国セン移行の動き(まとめ)
民主党政権時代にすすめていた独立行政法人の改革やそれに関連した国民生活センターの取り扱いなどの動きがストップしたままですね。
そこで、自分でも常にチェックしておく必要のある国民生活センターの国への移行や地方消費者行政に関連する動きを整理してみました。
ごちゃごちゃしてて読むのも大変だと思いますので、最後の「まとめ」だけも読んでいただいたと思います。
消費者庁HP
ホーム > 地方協力課 > 国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース
http://www.caa.go.jp/region/index6.html
ここからスタート
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「国民生活センターの在り方の見直しに関する検証会議」中間取りまとめについて
平成23年12月6日、第7回検証会議において、中間取りまとめが行われました。
「国民生活センターの在り方の見直しに関する検証会議」中間取りまとめ(本文)[PDF:95KB]
http://www.caa.go.jp/region/pdf/111206_matome.pdf
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国民生活センターの在り方の見直しについて
「国民生活センターの在り方の見直しに関する検証会議」の中間取りまとめを踏まえ、政務三役(大臣・副大臣・政務官)で協議の上、12月27日の消費者担当大臣会見において「国民生活センターの各機能を、国へ移行することが妥当と判断した」旨の発表を行いました。
「国民生活センターの在り方の見直しについて(消費者担当大臣会見での配布資料)」
http://www.caa.go.jp/region/pdf/111227shiryo.pdf
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消費者行政・食品安全の総合案内
消費者・生活者が主役となる安全・安心社会の実現をめざして
http://www.anzen.go.jp/index.html
http://www.anzen.go.jp/kentou/index.html
「国民生活センターの国への移行を踏まえた消費者行政の体制の在り方に関する検討会」報告書~消費者行政の機能強化を目指して~(平成24年8月22日)
http://www.anzen.go.jp/kentou/pdf/0822_houkokusho_1.pdf
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最新の動き
http://www.anzen.go.jp/seibi/index.html
1.趣旨
消費者庁及び消費者委員会設置法附則第3項の趣旨を踏まえ、国民生活センターを含めた消費者行政の体制を整備するための検討に資するため、森まさこ
内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)が様々な立場の有識者と意見交換を行う。
「消費者行政の体制整備のための意見交換会」中間整理
(内閣府特命担当大臣記者会見(平成25年7月26日)での配付資料) [PDF:152KB]
http://www.anzen.go.jp/seibi/pdf/130723_siryou.pdf
まとめ
以上のような流れで検討されてきました。
これらの見直しの検討は平成22年12月から始まり、平成24年8月22日に「国への移行が妥当である」と結論付けて平成25年度中に移行すると決めたものの、政権交代後の平成24年12月末に、大臣の意向により、国民生活センターへの国への移行が白紙となりました。
したがって、予定していた平成25年度中に移行することはなく、平成26年4月以降についてどうするのかは、1年かけて再検討するとのことです。
大臣コメントの中で、26年度以降の組織形態について「やっぱり国に移行するかもしれないし、ずっとそのままかもしれない」と発言しています。
大臣の意向を受けて、今現在行われている検討会が「消費者行政の体制整備のための意見交換会」で、国民生活センターの移行だけでなく、それを含めた消費者行政の体制について検討されています。
結局、答えの出ないスタート地点に戻ったような...
私の予想としては、大きな反対(?)を受けてまで国へ移行する決断はできなでしょう。したがって、基本的には現状維持になると思います。独立行政法人のままなのか、新しい組織にするというマジックをかけるのかは分かりませんが、今と変わらないような気がします。残念です。
前にも書いたことですが、スポーツ界で問題となっている体制と変わらないような気がします。結局体制を変えず、改革をやろうとしてもできないことはよくある話です。
相談対応でも「事実と感情」について説明していますが、国民生活センターの業務の中で、「事実として問題点や改善点がある」というのは共通認識としながらも、「国へ移行すると~となるかもしれない」という、まだ起こっていない感情論で議論されると先には進めません。そんなの、変えればいいだけの話だと思います。やってみてうまくいかなければ、再度検討したらいいだけの話です。
(「変えればいいだけ」と書いて頭に浮かんだのが、「花咲ける青少年」でカジカが友人を救うために侵入したラギネイの神殿で大祭司に言ったせりふです。マハティもかつて同じ発言をしています。分からない人はスルーしてください。私の好きなマンガです。)
本当に変えればいいだけだと思います。変える気があるかどうかだけの問題です。
同じ独立行政法人のNITEと比べてみれば分かると思いますが、NITEは現状も独立行政法人で残っており、特に問題は出ていません。というよりも、相応の努力をしてきた。それに対して、国民生活センターの見直しの議論がいまだに出ること自体、これまで何もしてこなかったということです。
個人的には、2007年に福田総理が国民生活センターに視察にきたことで安心しきってしまったのが、改革が進まなかった一つの要因ではないかと思っています。
国民生活センターHP
トップページ > 国民生活センターについて > 国民生活センターの紹介 > 国民生活センターの出来事 > 2007年10月26日 福田内閣総理大臣が当センター相模原事務所を視察
http://www.kokusen.go.jp/dekigoto/data/de-20071026.html
せっかくなので簡単に書いてみますが、私が思う問題点の一つは、冒頭のタスクフォースとりまとめで抜粋したものを少し拡大したもので、事業者への指導処分権限です。これがないから国センは単なる中間的な施設になってしまい、「地方→国セン→事業者指導処分」のラインにはならず、「地方→国セン→地方→(都道府県・国)→事業者指導処分」のラインになります。その最たるものは商品テスト機能でしょう。少し極論かもしれませんが、今では単なる無料の便利な検査センターのようになっています。まあ、こういう話は別の機会にしたいと思います。
そして、相談員にとって一番重要な議論である「消費生活相談員資格の法的位置付けの明確化等に関する検討会」(http://www.caa.go.jp/region/index8.html)については、平成24年8月に中間報告(http://www.caa.go.jp/region/pdf/120827_houkoku.pdf)が出て、1年経過しましたが動きはありません。
これについて少しコメントしておくと、どうも新しい試験制度を創設することが前提になっているような雰囲気があり、その元となるのが、国民生活センターが国に移行されたら国民生活センター理事長が認定している消費生活専門相談員資格の制度も再考しなければならず、試験自体もなくなる可能性があるということでしょう。だから、この検討会は国民生活センターがどうなるのかということにリンクしているので先に進まないのも一つの要因だと思います。
しかし、本質的な問題は、相談員の資質の向上のためにどうすればいいのかということが議論されるべきで、ある程度議論はできているものの、結局試験制度の話にもどってしまうので、前に進まないのだと思います。「相談員の資質の向上」については理想論とはいえ、相談員に必要なスキルについてはかなり整理してまとまっているので評価できます。この点については、別途、詳細に書いていきたいと思っています。
なお、この試験制度が改革されれば現職有資格相談員の追加試験や研修、無資格相談員への圧力など、大きな問題に直面することになるので、しっかり注目するとともに、意見があればどんどん主張してほしいと思います。
ちなみに私の意見は
試験制度は現状のままで筆記試験の内容を工夫する。面接試験等も現状のまま。新たなコミュニケーションスキル等の技能の試験は実施せず、必須の研修として担保する。すんわち、ほかの資格でもほぼ同様で、基本的な知識を資格取得のための要件とし、取得後に経験や研修を積みながら技能を向上させる。
無理だろうけど、理想を書くと、相談員はすべて正規の公務員としての採用で、職種は「相談員」等、大学での専門科目の卒業を要件として、公務員試験の一般科目と専門科目と面接を行う。相談関係の職場を回りながらキャリアを積んでいく。
まとめといいながら、長くなってしまいました。頭の隅でもおいててもらえればいいかなあと思います。