月刊 国民生活 2011年12月号

①特集 震災から学ぶ そのとき起こる消費生活トラブル
・震災と消費生活トラブル-「東日本大震災」で寄せられた消費生活相談情報-
・「震災に関連する悪質商法110番」-被災地の消費生活相談の傾向-
・住居をめぐるトラブル
 (1)住宅の損壊・修繕
 (2)不動産賃借・住宅ローン
・損害保険における相談と注意点
※震災に関する情報はみなさまも十分にご存知だと思います。
被災地の復興と被災者の支援については国をあげて取り組んでいかなければならないというのは共通の認識だと思います。ただし、気になることがあるのでコメントしておきます。
復興のためには税金が投入されます。その中でも個人の住宅ローン、いわゆる二重ローン問題を解消するために債務免除を受ける仕組みが作られます。債務の免除は銀行がすべて放棄するのであれば銀行の不良債権のような扱いになると思いますが、そこに税金が投入されるとなると不公平感が出てくるのではないかと思います。つまり、個人の借金の返済を国民が納める税金から出されていることになるということです。私は自分が納めた税金で被災者や被災地を支援することには賛成ですが、被災地や被災者は国が支援して当たり前だというのではなく、国が支援すること=国民全員が支援していることを認識しておいてほしいのです。日本は赤字大国になっています。税金は広く国民のために活用しなければならない厳しい現状の中で被災地にかなりの税金を投入することは日本の将来に大きな影響を及ぼします。感情論としては復興を支援すべきですが、税金投入という事実を考えるとこれでいいのだろうかと思ってしまいます。阪神大震災の影響で兵庫県や神戸市は今もなお苦しんでいるようです。この先の被災地や日本を考えると非常に不安を感じます。地方消費者行政への金銭的な支援も継続は難しいと思いますし、基金の一部を放射能の検査機器の購入に回すなどの影響も受けています。税金の使われ方に無関心な国民にもっと関心を向けてほしいですね(そういう意味でも事業仕分けは結果は別として、税金の使われ方に関心を持ってもらうという効果があったと思います)。

②誌上法学講座 消費者契約法
※今月号から消費者契約法についてのシリーズが始まります。
法律の解説を読むのは集中力が必要でしんどいですが、いまいちど基本に立ち帰り勉強してみることも大切です。

③事例で学ぶインターネット取引
ネット通販と返品
・苦情の多いインターネット取引について事例を挙げながら、ECネットワークの原田さんが4回にわたり解説します。
※相談現場でネット取引に関する相談を受けるときに大切なことは、どんな取引が行われたのかを相談員自身が理解することです。特に電話相談では相談者がどんな取引をしてどんなトラブルがあってどうしてほしいのかをうまく伝えることができません。相談員として上手く聞きだして整理し理解していれば、その時点で解決の道筋が見えてくるのではないかと思います。ただし、この理解するというのが大変な作業ですけどね。

月刊 国民生活 2011年11月号

①特集 オンラインゲーム
私もオンラインゲームに関して書こうと思っていたので楽しみにしていました。
どこまで突っ込んだ話があるのかなあと思ってましたが一般向けの解説でしたね。
5人の先生が別々に記事を書いているので仕方がないですが、原田先生の解説はさすがに玄人向けで面白かったです。
今月号はしっかり読んでおいてください。私も、もう少し突っ込んだゲームに関することを近々書く予定にしています。

特集1 オンラインゲームの現状
・ゲームの歴史や国内の現状、問題点について解説しています。
・RMTなどの用語も解説されています

特集2 オンラインゲームををめぐる相談等の概要
・PIO-NETから事例の紹介です。
※まさしく全国共通の相談内容ですね。相談内容だけで対応結果がないのが残念です。

特集3 オンラインゲームに係るトラブル対応
・事例1でいきなり難しい言葉が出てきたのでマニアックだなあと思ってたら、わざとだったんですね。
・アカウント停止、アイテムの消滅、強制退会、とまさしく代表例が紹介されています。
※解説にもあるとおり、「相談者が、そもそも何を言っているのか理解できないかもしれない」、というのが相談を難しくさせています。それは相談内容の共通理解ができていないだけでなく、「このやるせない心情を理解することころから相談は始まる」というとおり、相談者とのコミュニケーションのギャップが相談員への不満となり積み重なるからです。ある程度は相談員も知識を持っておくべきだと思います。といっても、実践者でない限り、学ぶ方法がないのが現実ですね。

特集4 ゲーム業界の対策と課題
・オンラインゲームでのトラブルについて解説しています。
※IDやパスワードのユーザー情報の漏洩は友達や知り合いが犯人というケースが最も多いというのは、やっぱりなと思います。

特集5 ふえるゲーム依存症
・ゲーム依存症について解説されています。また、なぜ依存状態になるのかという理由もいくつかの実例があげられています。
※廃人にはなりたくないですね。でも、そうなってしまう気持ちはよくわかります。

②チェックチェック! 苦情相談
「特定継続的役務提供の中途解約に応じない学習塾」
・難関大学の受験英語を教える専門塾に高校1年の娘が年間授業料一括払いで受講した
・体調が悪くなり7月で退塾したが、未受講分の返金は一切できないといわれた
・特定商取引法の特定継続的役務提供の学習塾に該当すると思われ、書面不備でクーリングオフも可能だったが、相談者は3ヶ月受講しているので、クーリングオフではなく中途解約を希望した
・塾は弁護士から特定商取引法の適用は受けないといわれているという
・その後、返金に応じるとしたが割引前単価で計算していたので、契約締結時の単価で清算するよう要求し、請求額どおりの返金があった。
※法律の対象になるかならないかという根本的な問題で事業者に誤りがある場合、間違いなく勝てるので対応としては簡単です。ただし、相手がなかなか応じてこない場合があるので粘りが必要です。このように明らかに違反が認められる場合は、消費者センターという名のプレッシャーをうまく活用すればいいと思います。

③ホッとティータイム
土地がないのに家が建つ?
・いつも相談現場の最前線のひとりごとを楽しみにしています。外資系のパソコンの事業者の話が出ていますが、顧客対応担当は日本語がよく分からず、なかなか解決が難しい、という書き方で、すぐに事業者がわかってしまうのは職業病でしょうか。あのメーカーも昔にくれべれば随分ましになりましたが、外資特有の交渉のツボをおさえておくことが重要ですね。

④国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース取りまとめ
・HPだけではなく雑誌にも掲載するとはなかなかやりますね。しかし、本当の問題点というのは結局最後まで表に出ないまま終わるんだろうなあと思います。

月刊 国民生活 2011年10月号

①特集「消費生活相談とメンタルヘルス」
特集2 心の問題を抱えた人への相談対応
・困った相談に対応する場合の基本姿勢
・相談員としての感性が必要
・相談者にあった話し方をする
・自尊心を損なうことがないように丁寧に対応し、分かりやすい言葉、言葉の速さや声の高さ、声の調子などに気をつける必要がある
・相談者と信頼関係をつくる
・消費生活相談員は苦情を受け付けるプロである。覚悟を決めて対応しよう。
※最近、非常に多い問題です。
心がやんでいる内向的なタイプとクレーマー的な攻撃的なタイプ。
現場では上手に対応できる相談員とできない相談員が比較的はっきりわかります。
要は相談員の持っている人間性(正確や完成など)によるものだと思います。
苦手な相談員は、しっかり意識して対応するように心がけてください。
わずか2ページの記事ですが非常にいい内容です。
永久保存版にしてください。
しっかり読み込み、自分のものとしてください。
私も別の機会に、もっと深く掘り下げて説明したいと思います。

特集3 消費生活相談員の仕事とメンタルヘルス
表題とは裏腹に哲学的な内容になっています。
まず、前半に、相談員が困った相談者から受ける過激な言葉が紹介されています。
現場におられる相談員は「同じだ」と思うでしょうね。
ただし、私は、「税金泥棒」や「クビにする」はありますが、「東京湾」や「ホームの端」などのあちら系の言葉は受けたことはありません。
後半は長く相談の仕事を続けていくために役立ちそうなライフスタイルが紹介されています。
ちょっとタイトルから連想する記事の中身が少し違いますね

②暮らし注意報
「高速バス」のトラブル増加 -運行タイプによるトラブルの違い-
新幹線、飛行機に続く交通手段として高速バスが注目されています。
最近は価格戦争も激化して消費者の選択の幅も広がっています。
ただし、電車や飛行機と違い、不確定要素が多いバスについてはトラブルが少なくありません。
今回の記事でさまざまな具体例が挙げられています。
今一度確認し覚えておきたいことは
運行タイプにより契約内容が異なってくることです。
「高速乗合バス」は定期路線の電車的な要素を持っています
「高速バスツアー」は旅行会社が貸し切りバスを使う「募集型企画旅行(いわゆるパック旅行)」で一般のツアー旅行と同じ扱いになり、旅行業約款が適用されます。
「高速バスツアー」のほうがキャンセル料金などが厳しくトラブルが増加しています。
このバスのタイプの違いを再確認しておいてください。

国民生活センター http://www.kokusen.go.jp/ncac_index.html
月刊 国民生活