ニュースの方程式
「環境技術」という専門誌の論文を紹介します。
環境技術学会
http://www.jriet.net/
記者が送るニュースは「政治性」を帯びている。ニュースの素材選びから、見出しをつけて報じるまで、すべて記者の主観的な産物である。つまり、客観報道は存在しない。
ポイントを抜粋しましたが、だいたいわかってもらえると思います。
消費者センターの現場にいれば、食品の安全や安心、放射能問題、健康食品、機能水など、相談事例にもあるとおり、人々はメディアに動かされます。そして、思い込みが始まります。
「思い込み=バイアス」は以前にも記事にしたことがあります(バイアスを持たないようにする 2010年4月8日(木))。
消費者センターは、消費者に「スタンダード」を示すことが重要です。したがって、相談員はスタンダードを理解するために客観的な事実を知らなければなりません。自分自身で調べていかなければならない場合と、国などがあらかじめ調べて公表している場合とがあります。しかし、国のQ&Aは消費者に理解されにくいという現実もあります。国は信用できない。都合よく解釈している。何か隠している。など、マイナスのバイアスがかかっていることがあります。
今の世の中は、正しい事実よりも、大多数の意見のほうが真実になってしまうというのが怖いですね。いわゆる、世論です。
今回の論文の中で、「子宮頸がんワクチン」と「風疹予防ワクチン」の問題が対比されています。ワクチンの有効性という客観的事実が議論されることなく、ニュースの方程式にのっとり、片や「いいもの」に片や「悪者」に仕立て上げられました。
何が明暗を分けたのかというと、ニュースの方程式にのっとった情報を客観的に評価できているかどうかということです。
筆者は「メディア」の「メディア」が必要だと主張しています。つまり、最初にメディアの出た情報を専門家がそれぞれの見方を投稿する「メディア」があれば、普通の人ではわからないことでも、読み手にとっても記者にとっても、情報を読み解く力は格段にアップすると呼びかけています。
消費者センターの現場で日々、情報を読み解く力が試されている相談員にとって、この論文をどう解釈するかは、各自にお任せしますが、ネットの掲示板やツイッターでは、明らかに偏った発言と見られるものがあります。そして、それに噛み付いている人も。
そのやり取りは冷静になって客観的にみれば本質が見えてきます。決して、迷わないようにしてください。
興味がある人はなかなか手に入らないと思いますが読んでみてください。
まさしく、「情報リテラシー」=「情報を読み解く力」ですね。