IT関連の知識力のUPを

最近、IT関連の消費者トラブルがニュースでも頻繁に取り上げられるようになりました。

携帯電話の時代はそれほどではなく、所有していなくても何とかついていけましたが、最近ではスマートフォンがメインの時代になるとともに、通信量の問題、料金の問題、ウイルスの問題、ソシアルゲーム(コンプガチャ)の問題など、話題はつきません。

NHKでも、IT関連の番組が頻繁に取り上げられており、6月26日のクローズアップ現代ではネット上に流出してしまった個人情報が永遠に残り続けることに苦しめられている人の話が取り上げられました。
個人情報の削除といえば、消費者センターにも、掲示板の2ちゃんねるで個人情報がネットに出ていて消したいのだけれどもどうしたらいいのかという相談はネット時代になってから寄せられるようになりました。

このような急速なIT化の流れの中で、相談員は最新の消費者トラブルに対応するためにも、知識を積み上げておく必要があります。
消費者関連の雑誌でもスマートフォンの話題はよく取り上げられていますし、自治体でもスマートフォンの知識をつけるための研修が行われています。
ECネットワークでも全国各地でさまざまな相談員向け研修会が開催されています。

習うより慣れろ!
実際に実践することが理解への近道です。
若い世代だと自然と身につけていくものですが、年齢増の高い相談員はネットで物を買ったり掲示板等で交流したりすることに抵抗がある方も少なくありません。
しかし、それでは相談者の気持ちに立った対応に近づくことが難しくなります。
この距離を少しでも縮めることが重要です。
また、若い相談員のほうがITが身近で抵抗がない中、先輩相談員がITに消極的な場合、相談員の世代間GAPも発生してしまいます。

「数年程前には、youtubeなどで普通の動画サイトを見ていて、コメントにあるURLをクリックしたら、いきなり請求画面が出てきた。普通の動画サイトなのに、こんな詐欺的なことをしてもいいのか?」というような相談がありました。「youtube」「動画サイト」「コメント」「URL」、これらの関連性は非常に簡単で知っていれば、相談者への助言も簡単に終わります。
しかし、知らない場合は、アドレスを聞いて、内容を聞いて、画面が残っていればプリントして、サイト運営者へメールしてはどうか、
などと、終わりのない対応になってしまいます。ちなみに
コメントは動画サイトとは全く関係なく閲覧者が自由に書き込みができるもので、自分のサイトの記事と連動させることができ(トラックバック)、自分のサイトへ誘導することもできます。本来は似たような記事を盛り上げるための交流システムを悪用してワンクリックサイトのURLを掲載するという違反行為です。
動画サイト運営者に情報提供して削除してもらうように伝えることはできますが、ワンクリックサイトの被害の回復とは無関係であり、クリックした先のサイトでワンクリックの無効を主張することになります。
このようなことを知っていれば、動画サイトのコメントにはよく注意してほしいという助言ができますし、ワンクリックサイト自体は従来と同じ対応で良しとなります。
ちなみに最初に紹介した2ちゃんねるの個人情報の削除は、相談員が知ってるマニュアルに従えば、
「サイトの運営者に削除するように要請して、それでも対応がなければプロバイダー責任法に基づき裁判をすることになります。」
という助言になると思います。
両方とも現実に実現するかといえば無理だと思います。
現実にそぐわない回答をしてしまうことに抵抗があるのかないのかは個人差ですね。
現実的な助言は
先ほどの回答をしつつも、2チャンネルのカテゴリーの下の方に「削除依頼」というスレッドがあり、そこにルールに従って書き込むと関係者が確認して、該当すれば削除してくれることがあり、一番の近道だと思います。これで無理であれば、削除対象のレベルになっていない可能性もあり難しいかもしれないですね。そして次に法的な話になります。さらに、先ほどの話に加え、ECネットワークなどを紹介することになると思います。
余談ですが、有料の業者(悪質かどうかは別として)に頼むと、たとえば、個人情報が書かれているスレッドに大量の書き込みをして1000件に達すればスレッド落ちして、しばらくすると見れなくなる、ということをやってくれるでしょうね(書き込みの上限は1000件までなので、新しいスレッドができると位置が落とされ消えていく)。


相談員のスキルアップについて国でも議論されていますが、なんだか方向性が違うような気がしています。

このサイトでは、膨大なIT関連の情報の中で、相談員として知っておくべき優先的な事項を取り上げたり、相談員自身が実践できない代替として仕組み等を解説したり、最新の情報を紹介したり、していきたいと思います。

コンプガチャの計算

コンプガチャが分からない方へ
ソシアルゲーム・ネットワークゲーム・カードなど想像しにくい言葉が理解を難しくしているのかもしれません。
身近な商品で考えてみます。

子どもをスーパーに連れて行ったときに100円のガシャポンをねだられたことがあると思います。
ポケモンのキャラクターの人形のカプセルだとします。
全部で10種類あるとします。
子どもは全種類ほしいとまではねだらないですよね。
1回だけよ、と説得します。
もし、それぞれのカプセルに入っている説明書にキャラクターの番号が書いてあって、全10種類分を集めると、もれなくポケモンの人形を入れるケースがもらえるとします。
1回100円のカプセルは通常の取引であって景表法上の景品とはなりません。
ところが、人形を入れるケースは景表法上の景品となります。
しかも、これを手に入れるためには、何が出るか分からないカプセルを10種類集めるまで買い続けなければなりません。
この10種類集めたらもらえるというのが、「2以上の異なる付票」に該当し、景表法に違反するということです。
現実には、それぞれの説明書についている共通の応募券を1枚もしくは複数枚集めてプレゼントに応募するというのは景品の金額さえ問題なければ景表法に違反しません。

ガシャポンのカプセルなら種類は知れてるし、知り合いからもらうということもできますが、今回のゲームの場合1回300円のカードの200種類ほどの中から特定の7種類を集めるというレベルであり、これらのカードはカード交換できないというもので、無限地獄に陥ることが想像できます。コンプガチャは期間限定のイベントで行われることが多く、1回のイベントで軽く10万円以上使ってしまうこともざらです。

では実際にいくらぐらいのお金が必要なのかを確率の世界で計算してみました(間違ってた場合はすいません)。

ポケモンのパターンを計算してみます。
全10種類をすべて集めるパターン
1個目は10/10=100%で100円×1回=100円
2個目は9/10=90%で100円×10/9(1.1回)=110円
3個目は8/10=80%で100円×10/8(1.25回)=125円
以下省略
合計約3000円30回で全10種類がそろいます。

全10種類のうちの特定の3種類を集めるパターン
1個目は3/10=33%で100円×3.3回=330円
2個目は2/10=20%で100円×5回=500円
3個目は1/10=10%で100円×10回=1000円
合計約1800円

全100種類のうちの特定の5種類を集めるパターン
1個目は5/100=5%で100円×20回=2000円
5個目は1/100=1%で100円×100回=10000円
合計約22900円

今回のゲームのように1回300円であれば単純に3倍になります
例えば100種類のカードから5枚をそろえる組み合わせは、1回300円で100枚のカードの出現確立は同じでダブりも当然ありとすると
1枚目が5/100=5%で20回(300円×20回=6000円)で出現、
2枚目が4/100=4%で25回(300円×25回=7500円)で出現、
3枚目が3/100=3%で33回(300円×33回=9900円)で出現、
4枚目が2/100=2%で50回(300円×50回=15000円)で出現、
5枚目が1/100=1%で100回(300円×100回=30000円)で出現、
したがって、合計69000円でコンプリートです。
100枚で5枚集めるというのは甘い設定で、実際には200枚から7枚~4枚集めるというのが主体だと思います。

200枚から7枚集めるの場合は
1枚目が7/200=3.5%で28回(300円×28回=8400円)で出現、
2枚目が6/200=3%で33回(300円×33回=9900円)で出現、
3枚目が5/200=2.5%で40回(300円×40回=12000円)で出現、
4枚目が4/200=2%で50回(300円×50回=15000円)で出現、
5枚目が3/200=1.5%で67回(300円×67回=20100円)で出現、
6枚目が2/200=1%で100回(300円×100回=30000円)で出現
7枚目が1/200=0.5%で200回(300円×200回=60000円)で出現
したがって、合計155400円でコンプリートです。
4枚集めるにしても125100円です。

特に最後の数枚をそろえるのが至難のわざとなっており、あと1枚なのに出てこないのは操作されているのではと思ったりしますが、冷静に確立を考えれば分かることです。

細かい四捨五入は勘弁してください。
結局は小遣いの範囲を軽く越えていますね。
実際にコンプするのに何万円もかかっているという個人ブログの記事は山ほどあります。

ちなみに、私は100円のカプセルのリアルのガシャポンをコンプリートするのにネットオークションで最初から新品のセットになっているものを購入します。
送料込みで定価よりも安かったりしますし、最近は秋葉原などのキャラクターショップにコンプリートで販売されているものもあります。

「カード合わせ」に関する景品表示法(景品規制)上の考え方(平成24年 5月18日公表)

「カード合わせ」に関する景品表示法(景品規制)上の考え方の公表及び景品表示法の運用基準の改正に関するパブリックコメントについて』が平成24年5月18日に公表されました。
消費者庁HP
ホーム > 表示対策課
http://www.caa.go.jp/representation/index.html
<その他の景品表示法関連の公表資料>
http://www.caa.go.jp/representation/index.html#m01-6

「カード合わせ」に関する景品表示法(景品規制)上の考え方の公表及び景品表示法の運用基準の改正に関するパブリックコメントについて
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/120518premiums_1.pdf
(一部抜粋します)

オンラインゲームの「コンプガチャ」と景品表示法の景品規制について 平成24年5月18日 消費者庁

4 景品表示法上の問題点
(2) 「コンプガチャ」に関する景品表示法上の考え方
ア 景品表示法上の考え方
「コンプガチャ」は、異なる種類の符票の特定の組合せを提示させる方法に該当し、懸賞景品制限告示第5項で禁止される景品類の提供行為に当たる場合があります。

「コンプガチャ」については新聞テレビで大々的に取り上げられたので、ご存知だと思います。
「コンプガチャ」がどういうものかも知ることになったのではともいますが、いまいちピンとこない場合もあるかもしれません。
禁止されるべくして禁止されたという感はありますが、私は冷ややかです。
みなさまも、この通知を読んでみても、ひとごとのように感じるかもしれません。

思ったとおり、「コンプガチャ」自体は自主的に即効でなくなりました。
問題の本質は別のところにあると思いますが、これらの問題も含めて、別の機会に記事にしたいと思います。