「食べログ」裁判で判決 関連
前回、食べログにネガティブな口コミを掲載され、削除を要請したが拒否された裁判の記事を書きました。
ネットで検索していて、別の興味深い裁判がありましたので紹介します。
情報はどこまで公開されるのか?というのが争点であり、個人情報の流出とも、似たような部分がありますね。
隠れ家店「演出が台無し、載せないで」 相次ぐ食べログ訴訟の行方は?
2014.02.20
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140220/dms1402201212013-n1.htm
多くのお店にとっては客を呼び込む力強い「食べログ」だが…
秘密の隠れ家だからネットに載せないで-。飲食店の情報投稿サイト「食べログ」にバーの写真などを掲載され損害を受けたとして、大阪市の飲食店経営会社が、掲載情報の削除と330万円の損害賠償を求めた訴訟。サイトを運営する「カカクコム」(東京)は19日の第1回口頭弁論で争う姿勢を示したが、無断掲載などをめぐってトラブルが相次ぐ「食べログ」。裁判が注目されている。
また食べログが訴えられた。訴状などによると、バーは2010年から大阪市内のビル2階で営業。インターホンを押して扉を開いてもらうシステムで、店内は水槽を飾ったバーラウンジが広がり、意外性で客を驚かせる演出をしており、客に店の情報を口コミサイトに投稿しないよう求めていた。
しかし、昨年夏ごろ、店側が写真などの情報がサイトに投稿されているのを確認。演出の意図や営業方針を伝えた上で情報削除を求めたが、カカクコムは投稿者の「表現の自由」を理由に応じなかった。
店側代理人の川畑真治弁護士は「店の意向に反し、削除要請に応じないのは問題だ。演出が損なわれ、営業権の侵害に当たる」と主張。一方、カカクコムは大阪地裁で開かれた口頭弁論で「店の評価という表現の自由に対する過度の制約」として、請求棄却を求めた。
真っ向から対立する両者。ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「ネットは一度情報が掲載されると消えないことから、ヨーロッパでも『忘れられる権利』の議論が活発化している。今回は典型的なケースだ。何でも情報をネットに載せる自由と、ネットに載せてもらわない自由とのバランスをどうはかっていくのかは難しい。今後、裁判例の積み重ねなどで、ルールが定まっていくだろう」と話す。司直はどう裁くのか。
飲食店の存在情報は?
飲食店の存在情報は「公開情報」だと思います。つまり、営業許可証に表示されている、「屋号」「住所」「営業者」は誰もが知ることのできる情報であり、もれなく掲載される電話帳のようなもので、公開されるものです。
店内の演出などの情報は?
記事を読むと「客に店の情報を口コミサイトに投稿しないよう求めていた」となっており、あくまでも、「お願い」レベルのもではないでしょうか。したがって、それに拘束力はなく、情報を公開しても問題はないような気がします。もし、公開されるのが嫌であれば、きっちり、規約(契約)をつくり、何を公開してはいけないか、ということの了解を取った人のみお客になれるというガチガチのものを作るべきです。規約に違反していれば、書き込みした人の情報公開まで求めることも可能かもしれません。ただし、この規約が消費者契約法にいう「不当条項」にあたるかどうかを検討しなければなりません。たとえば、裁判員制度のように秘密にしなければならない必要性があるのかどうか。
写真は?
写真は著作権を侵害している可能性を考えることになります。外観は基本的には侵害しないと考えるようですが、内装がどこまでオリジナルな権利を持っているかという議論になるのではないかと思います。いわゆる、「ネタばれ」でしょうね。もしかすると何らかの侵害が認められるかもしれませんね。
消費者トラブルとして
これが口コミサイトではなく、自分のブログなどで公開したとすれば、事業者から訴えられる可能性があると思います。そうなれば、消費者トラブルとして消費者センターに相談が来る可能性はあります。ただし、法律的な解釈を必要とするので、専門の法律相談を紹介することになると思います。
ただ、確認できることもあり、「飲食店の側から禁止のルールを聞いていたのか」など、規約=約束事があったのかどうか、あれば、大きな意味で「信義則」に違反しているといえるかもしれませんね。
削除要請だけだったら、素直に削除するのが一番だと思います。もし、コピーされていたらややこしいかもしれません。
同じような事例での相談現場での対応としては、まず、規約等のルールや現場での約束事がないかどうか確認するというのが基本です。
最後にひとりごとですが、内装や演出を公開されたぐらいで売り上げが減少するというのはほかに原因があるのではないでしょうか。裁判になると、売り上げが減少した原因が確かに口コミサイトだと証明しなければいけないし、それほどまで、客は「食べログ」しか見ていないのかなという疑問は残ります。
裁判の結果が楽しみです。