行政職員との関係

相談員にとって現場での悩みの一つに「行政職員との関係」があります。
相談員と行政職員がうまく連携してお互いにプラスになっているセンターもあれば、行政職員からの理解がなく、嫌味を言われたり、協力もしてもらえず、精神的につらい思いをしている、というセンターもあります。特に、地方へ行けば後者の傾向があるようです。

実は、この行政職員とうまくいってなくてつらいという話は以前にコメントをもらったりしていました。
そんなこともあり、3年ほど前に行政職員との関係について記事を書く予定でしたが、メモを手帳ぎっしり書いたために整理できずに今になってしまいました。
今となっては自分自身が行政職員だったということもあり、少し書きにくい面もありますが、一度は書いておかなければならないと思います。

目次

  • 行政職員の消費者マインド
  • 相談員の行政職員に対する期待は何でしょうか
  • 公務員は仮住まいを繰り返すもの
  • 予算という特別なルール
  • 相談員としての資質を向上させる

行政職員の消費者マインド

消費者庁が消費者庁自身の行政職員に消費者マインド・消費者目線を持ってもらうための研修を大々的に実施したのは昨年度のことでした。できるだけ、相談員資格もとったほうが望ましいということも言われ、資格を取った消費者庁職員もいました。

国の中枢でもこのような事態なので、消費者問題に対する行政職員の意識は、自治体、特に地方と都市部とでは大きな違いがあると思います。
行政職員が相談業務や相談員のことを全く理解してくれない場合も少なくないと思います。

そして、それを嘆いて、これでは消費者行政の充実は果たせない、と考えてしまうこともあると思いますが、そのようなネガティブな思考は持たないほうがいいです。
「行政職員が消費者マインドを持たない」という現象は特別なことではありません。消費者行政だけに限らない世界だからです。

もう一度繰り返しますが、わざわざ、「消費者目線」とは何かを勉強しなければならないこと自体がおかしな世界だし、それを報道発表して、すごいことをやっているというアピールをするのもおかしいなと思います。そんなレベルです。

相談員の行政職員に対する期待は何でしょうか

困ったときには行政職員が間に入ってくれて難対応事例を解決してくれる。
消費者行政に要望があれば行政職員に申し入れれば動いてくれる。
研修等にも積極的に出させてもらえる。
正論に違いありませんが、期待しすぎるのはほどほどに。

そもそも、行政職員と相談員は全く異質なものと考えるほうが妥当だと思います。
なぜなら、相談員は身分の違いはあるものの、資格を持った専門職であり、基本的には相談業務しか担当しません。
また、公務員としての教育を受けてきたのではなく、公務員ではない身分での教育を受けてきたからです。教育自体受けていない相談員もいると思います。

公務員は仮住まいを繰り返すもの

行政職員は一部の技術職員を除き、基本的には資格は持たず、3年程度で職場を異動します。
消費者センターの所長でさえ同じです。
公務員とはそういうものです。突然、全く知らない職場に異動します。

当然、異動してきたからには、ある程度消費者行政について勉強するとは思いますが、相談員の知識と同等になるとは思えません。
全く、消費者問題を経験したことのない職員や、住民と対応したこともない職員や、はたまた全くの新人が来る場合もあります。

結果的に消費者行政を全く理解しない職員が3年間居続けることもあるのです。
また、変に相談員にかかわってきて、不愉快な思いになるかもしれません。
行政職員に期待すること自体に無理があるのです。相談員と行政職員の壁が大きい場合は割りきりが必要です。
行政職員だから住民のために何でもやってくれる。給料も相談員の2倍はもらっているのだから相談員以上に仕事をしてくれるはず、と思って、全くそうでない場合には、メンタルにくる場合もありますのでお気をつけください。

しかし、自治体によっては消費者行政の専門職が設けられていることもあります。また、苦情対応になれた技術職員が商品テストや相談員のバックアップをしてくれる場合もあります。行政職員でも住民対応の職場を多く経験してきた場合は相談員の力になってくれます。さらに、事務職員でも消費者行政自体に興味を持って、勉強し、大きな力になることもあります。
こういう事例に当たれば非常に幸運だと思います。積極的に交流してください。

結局、行政職員とうまくいくかどうかは、そのときの「人」の問題に行き着くことになります。

予算という特別なルール

相談員の待遇は機械的に決められているものなのでセンターでどうにかなるというものではありません。
研修にいけるかどうかも、あらかじめ予算を確保しなければなりません。
予算を確保するには理由が必要です。
基金のような特別な予算は例外です。
今後は普通の予算の獲得のプロセスを取ることになります。
そして、予算をとって執行する過程には、お役所独特のルールがあり、一般人には理解できないと思います。
行政職員を動かそうと思えば、上層部まで説得力のある数字と理屈が必要です。
そこへ、相談員が感情論で訴えても、難しいのは目に見えています。
担当の行政職員ですら崩せない壁があるほどですから。
正論が認められるとは限りません。
要望が少しでも通ればラッキーというぐらいに考えていたらいいと思います。

相談員としての資質を向上させる

「資格も持っていないのか」といわれてつらい思いをしたことのある相談員も少なくないでしょう。
豊富な経験があるから必須ではないという見方もあると思いますが、それは単なる言い訳で、私は資格は取っておくべきだと思います。
資格が実務に役立つかどうかとは別次元の話として当然持っておくべきです。
これはスポーツ指導の世界でも同様です。
私の管理している「消費生活専門相談員資格認定試験の勉強部屋」でも資格を持っていない40代以上の相談員が、衰えた記憶力をたたき起こして勉強に励んでいます。
相談員が法的に明確化されることになった今は必須の資格です。

そして、日常からのスキルアップに励むことです。このサイトで勉強されている相談員は、その辺の事情は理解できていると思いますが、勉強不足の相談員は、消費者からも、事業者からも、職員からも、ばかにされることになりかねません。

誰からも「さすが」と思わせるような相談員であることが、相談員の身分向上につながるのです。

残念ながら、そのような機運はほとんどないような気がします。

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