忘れられる権利、日本でも裁判

先日、「忘れられる権利(2014年8月6日)」でEUの事情について書いたところですが、日本でもヤフーに対しての同様の裁判があり判決が出ました。
まだ、地方裁判所レベルであり、判例になるほどの影響力は少ないと思いますが、グーグルへの訴えも係争中(9/17に判決)であり、注目されます。

ヤフーのネット検索で逮捕歴 表示差し止め認めず 京都地裁、原告男性の請求棄却「逮捕から1年半程度。不法行為は成立しない」

2014.8.7 13:42 [westセレクト]
産経ニュースより
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140807/waf14080713420019-n1.htm

インターネットの大手検索サイト「ヤフージャパン」で自分の名前を検索すると、過去の逮捕歴が明らかになり、名誉を傷つけられたとして、京都市の40代の男性が、サイトを運営する「ヤフー」(東京都港区)に、検索結果の表示差し止めや慰謝料などを求めていた訴訟の判決が7日、京都地裁であった。栂村明剛(つがむら・あきよし)裁判長は「特殊な犯罪事実で社会的な関心が高く、逮捕から1年半程度しか経過していない現時点では、公共の利害に関する事実であり不法行為は成立しない」として、男性の請求を棄却した。

「社会的な関心、現時点では公共の利害に…」

訴状などによると、男性は平成24年12月、女性のスカート内を盗撮したとして京都府迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕され、翌年4月、同地裁で執行猶予付きの有罪判決が確定した。

男性は逮捕後に勤務先から懲戒解雇され、判決確定後に再就職活動をしようとしたが、自分の名前を検索すると逮捕の事実や記事、その記事を転載したサイトが表示され、再就職活動が妨げられたと指摘。犯罪が軽微であることや私人であることから、判決確定後も逮捕歴が検索結果に出るのは名誉毀損にあたるとして、慰謝料など1100万円の支払いを求め、同年9月に提訴していた。

ヤフー側は「検索結果は、キーワードに関するウェブの存在や所在を示し、ヤフーの意思内容は反映されていない。削除要請は元記事の発信者にすべきだ」と反論。実名報道には公益性があり、記事へのアクセス手段を提供しても、違法性はないと主張していた。

名誉毀損:検索で逮捕記事、ヤフー提訴の男性敗訴

毎日新聞より http://mainichi.jp/select/news/20140807k0000e040264000c.html

毎日新聞 2014年08月07日 13時20分(最終更新 08月07日 20時33分)
大手インターネット検索サイト「ヤフー・ジャパン」で自分の名前を検索すると過去の逮捕記事が表示され、名誉を傷つけられたとして、京都市の40代男性が同サイトを運営する「ヤフー」(東京都港区)に対し、検索結果の表示中止や慰謝料など約1100万円を求めた訴訟の判決で、京都地裁は7日、人格権が違法に侵害されたとは認められないなどとして、請求を棄却した。

栂村明剛(つがむら・あきよし)裁判長は判決で「検索結果が示すのは、複数のウェブサイトの所在などで逮捕事実自体ではない。名誉毀損(きそん)の余地があるとしても、逮捕事実は社会的な関心も高く、違法性が阻却され、原告の人格権が侵害されているとも言えない」と結論付けた。

訴状によると、男性は2012年、京都府迷惑行為防止条例違反(盗撮)容疑で逮捕され、13年4月に有罪判決が確定した。ヤフーのサイトで検索すると、逮捕時のメディアの記事を転載した複数のサイトが表示され、男性の逮捕歴が分かる状態になっている。

男性側は「軽微な犯罪で、不特定多数の人に検索結果を表示し続けることは名誉毀損に当たり、逮捕歴が知られれば再就職にも支障が出る」と主張。ヤフー側は「検索サイトは社会インフラの一つ。検索結果の表示が違法なら、新聞の縮刷版を置いている図書館も違法になる」と反論していた。

検索サイトの表示による名誉毀損訴訟を巡っては、東京地裁が昨年4月、大手検索サイト「グーグル」のサジェスト(単語を入力すると関連語句を予測表示する)機能が名誉毀損に当たるとした東京都内の男性の訴えを認め、グーグルに表示の差し止めと30万円の賠償を命令した。しかし、東京高裁は今年1月、1審判決を取り消し、男性の請求を棄却した。

海外では、欧州連合(EU)司法裁判所が今年5月、米検索大手グーグルに対し、個人情報が分かる検索結果の削除を求めたスペイン人男性の訴えについて、「プライバシー保護の観点から、検索サイト企業は一定の条件下でリンクを削除する義務がある」と認める判断を下した。【村田拓也】

ポイントは2つあると思います

①今回の逮捕事実は社会的関心が高く、「忘れられる権利」としては、1年半と短い
②ヤフーは検索結果を示しただけで、削除要請は元記事の発信者にすべき

まあ、解釈としては妥当な線かなというところですね。

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