ジャドマニューズ 2010年11月号

ジャドマニューズは日本通信販売協会の広報誌で、以前から紹介しているところです。
ジャドマニューズ(日本通信販売協会) https://soudanskill.com/20100809/81.html

11月号の「通販110番」の記事から一部紹介し、コメントします。

通販110番消費者相談編 「たかが送料。されど送料。」
返品時にかかる送料に関する2つの事例が紹介されています。
・洋服を購入しサイズが合わなかったため返品したが、お客様都合の返品の場合に返品時の送料負担は記載があったが、購入時の送料が返品されない。
→トラブル回避のためにも「いただいた送料は返品できません」等の表示が必要ではないか。
・大型の敷物がイメージが違い返品し返送料負担はわかるが、購入時は1050円だったのに返品時は8750円だった。
→一般に購入時は送料を安くしているところが多いが、返品は実費になり、その金額が妥当なものだった。
※両事例とも一般常識の範囲内だと思います。しかし、最近は一般常識を理解せず記載がないという理由などを主張する消費者が増えてきています。こういう事情が背景となって説明文や注意表示が大量になるのですね。

通販110番事業者相談編
無理だと思われる要求に関する2つの事例が紹介されています。
・送料会社負担ということでアフリカへの送付を要求されている。
→国内に限ると記載がなくても一般的に国内のことをさす
・美容ドリンク10本セットを全部飲みきった後に効果がないと返品してきた。
→返品特約は化粧品を対象にしており社会通念上食品は対象にならない。毅然とした対応を。
※あげあしとりですね。最近は非常に増えています。

社団法人 日本通信販売協会 HP http://www.jadma.org/
会報誌(JADMA NEWS) http://www.jadma.org/jadma_news/index.html

ジャドマニューズ 2010年10月号

ジャドマニューズは日本通信販売協会の広報誌で、以前に紹介したところです。
ジャドマニューズ(日本通信販売協会) https://soudanskill.com/20100809/81.html

10月号の「通販110番」の記事から一部紹介し、コメントします。

通販110番消費者相談編 「箱を開けただけなのに返品不可!?」
3つの事例が紹介されていましたので、ざっくりまとめました。
①ネット通販で購入したオフホワイトのコーヒーメーカーを箱を開けて確認したらイメージしていた色とは異なっていたので返品を申し出たが未使用でも開封後は返品不可という。
→返品条件に明記のとおり開封後は返品交換不可
②ネット通販で購入した4枚1セットの補正下着が個包装され、さらに4つを大きなビニール袋で包装されていたが、大きなビニール袋を開封して確認したらサイズが小さいようで交換希望したが、開封後は返品不可という。
→個包装は未開封だったので交換可能。大きい包装と個包装との確認不足
③テレビ通販で購入した美顔器の箱を開封し、ビニール袋のまま持ったところ重いので返品を申し出たが、開封後は返品不可という。
→衛生商品につき箱を開けていないことが未開封と十分に事前説明しているので返品不可。

コメント
相談員であれば、このような相談はよくあると思います。
問題点を単純化すれば、
①事業者に問題がある②消費者に問題がある③事業者と消費者の両方に問題がある
の3つに分けられます。

まず、基本となるのが、「通信販売」は特定商取引法の取引類型に該当するが、クーリングオフの対象ではないということですね。
しかしながら、広告での規制がいくつかあります。特に、今回の事案でもとりあげている「返品特約」です。
「返品特約(返品の可否、条件、送料の負担)」が明示されていなければ、消費者は商品の引渡し日から8日間は送料消費者負担で返品できる、すなわち、契約の解除が可能であるということです。
ほとんどクーリングオフと同等ですね。ただし、返品特約が明示されていないことは、一般的な通販では、もはや存在しないでしょうね。
したがって、返品特約が重要となってきます。

①事業者に問題がある
・事業者が返品の条件をどこまで消費者に分かるように明示しているか。表示が分かりやすい分かりにくいでも問題になるかもしれません。
・特に、3つめの事例のように衛生商品という特殊な条件を文字を大きくしたり、色文字にしたり、改めて説明したり、単に「書いているだけ」というよりも、トラブル回避のために、より消費者が理解しやすいように努力をしておくことが重要と思います。
②消費者に問題がある
・消費者が返品の条件をどこまで理解しているか。消費者の責務としての自覚が必要だと思います。そのためにも消費者教育や啓発をしていくことが重要だと思います。
・また、ルールを無視して自分の主張が正しいと引き下がらないという問題のある消費者の場合はあり、次元の違う対応が求められるときもあります。
③事業者と消費者の両方に問題がある
・消費者が事業者に返品の申し出をしたときに、きちんと説明しているか、コミュニケーションできているか。お互いの主張を上手にすり合わせる能力があるか。
・この段階でお互いの問題をすりあわせて解決することができなければ、消費者センターに相談が持ち込まれてしまいます。その場合は消費者センターが間に入っても結果は同じであることが多いのです。まさしく、このスキルアップ講座でメインにしているコミュニケーション能力の問題だと思います。この能力はスキルであって身につけられることです。身についていない事業者・消費者・相談員が多いというのが課題ですね。

一方大きな問題として、現物を見ていないためにおこったトラブルが多いということです。
色のイメージやサイズなどは現品を店頭で見て選択すれば回避できます。
それができないのが、通信販売で、今後もネット販売を含む通信販売が増加していくことを考えれば、この種の問題は増えていくと思われます。通信販売を利用する場合に現品を店頭で見てからネットで安値で購入するという消費者もいれば、ネットやテレビ通販で衝動買いする消費者もいると思います。一方、地方では店舗が限られるので通信販売は画期的なシステムであることも事実であります。

最後に、通信販売も含め店頭で購入した商品はすべてクーリングオフできると考えている消費者がとても多いことも現実的な問題ですね。

ジャドマニューズ(日本通信販売協会)

JADMANEWS(ジャドマニューズ)は(社)日本通信販売協会が定期的に発行している情報誌です(有料)。
通販110番をやっていることでもご存知ではないでしょうか。
この情報誌に毎号「通販110番 消費者相談・事業者相談 事例」が紹介されており、相談事例と対応について、理論的に順序だてて解説されており、結構勉強になります。
特に、最近多い、消費者の無茶な相談に対して、きちんと解説されているので役立ちます。
7/8月合併号では、通販会社と消費者の認識の違いが元で生じるトラブルの原因と回避方法についての消費者相談事例が3事例紹介されています。
大きな消費者センターではファイルしているかもしれませんので、機会があれば是非読んでみてください。
また、職場で回覧されているが読む時間がないという相談員もおられるとは思いますが、この相談事例のページだけでも読んでおいてください。

社団法人 日本通信販売協会 HP http://www.jadma.org/
会報誌(JADMA NEWS) http://www.jadma.org/jadma_news/index.html

【HPから一部抜粋します】
日本通信販売協会とは
・特定商取引法の第30条に位置づけられた通信販売業界を代表する公益法人です(1983年設立)。アフターケアの徹底、広告表現の適正化、通販110番での相談などを、消費者団体や、官公庁の消費者窓口などと協力して進めています。
・通販110番
通信販売に係る消費者トラブルの迅速、的確な処理と通信販売業界に対する要望の収集を目的として、昭和59年5月から協会の中に消費者相談窓口 (「通販110番」TEL:03-5651-1122)を設けています。消費生活センター、一般消費者からの苦情、問い合わせ、要望等について、専門の相談員が応じています。