月刊 国民生活 2012年1月号

①特集 市販薬 販売方法のゆくえ
・市販薬 販売方法のゆくえ
・薬事法改正がめざしたもの
・販売実態とネット販売規制の見直し
・一般医薬品に関する都民の意識調査から
・医薬品と消費者トラブル-PIO-NETにみる相談の概要-
・コラム(1)市販薬のリスク
・コラム(2)医薬品副作用被害救済制度
※記事の見出しを見ると、重要な問題のように感じますが、相談現場ではあまり活用する機会は少ないと思います。
薬事法改正に伴う医薬品のリスク区分と販売方法の変更は一般消費者の行動に大きな変化をもたらしました。また、医薬品のネット販売については途中で運用が変更される動きが出るなど紆余曲折しています。
ただし、これらの問題が消費者センターの相談にあがるかといえばそうではなく、医薬品自体の相談については専門的な窓口を紹介するにとどまります。
どちらかというと、PIONETの統計のように、「配置薬」に関する苦情が圧倒的に相談件数を占めています。ケーブルテレビのように本当は有用なものなのに、営業方法が悪質で苦情になってしまうもったいないパターンですね。配置薬の仕組み(無料で薬箱を置いて、使った分だけ料金を支払う仕組みで、急病時に薬を買いに探さなくてもよいメリットがある)自体はすぐれていますが、コンビニでも薬が販売できるなど、そろそろ時代も終わってきたのかもしれません。
市販薬や薬事法については知識として勉強になりますが、相談現場では活用する機会が少ないので、大枠を勉強しておくと良いと思います。

②事例で学ぶインターネット取引
情報商材の問題点
・ECネットワークの原田さんによる執筆4回の2回目です。
・情報商材とはどのようなものか
・情報商材とポータルサイト
・アフィリエイトシステムによる販売
・被害にあわないために
※一時ほどの苦情はなくなりましたが、依然として相談が寄せられます。
限られたページ数に代表事例をまとめています。相談員として、この内容をすべて理解できればいいのですが、なかなか難しいでしょうね。情報商材の話にアフィリエイトが出てきたり、それぞれをしっかり理解していないと?でスルーになってしまうかもしれません。単に読み物としてではなく、自分の知識に取り込めるようになることを願います。この3ページに講義形式で3時間の研修をすれば理解につながるのではないかと思いますが、なかなかそうはいきませんね。この3ページの3時間の解説研修でもやってみたいです。
情報商材で「インフォスタイル」「インフォトップ」といえば、相談に出てきて覚えがあるかもしれませんね。私は「インフォトップ」のアフィリエイトにも登録しているので、内面から情報商材の販売の仕組みを見ることもできます。情報商材についてはシリーズ解説する予定です。

③知っておきたい相談周辺の基礎知識
販売奨励金と月割割引サービス
・1994年から20007年までは、携帯電話の販売奨励金(1台5万円程度)により、端末は0円で、毎月の料金に端末代を上乗せする形で販売されていた。
・2007年以降は端末代と通信料は分離され、端末の割引はなくなったが、通信基本料が大幅に安くなった。
・データ通信端末とネットブックパソコンをのセットにして100円など格安で販売するかわりに、比較的高額な定額料金の2年縛りの販売方法が出現した。
・スマートフォンでも各種の割引制度が使われている
※今回の記事は販売奨励金制度から現在に至るまでの流れをコンパクトにまとめているので必見です。
以前は基本料3600円で長期契約家族割引使用で1800円まで割引がありましたが、今や、1800円が基本で2年契約で980円というのがほとんどですね。メリットとデメリットを十分理解することがポイントです。

④住宅を考える
欠陥住宅問題-建物の欠陥とは-
・欠陥住宅かもしれないと思ったら
・欠陥とは何か
・建物の安全性とは何か
・建築士による相談・調査
※住宅による相談については、それぞれのセンターにより対応方法が違うと思います。住宅専門の相談センターがあるところは紹介することになると思いますが、センターであっせんする場合はかなりしんどいかもしれません。
今回の記事は、対応の流れを段階を踏んで論理的に説明しているので、非常に勉強になり、住宅以外にも応用できそうです。若干、理解しにくい部分もありますが、スルーしました。「欠陥現象」と「欠陥原因」を区別して考えるというのは理屈は理解できますがあまり使わない言い回しであり疑問が残りました。

国民生活センターHP
月刊国民生活1月号
http://www.kokusen.go.jp/book/data/gko.html

次の2月号は毎年恒例の、相談員試験の問題と解答の公表と合格者の一覧が掲載されます。
そして、何よりも注目が、「消費生活相談員」が特集記事となります。雑誌形式の出版の終了を間近に控えているのと、相談員が注目されているので、いいタイミングですね。どんな記事か楽しみです。おそらく、相談員は消費者の被害回復や悪質業者の撲滅へ貢献してきたという内容になると思いますが、個人的には、「相談員の資質について、より高度な知識とコミュニケーション力が求められているが、資質の確保が難しく、問題となる相談員もいる」というようなところまで突っ込んでもらえたらと思っています。

月刊 国民生活 2011年12月号

①特集 震災から学ぶ そのとき起こる消費生活トラブル
・震災と消費生活トラブル-「東日本大震災」で寄せられた消費生活相談情報-
・「震災に関連する悪質商法110番」-被災地の消費生活相談の傾向-
・住居をめぐるトラブル
 (1)住宅の損壊・修繕
 (2)不動産賃借・住宅ローン
・損害保険における相談と注意点
※震災に関する情報はみなさまも十分にご存知だと思います。
被災地の復興と被災者の支援については国をあげて取り組んでいかなければならないというのは共通の認識だと思います。ただし、気になることがあるのでコメントしておきます。
復興のためには税金が投入されます。その中でも個人の住宅ローン、いわゆる二重ローン問題を解消するために債務免除を受ける仕組みが作られます。債務の免除は銀行がすべて放棄するのであれば銀行の不良債権のような扱いになると思いますが、そこに税金が投入されるとなると不公平感が出てくるのではないかと思います。つまり、個人の借金の返済を国民が納める税金から出されていることになるということです。私は自分が納めた税金で被災者や被災地を支援することには賛成ですが、被災地や被災者は国が支援して当たり前だというのではなく、国が支援すること=国民全員が支援していることを認識しておいてほしいのです。日本は赤字大国になっています。税金は広く国民のために活用しなければならない厳しい現状の中で被災地にかなりの税金を投入することは日本の将来に大きな影響を及ぼします。感情論としては復興を支援すべきですが、税金投入という事実を考えるとこれでいいのだろうかと思ってしまいます。阪神大震災の影響で兵庫県や神戸市は今もなお苦しんでいるようです。この先の被災地や日本を考えると非常に不安を感じます。地方消費者行政への金銭的な支援も継続は難しいと思いますし、基金の一部を放射能の検査機器の購入に回すなどの影響も受けています。税金の使われ方に無関心な国民にもっと関心を向けてほしいですね(そういう意味でも事業仕分けは結果は別として、税金の使われ方に関心を持ってもらうという効果があったと思います)。

②誌上法学講座 消費者契約法
※今月号から消費者契約法についてのシリーズが始まります。
法律の解説を読むのは集中力が必要でしんどいですが、いまいちど基本に立ち帰り勉強してみることも大切です。

③事例で学ぶインターネット取引
ネット通販と返品
・苦情の多いインターネット取引について事例を挙げながら、ECネットワークの原田さんが4回にわたり解説します。
※相談現場でネット取引に関する相談を受けるときに大切なことは、どんな取引が行われたのかを相談員自身が理解することです。特に電話相談では相談者がどんな取引をしてどんなトラブルがあってどうしてほしいのかをうまく伝えることができません。相談員として上手く聞きだして整理し理解していれば、その時点で解決の道筋が見えてくるのではないかと思います。ただし、この理解するというのが大変な作業ですけどね。

月刊 国民生活 2011年11月号

①特集 オンラインゲーム
私もオンラインゲームに関して書こうと思っていたので楽しみにしていました。
どこまで突っ込んだ話があるのかなあと思ってましたが一般向けの解説でしたね。
5人の先生が別々に記事を書いているので仕方がないですが、原田先生の解説はさすがに玄人向けで面白かったです。
今月号はしっかり読んでおいてください。私も、もう少し突っ込んだゲームに関することを近々書く予定にしています。

特集1 オンラインゲームの現状
・ゲームの歴史や国内の現状、問題点について解説しています。
・RMTなどの用語も解説されています

特集2 オンラインゲームををめぐる相談等の概要
・PIO-NETから事例の紹介です。
※まさしく全国共通の相談内容ですね。相談内容だけで対応結果がないのが残念です。

特集3 オンラインゲームに係るトラブル対応
・事例1でいきなり難しい言葉が出てきたのでマニアックだなあと思ってたら、わざとだったんですね。
・アカウント停止、アイテムの消滅、強制退会、とまさしく代表例が紹介されています。
※解説にもあるとおり、「相談者が、そもそも何を言っているのか理解できないかもしれない」、というのが相談を難しくさせています。それは相談内容の共通理解ができていないだけでなく、「このやるせない心情を理解することころから相談は始まる」というとおり、相談者とのコミュニケーションのギャップが相談員への不満となり積み重なるからです。ある程度は相談員も知識を持っておくべきだと思います。といっても、実践者でない限り、学ぶ方法がないのが現実ですね。

特集4 ゲーム業界の対策と課題
・オンラインゲームでのトラブルについて解説しています。
※IDやパスワードのユーザー情報の漏洩は友達や知り合いが犯人というケースが最も多いというのは、やっぱりなと思います。

特集5 ふえるゲーム依存症
・ゲーム依存症について解説されています。また、なぜ依存状態になるのかという理由もいくつかの実例があげられています。
※廃人にはなりたくないですね。でも、そうなってしまう気持ちはよくわかります。

②チェックチェック! 苦情相談
「特定継続的役務提供の中途解約に応じない学習塾」
・難関大学の受験英語を教える専門塾に高校1年の娘が年間授業料一括払いで受講した
・体調が悪くなり7月で退塾したが、未受講分の返金は一切できないといわれた
・特定商取引法の特定継続的役務提供の学習塾に該当すると思われ、書面不備でクーリングオフも可能だったが、相談者は3ヶ月受講しているので、クーリングオフではなく中途解約を希望した
・塾は弁護士から特定商取引法の適用は受けないといわれているという
・その後、返金に応じるとしたが割引前単価で計算していたので、契約締結時の単価で清算するよう要求し、請求額どおりの返金があった。
※法律の対象になるかならないかという根本的な問題で事業者に誤りがある場合、間違いなく勝てるので対応としては簡単です。ただし、相手がなかなか応じてこない場合があるので粘りが必要です。このように明らかに違反が認められる場合は、消費者センターという名のプレッシャーをうまく活用すればいいと思います。

③ホッとティータイム
土地がないのに家が建つ?
・いつも相談現場の最前線のひとりごとを楽しみにしています。外資系のパソコンの事業者の話が出ていますが、顧客対応担当は日本語がよく分からず、なかなか解決が難しい、という書き方で、すぐに事業者がわかってしまうのは職業病でしょうか。あのメーカーも昔にくれべれば随分ましになりましたが、外資特有の交渉のツボをおさえておくことが重要ですね。

④国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース取りまとめ
・HPだけではなく雑誌にも掲載するとはなかなかやりますね。しかし、本当の問題点というのは結局最後まで表に出ないまま終わるんだろうなあと思います。