忘れられる権利

「忘れられる権利」とは

ざっくりいうと、グーグルで個人の名前を検索したときに、検索結果として表示されるものが、個人にとって、過去の不利益な情報だった場合に検索結果に表示されないようにする権利です。

たとえば、過去に犯罪を犯してしまったときのニュース記事は、罪を償った後にも永遠に残され、グーグルの検索により、その過去の記事が発見されてしまう。これでは個人の権利は守れないし、社会復帰を困難にしているともいわれます。
特に、欧米では昔から言われています。

一方、「知る権利」というもんもあり、この両者には相いれない矛盾やジレンマがあります。

グーグルの検索結果は優秀で、さまざまな個人情報がつながってしまい、ネガティブな情報ともひも付けられます。

せめて、グーグルの検索結果に表示されないようにしてほしい、という攻防が以前からありました。

EUの裁判で「忘れられる権利」が認められる

この5月に、自宅を差し押さえられたスペイン人男性が「自分の名前をグーグルで検索したとき、競売通知が検索結果に出てくるのはプライバシー権の侵害にあたる」と主張してグーグルと争ったもので、EUの最高裁判所に相当する欧州司法裁判所で「私人は時間の経過に伴って現状にそぐわなくなった過去の個人情報に関する検索結果を削除するようグーグルに要求できる」との判決を下しました。

この判例に従って、類似の判断が下されるようになります。

グーグルが削除フォームを設置(EUのみ)

グーグルに削除申請フォームが設置されました。
グーグルHP
Legal>ヘルプ
Search removal request under data protection law in Europe
https://support.google.com/legal/contact/lr_eudpa?product=websearch

対象国は
対象国はオーストリア・ベルギー・ブルガリア・クロアチア・キプロス・チェコ共和国・デンマーク・エストニア・フィンランド・フランス・ドイツ・ギリシャ・ハンガリー・アイスランド・アイルランド・イタリア・ラトビア・リヒテンシュタイン・リトアニア・ルクセンブルク・マルク・オランダ・ノルウェー・ポーランド・ポルトガル・ルーマニア・スロバキア・スロベニア・スペイン・スウェーデン・スイス・イギリスのEU諸国のみ。

日本では?

この措置はEUのみです。当然グーグルは納得はしていないでしょうけど、裁判で判決が出てしまっているので仕方がないですね。
日本や、その他の国でも、そう遠くない将来に、同様のことになるかもしれません。

プロバイダーを通じて情報を削除することについては、日本でも可能であり、「ITスキルアップ ネットのプライバシー問題について(2014年5月14日)」でも紹介しました。

今回の件は情報自体を削除するわけではなく、あくまでもグーグルの検索結果に表示されないようにすることで、ネガティブ情報が人の目に触れにくくなるというものです。
ネットに個人情報がでて困っているという相談があったときの参考にしてほしいと思います。

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