ジャドマニューズ 2012年9月号

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2012年9月号
http://www.jadma.org/pdf/news/2012_09.pdf
ジャドマニューズ
http://www.jadma.org/jadma_news/index.html

①通販110番
消費者相談編
商品到着前なのにキャンセル に応じてもらえない!

通信販売では、商品の申込みから実際に商品が手元に届くまでにタイムラグが生じるため、その間に、何らかの事情により、消費者がキャンセルを希望することがあります。今回は、キャンセルを希望しても応じてもらえなかったという事例を紹介します。
事例1 予約注文したが、入荷前なのでキャンセルしたい!
・注文後、急に入院するためお金が必要になりキャンセルを申し出たが予約注文なので受けれないと断られた。
→予約注文成立後のキャンセルは難しく、事情を伝えお願いすると助言
事例2 キャンセルに関する表示がないので、キャンセルできるはずだ!
・キャンセルに関する記載が見つからず、キャンセル可能な時間を過ぎてしまい、商品到着後返品してほしいといわれた
→キャンセルに関する記載があったので相談者は渋々納得したが、その表示は分かりにくかった。改善するとのこと。
通販110番より
会社はキャンセルに関する表示を明確にし、消費者は自身の契約に責任を持つこと
・ 昨今、「注文後にショップの評判を確認したら、良くなかったから」「他店で同じ商品を安く販売していたから」といった安易な理由で、キャンセルを主張する消費者が増えています。消費者には自身の契約に責任を持つ姿勢が求められます。

※ジャドマニューズの事例は本当に相談現場と同じような内容です。ただ、JADMAは業界団体なのでメーカー寄りの考え方になっており、確かに正論に近いといえますが、実際の相談現場では消費者よりの対応になるので、正論は正論だが、あっせん解決を目指す方向になると思うので、若干違ってくるものはあると思います。
一番大切なのは、人と人とのコミュニケーションであり、それがお互いによい関係だと、正論は正論として、メーカーは相談者の満足度に答える回答にもつながると思います。この考え方は、相談員と相談者と事業者の関係にも共通しています。

事業者相談編
制限行為能力者への対応

注文者の家族から、注文者が「認知症」であることを理由に、返品や解約を要求されるケースがあります。注文者の家族はもちろん、事業者としても悩ましい問題ですが、どのように対処したら良いでしょうか。
→事業者は可能な範囲の対応を消費者は成年後見制度を利用してトラブル予防を
・申込者が契約時に成年被後見人などの審判を受けていなかった場合に、契約時に意思能力がなかったことを証明するのは極めて困難であるため、法的な契約の取り消しが難しいということになります。
だからといって、事業者は対応しなくてもよいというわけではなく、家族の訴えを十分聞き取ったうえで、可能な範囲で慎重かつ適切に、現実的な対応をしていくほかはありません。
・ なお、昨今の風潮として、「返品不可」とうたわれているにもかかわらず、申し込んだ商品を強制的に返品として受けさせることを目的に、安易に「未成年者」「認知症」を主張する消費者も存在します。この場合、消費者は契約責任というものの意味を十分理解し、契約関係の当事者として、責任ある行動をとることが必要
です。

※認知症や未成年者の契約トラブルは解決が難しい部類に入ります。あっせんもなかなか上手くいかない場合が少なくありません。今回の記事には法的な解釈も説明されているので、ぜひ読んでください。

※消費者相談と事業者相談の両方ともコメントとして、制度を悪用する消費者が増えているとあります。確かにそういう消費者もいると思いますが、実際は例外的な割合だと思います。最初から色眼鏡で見ないことが大切ではないかと思います。

社団法人 日本通信販売協会 HP http://www.jadma.org/
会報誌(JADMA NEWS) http://www.jadma.org/jadma_news/index.html

消費者の気持ちに寄り添うこと

相談の心構えとして「相談者の気持ちに寄り添うこと」と言われています。
では、「相談者の気持ちに寄り添うこと」とはどういうことでしょうか。

いろんな視点があると思いますが私の思うひとつの視点についてお話したいと思います。

そういうことではなくて…
あなたは私の気持ちをなぜ分かってくれないの?
ひとごとのようだ

相談者にこう言われたことはないですか?

それが相談者の気持ちに寄り添っていない指標になります。

相談者の立場であれば、どう思うか、どう考えるか、の視点で考えてください。

おそらく相談者がそう思う(怒る)ことはもっともだと感じるでしょう。
しかし、相談員には知恵(知識)があります。
したがって、そう思ったとしても、無理なものであれば、それはかなわないことだと悟るでしょう。
そうすると、相談者には、否定的な見解を示します。
これは、相談員の思考回路としては自然な流れです。
しかし、一気にそこに飛んでしまうとダメなんです。
冒頭の言葉を言われてしまいます。

相談者の主張を認めるという意味ではなく、相談者の立場だったらどう考えるのかということを考え、相談者の気持ち(思考回路)に共感することが大切です。
そして、共感による信頼を得てから、プロセスの説明と難しいことの説明に進むのです。

相談員の思考回路(相談員が相談者と同じトラブルにあったとき)
・トラブル→嫌だな!許せない!→でもよく考えたら私にも非があるなあ→主張を通すのは難しいと思う
相談者への助言(相談員の頭の中では結論が出てしまっている)
・主張を通すのは難しいと思う
相談者への助言(相談員の頭の中では結論が出てしまっている)
・主張を通すのは難しいと思う

相談者の思考回路
・トラブル→嫌だな!許せない!→悪質業者だから主張が通るのは当たり前だ

結果的に
相談員「主張を通すのは難しいと思う」・・・対立・・・「悪質業者だから主張が通るのは当たり前だ」
全く正反対の考え方になり、相談者は行き場のない気持ちを、相談員(消費者センター)にぶつけるのは当然の流れです(バランス理論)。

その要因として情報量や知識の格差があります。
「→でもよく考えたら私にも非があるなあ→主張を通すのは難しいと思う」というプロセスが、消費者と事業者の格差であり、相談員と相談者との格差でもあります。

相談者の気持ちに寄り添うことができているのか振り返ってみてください。

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相談員資格の検討会 中間報告 公表

第10回の検討会で中間報告(案)の最終検討が行われて、このたび中間報告が公表されました。

消費者庁HP
ホーム > 地方協力課 > 消費生活相談員資格の法的位置付けの明確化等に関する検討会
http://www.caa.go.jp/region/index8.html
消費生活相談員資格の法的位置付けの明確化等に関する検討会 中間報告[PDF:643KB](平成24年8月)
http://www.caa.go.jp/region/pdf/120827_houkoku.pdf

消費者庁や消費者委員会からネットで公表されている資料や報告書等が随時冊子で印刷されて送られていると思いますので、この中間報告の冊子も各地のセンターに送付されていると思います。
これらの冊子はなかなか読む気にならず、現場への影響も余りありませんが、今回の中間報告だけは、相談員全員の将来、しかもかなり近い将来に大きな影響を与えるものです。
なぜなら、全員がもう一度試験を受けなければならなくなる可能性もあるからです。
また、コミュニケーション能力等の技能的なものについても、何らかの査定を受ける可能性もあります。
だからこそ、この中間報告は、しっかり読んでおいてください。

これまでの議論では、国の思い、全相協の思い、NACSの思い、地方の思いが交錯し、ずばりという結論は見つかっておりませんが、とりあえず、中間報告がまとまりましたので、それがベースになっていくのではないかと思います。
その中でも、中心となるのが国の考えだと思います。
国は相談員資格を行政の相談員に限らず民間をも含めた相談員資格にしたいとの考えがあります。
そうすると、相談員資格そのものの意味合いが変わってきます。
行政の相談員とメーカーの客相の相談員は似て非なるものです。
それを同じラインに立たせるとなると無理が生じます。
今まで主張してきたとおり、私は消費生活相談員資格は行政の相談員に限定した資格にすべきだと思います(さらに、現に行政で相談業務に従事している相談員を「消費生活相談員」職として法律で位置付ける)。
一方、コミュニケーション等の技能は実践のなかで学んでいくものであり資格付与の要件にするのは現実的ではありません。
結局は、新たな試験制度を創設せず、現行制度を基本として、コミュニケーション等の技能を向上させるための研修制度を充実することこそが相談員の資質向上の要ではないかと思います。

しかし、中間報告では私とは方向性が異なっています。
何が適しているかを決めるのは全国の相談員の意見です。
相談員の意見も検討会で出てきてはいますが、比較的レベルの高い相談員の意見ではないかと思います。
レベルの高い相談員の意見に合わせると、研修の機会の少ない地方で何とかやっている相談員にとっては、厳しい資格制度になるかもしれません。
自分自身の能力がまだまだだと思っている相談員のほうが多いのではないかと思っています。
そういう相談員こそが声を上げなければ、とばっちりをくらいます。
そして、何も意見を出さなければ、中間報告の考えのもとに進むことが考えられます。

今後、現場の相談員の意見を集約する機会があるかもしれませんし、それがなくても全相協やNACSや直接消費者庁などに意見を述べてもかまわないと思います。
今回だけは、傍観者でいるのではなく、積極的に参画しましょう。

中間報告が出たので、しばらくは動きがないと思います。
おそらく、中間報告に対する意見を出す機会があると思いますので、私ももう一度、最終的な中間報告を見直して考えをまとめたいと思います。
また、中間報告の中で相談員が必要とする能力についてもまとめられているので、それらの能力を紹介していきたいと思います。