ジャドマニューズ 2014年9月号

JADMA日本通信販売協会
http://www.jadma.org/

通販110番について

通信販売に関する消費者からの相談受付機関として、協会に消費者相談室「通販110番」を設置し、消費生活アドバイザーの資格を有する相談員が、年間約6,000件の相談に対処しています。
また、「通販110番」や消費者センターに寄せられた苦情について、解決策を協議し、会員へフィードバックしています。
通販110番 消費者相談窓口 電話番号:03-5651-1122
月~金曜日 午前10~12時,午後1~4時(年末・年始、祝・祭日除く)

※メール相談も可能です


「ジャドマニューズ」の最新号・バックナンバーは、HPで閲覧できます。(毎月15日発行)
2014年9月号
http://www.jadma.org/pdf/news/2014_9.pdf
ジャドマニューズ
http://www.jadma.org/jadma_news/index.html

今月号から勉強になる部分を紹介し、コメントと相談現場への応用について解説します。

特集「産業としての通販の可能性」

経産省の通販担当者とのインタビューです。
国が通販業界をどう見ているのか、規制をどうするのか、などの思惑が見て取れます。
いくつか気になるところをピックアップしました。

■通販業界についての印象

・業には「縦」と「横」があると思っています。いわゆる鉄鋼業や化学産業など、まず物を作って、そこから派生するサービスを拡げていくのが「縦」型の業界だとすると、通信販売や情報通信などは、どのような業種にも横断的に応用が可能な「横」型の業界であると私は捉えています。

■「質による淘汰の時代」の到来

・更に新鮮性や革新性、物理的制約の無い品揃えなどの長所を生かした商取引上の前進と、そして知的品質や知覚価値を基とする企業期待・信頼感の増進、更にはマーケットそのものを拡大していくための他の業種・業態への連動といった企業活動そのものとしての「質」の深化を求めていかなければならない

■行政規制と業界振興の均衡

事業者全体を一方的に規制するような世の中は良くない
―1970年代や80年代前半という通販にもいろいろトラブルがあった時代に比べると格段に質は向上しましたが、それでもまだ詐欺サイトや一部の悪質業者がいるのも事実です。
伊藤 それを自浄作用で回復していくような取り組みが必要でしょうし、大事なのは、ではそれをふまえてこの先どうなるんだというところまで見据えて消費者の信頼を高めていく取り組みだと思います。物流が強い、商品やサービスが素晴らしい、などの「質」は向上され、ではこの先どういう進化をして、どのような展開で業態発展の道があるのかというところまで考えなくてはいけない時期にきているのではないでしょうか。
・自主性を軽視して、上からガバっと全体に網をかけて、「すみません、悪い人は一部なんですけど、全員に規制かけます」というのでは事業活動の柔軟性が損なわれ、発展機会の喪失に繋がるのみならず、消費者の選択肢の縮小にも繋がりかねません。ただ、そう言えるためには、事業者の方たちが自主的な取り組みとして悪質な業者を排除するように対応していただいているということが大前提となります。それは事業者の方もみんなわかっている。そのうえでどうするかという議論をしなくてはいけないということです。
・消費者と事業者を対立させず、双方の距離が埋まる行政策を
―業の振興と規制という2つを考えるうえで、どのようなことが大事だとお考えですか?
伊藤 私としては、消費者と事業者を二項対立にしないことが一番大事だと思っています。やはり消費者のためにも、事業者のためにも、双方の距離が埋まるような行政策というのが一番求められているのではないでしょうか。

■消費者保護とJADMAへの期待

・役所に求められているのは世の中の基盤を作ること
―初めから法律を守る気もないという悪質な業者の場合、いくら規制を厳しくしても、その規制を通り抜けるような新しい悪さを考えるという現実もありますね。
伊藤 イタチごっこなんですね。そういう意味では、消費者自身も判断力を高めていく、消費者教育みたいなものも大事でしょうね。
―教育といえば、今度の消費者庁長官が文科省出身だということもありますので、消費者教育についても期待しています。


※私が感じるのは、国は規制はかけたいのではなく自浄努力をして欲しいといってるのですが、結局、悪質な業者のために規制をかけざるを得ない。業界でも、質の向上に努力して欲しい、ということでしょうか。どだい、無理な話ですね。人口減少によりマーケットが縮小していくかもしれない市場の中で、特に、通販業界は競争が激しいので、努力している一部の事業者以外のその他大勢の事業者は自分本位になるのではないでしょうか。

通販110番

今回の通販110番はとても勉強になる身近で遭遇しやすい事例なので、ぜひ読んでください。

事業者相談編

「顧客が注文商品を『受け取り拒否』」
今回は、顧客側が自分の注文した商品を自己都合により「受け取り拒否」を行った結果、事業者に損害を与える可能性のある事例を取り上げました。

相談事例1 海外製ソファ4台の受取拒否
相談事例2 特注品ウェットスーツの受取拒否
相談事例3 使用後返品保証の商品を使用せず受け取り拒否

すべて、なかなかリアルな事例です。事業者にとっては「要注意商品」だという自覚を持って念には念を入れる必要があると思います。法的措置をとれば間違いなく事業者の言い分が通るでしょうが、どこまで手間をかけるかでしょうね。
消費者都合の返品は不可という約束を平気で破る消費者は、なかなか手ごわいかもしれません。
ただ、消費者のほうも、事情を話して相談することで、負担は少なくなるのかもしれないのにと残念に思います。

通販110番より

相談室長より
何より大切なことは双方の信頼関係
事業者も消費者も常識的な交渉努力を

消費者相談編

増えています!スマートフォン利用の通販トラブル
最近、「スマートフォンのサイトで商品を購入後トラブルになった」と、あえて広告媒体を特定しての相談が入る場合があります。今回は、スマートフォン特有の相談事例を紹介します。

相談事例 テーブルセットだと思って購入したのに…

・スマートフォンでテーブルとイスのセットを購入したが、テーブルだけだった。返品に応じない。
・PPCで見るとテーブルだけの販売と分かるが、スマートフォンでは分かりにくい。
処理内容
スマートフォンサイトにおける広告のわかりにくさも伝え、 費用負担を申し出て返品依頼を

通販110番より
スマートフォンサイトでは、会社はよりわかりやすい広告作りを
消費者は販売条件や商品情報を十分確認のうえ注文を
・現在はスマートフォンでも、「単体の金額である」旨の注意表記と、「チェアーに関しましては別売りになります」の文言が追加され、商品名も「ローテーブル(チェアー別売り)」との表記に改善された

※スマホサイトは表示される内容が限定されるので、このような苦情はこれから増えてくると思います。錯誤無効がどれだけ主張できるかというところでしょうが、事業者が表示を改善したということは、やはり、問題があったのではないかと思います。また、改善することで消費者にとっては分かりやすい表示になったともいえるので、この苦情は「宝」だったと思います。そういう事情を加味して、あっせんするとうまくいくことがあります。あっせんしがいのある事例かもしれませんね。

紙面に書かないメディアの本音 最終回 「通販の未来と可能性」を考える

・大手と競争しない「個人商店」に通販の可能性を感じる
・「一部の悪質業者のせい」という言い訳はメディアに通用しない
※ときどき面白い記事があったシリーズですが最終回です。内容はたいしたことないのですが、『大手と競争しない「個人商店」に通販の可能性を感じる』という見出しに反応しました。これは通販業界だけでなく小規模事業者にとってはひとつのチャンスになると思います。特集にも同じような記事がありましたが、事業者も淘汰され、質のよい消費者と信頼関係で向き合える小規模事業者にチャンスがあると思います。

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