとえば位置情報を使うアプリのようなセンシングを利用する
ソーシャルメディアによる市場の変化
- 面倒なことに参加させるとロイヤルティが高まる
良いサイトを作るだけでなく顧客を巻き込んでいくことだ重要
お客様同士の「つながり」ができると顧客の離反が少なくなる
面倒くさいことをしてもらうと定着が高まる
「囲い込み」ではなく「ファンづくり」 - 現実では絶対にしない「非礼」をSNS上でやるから「炎上」する
自社サイトのコミュニティは「既存顧客」にしか対応できないが、ソーシャルメディアでは新規顧客とつながることができる
ソーシャルメディアも現実社会も同じで、常に誠実であることが求められる
ネット上では本当に人の誠意が見えてしまう場である
通販企業が競争力を上げるには
- 価格・スピード・情報の3つで競走をしていくのは不毛
大事な要素だが、これをすると、過酷な消耗戦をしいられ命が削られていく
経験価値や利用者視点が重要 - 「地方」と「こだわり」を武器に独自のストーリーを
通販は東京でなくてもできる。地方であるからこそ、強みになることもある。
通販企業にも「こだわり」があるところには「ファン」がつきやすい
独自の世界観を作るために「ストーリー」が必要で、それをきちんと伝えることができれば強い
※ネット通販事業が拡大していく中で、大手通販とは価格やスピードでは対抗できなくなっており、小規模事業者はコミュニケーションで商品を売る時代だといわれています。そのような時代背景にについて、この記事では、わかりやすく、解説していただいてます。マーケティングという視点から見ても非常に勉強になる記事ですので、通販事業者には、ぜひ読んでいただきたいと思います。私もこの記事の内容を自分の知識にすりこめるように、自分なりにまとめて、ブラッシュアップしたいと思います。
⇒ネットが消費行動に与える影響 上智大学 新井範子氏(2014年11月号)
通販110番
事業者相談編 事業者相談編 顧客対応編 「電話を利用した適切な販売方法」
- 「継続的取引関係」にある顧客とそうでない顧客との明確な線引きが必要
- 通信販売と電話勧誘販売の規制の差を認識し顧客との末永い信頼関係を構築してほしい
※販売履歴をもとに、電話で顧客へアプローチする手段(アウトバウンド)が積極的に行われているが、5つの相談事例から、法的な問題点について解説されています。
通信販売になるのか電話勧誘販売になるのかは、継続的取引関係にあるかどうかがポイントになりますが、慎重に判断しないと、消費者トラブルになります。
今回の事例はとても勉強になるので別途記事にしたいと思います。
⇒電話を利用した適切な販売方法(2014年11月号)
消費者相談編 個人情報の悪用が心配・・・
個人情報の保護に敏感な消費者が増えています。今回は個人情報に関する相談事例から、消費者の心理的不安と、それに向き合う事業者の対応について考えたいと思います。
■相談事例①
個人情報を削除してほしいと依頼したのに断られた
- 保険サービスの勧誘電話があった。会社名を確認すると、最近、数回にわたり下着を購入した通販会社だった。
- 個人情報の削除依頼をしたところ、「アフターサービスの観点から削除はできない」「リコール対応等の場合必要になる」との理由で断られた。
- 会社からは削除の代替として利用停止の提案があり、それは承諾した。しかし将来100%情報漏えいがないとは言い切れないのだから、自分の情報は削除してほしい
処理内容
適切な方法で入手した個人情報は、必ずしも削除する必要はない
※個人情報保護法では違法な手段で入手した場合は削除請求できますが、適正な方法で入手した場合は削除できません。その場合、第3者への利用を停止することを要求することで対応することになります。情報漏えいがあった場合は別の対応になります。
■相談事例②
個人情報の利用停止依頼済なのに関連会社からDMが届く
- 定期的に通販カタログやDMが届く会社に、これらの送付物を止めて欲しいとの依頼をした。
- 依頼から2カ月も経つのに、またDMが届いた。これまでのDMとは販売商品が異なるが、会社名から当該社の関連会社と思われる。
処理内容
事業者に、個人情報を共同利用している関連会社すべての利用停止を依頼
会社に相談者の個人情報利用停止処理がされているかを確認したところ、既に処理済みとのことだった。そこで、関連会社からDMが届いた件を伝えると、「個人情報の共同利用をしている関連会社の利用停止はしていない。すべての送付物を止めて欲しいとの依頼があれば対応する」との回答だった。
消費者は、自分が取引した会社にDM発送の停止依頼をすれば、自動的に関連会社すべての送付物が止まると考えるのが当然である。そうでないならば「共同利用している関連会社すべての利用停止をしますか?」と会社側から確認してほしい、と依頼したところ、後日「今後は顧客に説明をした上で、丁寧な対応を行いたい」との回答が得られた。
相談者には、当室から再度利用停止の徹底を申し入れたことを伝えたところ、理解が得られた。
※消費者目線の対応ができていない事業者ですね。消費者からみれば当たり前のことで、関連会社からのDMも含めているのは当然なのに、事業者目線では軽く考えられるんですね。問題点を指摘して改善したのは評価できますが、最初から対応できてほしいですね。
⇒個人情報の悪用が心配・・・(2014年11月号)
通販110番より
消費者は万一の被害を想定し、自衛方法を考えておくこと
事業者は消費者心理に配慮し、問い合わせには丁寧な説明を
JADMA日本通信販売協会
http://www.jadma.org/
※メール相談も可能です