PL訴訟 その2
この裁判では、
③サスペンションと事故との因果関係は、実験結果などから「本件自転車のサスペンションが分離して転倒した」と認定した。
①「欠陥の有無」については、「サスペンションの分離が主張・立証されれば、欠陥の主張・立証として十分であり、詳細な科学的機序までは必要ない」とした。
※消費者が購入して一度もメンテナンスしていなかったことの過失については、取扱説明書の定期点検の呼びかけに対して、「クロスバイクの定期点検は常識であるとはいえない」「点検の際にサスペンションの内部まで点検することが事業者の通例とまでは言えない」とし、消費者の過失相殺を1割とした。
【ポイント1】・・・申し入れ先の事業者を間違わない(前回解説済み)
【ポイント2】・・・「通常予見される使用形態」をしっかりシミュレートする(相談員個人の視点ではなく、一般消費者全員の視点で見る)
【ポイント3】・・・取扱説明書に書かれていれば、消費者の誤使用・不注意となり、事業者が責任を逃れることになるというわけではない。その注意事項が「通常予見される使用形態」、すなわち「誰もがしてしまう誤使用」であれば、「誤使用」とはならない。
以上のポイントを製品事故の相談時に、相談員自ら考えるか、商品テスト担当者に相談するか、技術職員に相談するか、NITEや国センや消費者庁に相談するかして、あっせんしてください。なお、どこまで相談員がかかわるかは、各センターの規模や方針などによって異なってきます。
(参考)
NITEで頻繁に登場する『「使用方法」の分類と責任の主体』の図を紹介します。