バイアス事例 アフィリエイトとドロップシッピング

唐突ですが、「アフィリエイト」や「ドロップシッピング」って、どう思いますか?
相談員として、一般の消費者として、事業者として、いろんな見方があるでしょう。
ここでも先日お話した「バイアス」が強く影響しています。
特に、情報商材がらみのアフィリエイト、ドロップシッピングによる儲け話など、これらをめぐるトラブルは雑誌や新聞紙上をにぎわすこともあります。
相談員であれば、これらの苦情相談はよく耳にします。
それゆえに、「アフィリエイト」や「ドロップシッピング」は怪しいもので手を出してはいけない悪質商法の元と思ってしまうでしょう。
それこそが、バイアスなのです。

アフィリエイトは私たちのネット生活に既に浸透しています。
「アフィリエイトでおこずかいを稼ごう」というような書籍も売られています。
ちなみに、私もアフィリエイトをやっています。
もっと突っ込んでいうと、ぜんぜん、儲からないです。
1年半ほどやってみて、3000円もいってないです。

さらに、このアフィリエイトの進化形がドロップシッピングです。
ドロップシッピングは実質的に事業者になるので、私はやってません。

さて、「アフィリエイト」や「ドロップシッピング」って何だろう。
なんとなく知っている?
説明できますか?
理解していますか?

おそらく「NO」だとおもいます。

これらをきちんと理解していれば、バイアスもなくなり、苦情相談を受けた場合にも、的確な助言ができると思います。
いろんな雑誌に解説されてはいますが、はっきりいってわかりにくいです。
バイアスを持ってしまいそうな印象さえあります。

そこで、「アフィリエイト」や「ドロップシッピング」をできるだけわかりやすく説明したいと思います。
それらを理解したうえで、どんなトラブルがあって、どのように解決していったらよいのか解説したいと思います。


消費者問題をよむ・しる・かんがえる専門誌【年間購読】月刊国民生活

バイアス事例 ××社の携帯電話

××社の携帯は故障が多い。
相談員をしていれば当然思うことですよね。
しかし、本当に携帯電話会社の中で××社は故障が多いのでしょうか。

ここで重要な事実を確認してください。
携帯電話は××社がつくっているのではなく、大手家電メーカーが作っているのです。
しかも、その家電メーカーは、たいてい、すべての携帯電話の機種を製造しています。
もちろん、原価や仕様により差はあると思いますが、そんなに頻繁に故障する電話を大手メーカーが製造するでしょうか。

もうひとつ重要な事実があります。
一般的に、消費者センターへの苦情相談は、消費者が事業者へ申し出たにもかかわらず対応に不満があった場合に、次の段階として消費者が事業者への不満を訴えに消費者センターに相談に来るのである。

したがって、携帯電話の故障率は消費者センターではわかりません。
ただ、××社の苦情相談が多いという事実が浮かび上がるだけです。
ほかの携帯電話会社では、最初の消費者からの申し出に対して適切に対応しており、消費者センターに相談するという次の段階にまですすまない、ということが考えられます。

そうすると、「××社の携帯は故障が多い」というのは正しくはなく、「消費者センターには××社の苦情相談が多い」ということになります。
××社の苦情相談が多いために、××社に対してバイアスを持ってしまったのである。
したがって、××社に対して、バイアスを持っているために正しい判断ができなくなってしまったのです。
「S社は消費者に対する対応がよくない」という事実は浮かび上がるでしょう。

とはいえ、いろんな掲示板を見ると、「××社の携帯は故障が多い」という傾向はあるかもしれませんね。
でも、これは事実として統計的に確認したものではありませんので。
携帯電話機を製造している家電メーカーが明かされることはないでしょうけど真実を知っているのでしょうね。
おまけです。

バイアスの次の事例ですが、「出会いサイト」は、すべて悪質だと思い込んでいませんか?
次は、「出会いサイト」について考えたいと思います。

(平成22年4月10日 初稿)

バイアスを持たないようにする

バイアス(bias)とは聞きなれない言葉ですが、心理学や統計学ではよく出てくる言葉です。
その意味は、「先入観」や「偏見」などと説明されています。

ネットで検索すれば多くの解説があります。
このバイアスは相談業務に非常に重要な要素であり、相談員のスキルにもあらわれます。
バイアスによって正しい解決法方法の提示ができなくなるのです。

バイアスの考え方は、今後、私も数多く使うことになります。

消費者センターにいれば、世の中悪質商法だらけだなと思ってしまうことは自然なことです。
声をかけたれたら、疑いの目を持ったり、常に疑心暗鬼になります。
相談員という職業は、消費者を守るという使命があり、その使命感から、いわゆる「正義」を貫くのは当然です。

しかし、この世界にどっぷりはまってしまうと、一般の世界(一般論)からどんどんかけ離れていきます。
そして、相談員の事象に対する解釈が、「いきすぎ」になり、正常な判断が下せなくなります。
相談員の非常識が消費者目線や現実目線でみると常識になっている場合もあります。
また、プライドゆえに「思い込み」が激しく、指摘されても認めたくないと受け入れを拒否してしまうこともあります。
ともすれば、相談員自身が事業者に対してクレーマー化してしまう恐れもあります。
「正義の味方」という名のクレーマーが消費者だけでなく、相談員にも当てはまる場合もあるのです。

それらの要因は、まさしく、「先入観」や「偏見」や「思い込み」です。

苦情相談が多い事業者は、最初から悪質事業者として考えていませんか?
しっかり、相談内容を分析してから判断してください。
もちろん、公認された?悪質な事業者であれば、問題ありません。
しかし、過去の経験はあくまでも参考程度に考え、冷静に目の前の事案を分析して過去と照らし合わせてください。

このバイアスについて、「S社の携帯電話」「出会い系サイト」などを事例にして具体的に【会員用ページ】で紹介したいと思います。

(平成22年4月8日 初稿)