ケーブルテレビの営業電話(特商法適用除外の確認)
私の法人用の電話番号に留守電が入っていました。
その内容は次のとおりです。
このメッセージの内容はめちゃくちゃおかしいのです。
そして、そのままセンターに消費者から相談がある「ケーブルテレビや光回線の苦情」の発生原因そのままなんです。
勧誘のスタートラインで悪い印象を出してしまって、営業はうまくいくのでしょうか。
今回は、通信契約についての特商法の適用除外について、条文等を確認したいと思います。
まず、最初に主張します。
「ケーブルテレビ○○」は使っていません。
しかも、私の法人電話は3月に開設したばかりで、明石市の自宅に個人名義で設置しています。
明石市では「ケーブルテレビ○○」は対象地域ではありませんので、設置不可能です。
すると、HPか法人の名簿にある所在地の神戸市を想定してきて電話しているのでしょうか。
それとも、ランダムに電話してきているのでしょうか。
さて、ケーブルテレビ会社には、どういうマニュアルがあるのでしょうね。
「契約していないのですが...」という返答に対して、とぼけて、営業をかけていくのでしょうか。
これって、勧誘に先立ち、会社名と目的を告げなければならないというのに違反するのでは...
といいたいところですが、ご存知のとおり、通信契約は特商法の適用除外ですね。
(ちなみに、消費者契約法や民法を適用すれば対抗できますが、やはり特別法のほうが威力はあります)
勧誘方法に問題があるのは明らかです。
それよりも、ケーブルテレビは悪質商材と違い、普通の商品(サービス)なのだから、普通に営業したらいいのに、と思いますが、携帯電話と同じく、なぜかおかしな勧誘文句を使うのですね。
特定商取引に関する法律
・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S51/S51HO057.html
(電話勧誘販売における氏名等の明示)
第十六条 販売業者又は役務提供事業者は、電話勧誘販売をしようとするときは、その勧誘に先立つて、その相手方に対し、販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称及びその勧誘を行う者の氏名並びに商品若しくは権利又は役務の種類並びにその電話が売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げなければならない。
(契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘の禁止)
第十七条 販売業者又は役務提供事業者は、電話勧誘販売に係る売買契約又は役務提供契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し、当該売買契約又は当該役務提供契約の締結について勧誘をしてはならない。
(適用除外)
第二十六条 前三節の規定は、次の販売又は役務の提供で訪問販売、通信販売又は電話勧誘販売に該当するものについては、適用しない。
(中略)
八 次に掲げる販売又は役務の提供
イ 金融商品取引法 (以下省略)
ロ 宅地建物取引業法 (以下省略)
ハ 旅行業法 (以下省略)
ニ イからハまでに掲げるもののほか、他の法律の規定によつて訪問販売、通信販売又は電話勧誘販売における商品若しくは指定権利の売買契約又は役務提供契約について、その勧誘若しくは広告の相手方、その申込みをした者又は購入者若しくは役務の提供を受ける者の利益を保護することができると認められる販売又は役務の提供として政令で定めるもの
(以降省略)
特定商取引に関する法律施行令
・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S51/S51SE295.html
(他の法律の規定によつて購入者等の利益を保護することができると認められる販売又は役務の提供)
第五条 法第二十六条第一項第八号 ニの政令で定める販売又は役務の提供は、別表第二に掲げる販売又は役務の提供とする。
別表第二(第五条、第五条の二関係)
三十二 電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第五号に規定する電気通信事業者が行う同条第四号に規定する役務の提供
電気通信事業法
・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S59/S59HO086.html
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(中略)
四 電気通信事業 電気通信役務を他人の需要に応ずるために提供する事業(放送法 (昭和二十五年法律第百三十二号)第百十八条第一項 に規定する放送局設備供給役務に係る事業を除く。)をいう。
五 電気通信事業者 電気通信事業を営むことについて、第九条の登録を受けた者及び第十六条第一項の規定による届出をした者をいう。
(提供条件の説明)
第二十六条 電気通信事業者及び電気通信事業者の電気通信役務の提供に関する契約の締結の媒介、取次ぎ又は代理を業として行う者(以下「電気通信事業者等」という。)は、電気通信役務の提供を受けようとする者(電気通信事業者である者を除く。)と国民の日常生活に係るものとして総務省令で定める電気通信役務の提供に関する契約の締結又はその媒介、取次ぎ若しくは代理をしようとするときは、総務省令で定めるところにより、当該電気通信役務に関する料金その他の提供条件の概要について、その者に説明しなければならない。
(苦情等の処理)
第二十七条 電気通信事業者は、前条の総務省令で定める電気通信役務に係る当該電気通信事業者の業務の方法又は当該電気通信事業者が提供する同条の総務省令で定める電気通信役務についての利用者(電気通信役務の提供を受けようとする者を含み、電気通信事業者である者を除く。第二十九条第二項において同じ。)からの苦情及び問合せについては、適切かつ迅速にこれを処理しなければならない。
なぜ特商法から除外されているのか?
特商法第26条で紹介したとおり
訪問販売、通信販売又は電話勧誘販売における商品若しくは指定権利の売買契約又は役務提供契約について、その勧誘若しくは広告の相手方、その申込みをした者又は購入者若しくは役務の提供を受ける者の利益を保護することができると認められる販売又は役務の提供として政令で定めるもの
という理由によります。
逐条解説によると
消費生活安心ガイド・・・http://www.no-trouble.go.jp/search/raw/P0203002.html
174ページ
第8号は、平成20年改正によって指定商品・指定役務制を廃止したことを受けて、他の法律によって消費者保護が適切に図られると認められる商品の販売や役務の提供について適用を除外するために導入した条項である。
(1) 「他の法律の規定によつて……利益を保護することができると認められる販売又は役務の提供」
これは、商品の販売等について、各個別法において、実効ある規制体系が構築されているものを指す。そうしたものに合致するか否かの基準は、不当な勧誘や広告等に対して、以下の2点が満たされているかにより判断することとなる。具体的には、
① 消費者被害に対する是正措置が整備されていること(設置法に基づく一般的な行政指導等では不充分)
② 是正措置を発動することが可能となるような法目的との整合性
具体的には、業務改善命令、約款変更命令、指示、懲戒等に該当する措置が法律上規定されており、事業者の不当な勧誘や不当な広告等によって消費者被害が発生した際に発動することが可能であり、消費者被害が発生している状況を一定の強制力をもって改善することができると認められる場合を指す。したがって、単に立入検査が可能であるだけの場合には、この基準を満たさないものと整理している。
これらが満たされているか否かを精査した結果、政令別表第2に列挙された商品の販売又は役務の提供を適用除外として規定している。
要は、通信契約はいつでも解約できるし、悪いことをする事業者はいないという前提に立ったものなんでしょう。
古い時代の名残ですね。
それが、ケーブルテレビや光回線、光電話などの技術革新に伴う新しいサービスが出現し、実態に合わなくなってしまいました。
ケーブルテレビや光通信契約でも2年縛りの複雑な仕組みになりました。
ところが、電気通信事業法では、クーリングオフや不当な勧誘などについて規定はなく、今では「保護」できるとは言いがたいようになりました。
ちなみに、自主基準で消費者保護を規定しているところはあります。
そういう意味からも、総務省でクーリングオフの導入が現実味を帯びており、おそらく導入されるのは時間の問題だと思われます。
次回は、ケーブルテレビのおかしな契約チャンネルプランについて書きたいと思います