季刊ダイレクトセリング

「公益社団法人 日本訪問販売協会」が「季刊ダイレクトセリング」という広報誌を発行しています。
2012年4月発行の118号に「コンプライアンス」のことが特集されています。
その中から、苦情対応研修の知る人ぞ知る柴田さんの記事を取り上げます。

この広報誌はWEBから最新号が閲覧できます。
公益社団法人 日本訪問販売協会
http://www.jdsa.or.jp/
季刊ダイレクトセリング
http://www.jdsa.or.jp/www/jigyo/shuppan-02/mokuji-10.html

特集
コンプライアンス教育をどのように推進するか
法令遵守はもちろんのこと、自主行動基準に基づく日々の業務の励行、高い倫理観に基づくセルフコントロールを含めたコンプライアンスの徹底のためには、販売員に対するコンプライアンス教育が不可欠である。今号ではコンプライアンス教育の重要性と進め方について識者からコメントをいただき、さらにコンプライアンス教育の実践事例を紹介する。

PART1 コンプライアンス教育を推進する決め手は「情報共有」にあり

話し手 柴田純男氏 柴田CSマネジメント㈱代表取締役

Q3 コンプライアンス教育で教えるべきことは何ですか

人間は、自分勝手に解釈する動物です。「自分勝手」は暴走するので、歯止めをかけなければなりません。たとえば、「あなた、私の話を聞いていないでしょう!」と、身近な人から怒られた経験はありませんか。耳がついていても、入ってきた情報のすべてを言われた通り「聞いている」わけではないのです。「耳で聞く」とは言いますが、耳には聞くための器官(鼓膜)があるだけで聞いているのは脳なのです。人間の脳には、自分にとって都合の悪い情報を遮断し、都合の良いものだけを選択的に受け取る機能があるのです。また、聞こえてきた情報を、自分の都合の良いように時にはねじ曲げて解釈するということもします。だから、自分勝手な解釈が入る余地がないように、具体化して教える必要があるのです。

Q5 コンプライアンス教育の成果は、どのように知ることができますか

そのための好材料となるのが、苦情対応事例です。多くの場合、訪問販売の販売員の行動は、本部でうかがい知ることはできません。現場で何を話し、それが相手にどう伝わっているのかは、密室の中の出来事であり、外からは見えないし、聞こえないのです。しかし、リスクマネジメントの根幹は、第一線の現場で起きていることを知ることにあります。ハインリヒの法則で言われるように、1つの重大な違反の背後には同じ傾向の29の軽微な違反があり、その背景には300のヒヤリハット(ヒヤっとしたり、ハッとする事柄)が存在します。その300事例を見過ごせば、必ず重大事故につながります。けれども、販売員1人ひとりの背後に監視員をつけることは到底できません。 ヒヤリハットを知る唯一の手がかりが消費者からの苦情です。ひとつの会社の中で苦情の原因になった販売員の問題行動を共有するだけでは十分ではありません。いま、問題が起きていないからといって、将来的に大きなトラブルが起きないという保証は全くないのです。
コンプライアンスには、対症的コンプライアンスと、予防的コンプライアンスの2つがあります。何かが起きたときの対応が前者であり、起きる前の対処が後者です。そのときに役に立つのが、日本訪問販売協会の相談室からの報告です。その内容が、全会員企業に伝わっているでしょうか。その事例を詳細に調べて、「我が社の訪問販売でそのような苦情が発生したら」とシミュレーションして、その対策を全社で共有することによって初めて、重大な違反の防止につながるのです。
人は、実際に起きた事例を通じてしか、深く学ぶことはできません。事例検討を深め、その内容を全社に発信できるような、キーパースンが必要です。そして、繰り返し学ぶ場を作らなければなりません。人は、忘れっぽいので、学習を繰り返さなければ根付かないので、フォローアップが必要です。

特に、この前段の赤字にした部分です。
相談員として、自分勝手に解釈して暴走すると公的機関としての消費者センターの威信にもかかわります。
まわりの人からのアドバイスを真摯に受け止める姿勢が大切だと思います。
また、後段にある「キーパーソン」。相談員のスキルアップや職場のコンプライアンスを推進するためには「リーダー」がほしいところですね。

私も柴田さんの苦情対応の研修を受けたことがあります。
特に、心理学的な見地からアプローチするコミュニケーションに精通しており、とても勉強になり、実践にも活用できます。
私も相談者や事業者の気持ちを考えたコミュニケーションが重要であることは何度も記事にしています。
今回はコンプライアンスが題材ですが、柴田さんの苦情対応の研修を受ける機会がありましたら、お金を出してでも、ぜひ受講されることをおすすめします。

柴田CSマネジメント
http://www.shibata-cs.com/index.html