カンブリア宮殿 (2011年9月29日) その2

ユニクロを持っている人でも、1点は長く使いたい、思い入れのあるものがある
1点豪華主義
そういうものにケアメンテサービスを

相談現場では

クリーニングの苦情は1000円のワイシャツではあまり問題にしないが、5万円などの高級ブランド品で問題になります。
しかし、1000円のシャツも5万円のブランドも同じ激安チェーン店に依頼します。

安かろう悪かろうではないですが、安い料金で、ブランド品をブランド品としてきっちり取り扱うことはなく、1000円のシャツと同じ扱いです。
しかし、消費者はそうは思わない。5万円のブランド品が300円できれいになると考えています。
そこが、消費者がもう少し学ぶべきところであり、消費者教育としてわれわれもしなければならないことです。

クリーニングは定価の1割の料金を払ってクリーニングしなさいといわれています。
そう考えると、ハッピーの料金がそんなに高いものであるとは言えないかもしれませんね。

私たちも相談現場でこのような事例にあったら、安い服と高い服のクリーニングはお店を選んでほしいと提案しています。
一度、このような事故にあった場合は消費者は知ることになりますが、多くの人は事故にあっていないか、気にしないか、あきらめているか、知らないだけか、実態はわかりません。
ただ、高級品を激安店でクリーニングした場合は消費者センターに苦情が寄せられます。
クリーニング店が、この料金でそこまで望まれたら困る、といいますが、それなら高級品は受けないようにしなさいといいます。
いたちごっこですね。

例えば、カシミアのコートの風合い変化などは、仕上げにブラッシングをして毛並みをそろえればいいのだが、手作業では仕上げだけで2000円は欲しいところだが、激安の料金では割に合わない。そして、そのことをクリーニング店も説明できない

社長がまだ普通のクリーニングをしていた頃
毛皮のコートを縮ませてしまった
土下座して謝る社長に、お客は
「あんた、この毛皮 私がどんな思いをして買ったか知っとるん?
長いことお金をためて 夫婦の記念に買ったものなんよ」
社長は元に戻せる方法はないのかと地団駄をふみ、速さや安さばかりを追求し技術をおろそかにしていた
キレイにするためにお客は料金を払っているのだ
店をすべて閉めて、宅配専門のクリーニング店を開業した

客の信頼を得るクリーニング革命
①電子カルテで元通り
・・・ボタンをすべてとる、写真を撮る、サイズを測る、汚れや傷を記録する
②カウンセリングで全て納得
・・・その後、クリーニング方法について、リスクも含め、客に説明し作業にかかる

相談現場では

検品がよく問題にされます。
穴が開いている。最初からあいていた。
しみが最初からついていた。お互いに確認していない。
縮んだというが最初からこのような状態だった。
風合いが変化した。
ファがない。
など。
縮んだ場合に、メーカーから寸法表を取り寄せたとしても、それは製造時のもので、クリーニング直前のものではないので決め手に書ける場合もある。
風合い変化も、許容度の範囲の認識に違いが出てくる。

これらの問題は、きちんと検品してお互いの了解をとっていれば避けることができる場合が多い。
しかし、激安店のパート従業員がそこまで教育されているか、コストの関係でそこまでやっているか、というのが現実でしょう。
ハッピーの電子カルテシステムは検品の最高峰といっても過言ではありません。
しかし、コストを考えると現実的ではないですね。
ただ、写真やビデオを残しておくのは、デジタルデーターが無限に残せてコストもかからないので有効ではないかと思います。
たとえば、検品台の上にビデオカメラを設置して撮りっぱなしにして、一定期間データーを残すことはそんなに大変な作業ではないと思います。

カウンセリング

説明責任ですね。クリーニングをするときの説明と事故にあったときの説明と両方がしっかりできていると、事故が発生しても消費者センターに苦情は持ち込まれません。
大手チェーン店の説明能力のなさには情けなさを感じます。
日焼けさえ説明できないことも少なくありません。
カウンセリング=お店と消費者とのコミュニケーション
レベルの差はそこにあると思います。

最後に社長の土下座の事例です
クリーニング店が原因の事故は基本的にクリーニング賠償基準で賠償額が決まります。
それは、種類と経過期間で機械的に決められています。
そこには、さきほどの毛皮のコートのような、思い出は含まれておりません。
したがって、非常に安い賠償額の査定になることが少なくありません。
それが消費者の怒りを増長することもあります。

クリーニング業者の中には、「賠償したらいいだろう」的な考えの業者もいます。
しかし、私がいつも言っているのは、「謝罪ありき」の賠償ということです。
思い出の品を元に戻せといわれても戻りません。
何とか賠償金で許してもらえないでしょうか、というスタンスが大切です。
許してくれたとしても、思い出料金は含まれません。賠償基準では思いのほか安い金額になります。
消費者センターも賠償基準の金額は一般的に妥当であるとしています。
だからこそ、最初にしっかり謝罪しておくことが解決への道筋につながるのです。

今回の番組はクリーニングの姿をいろんな方向から考えるきっかけになると思います。
理想と現実は異なります。
消費者センターでは理想を求めることもいいのですが、現実に目の前にある相談を解決することが優先されます。
クリーニング業者の言うことが正しく、消費者に原因がある場合もあります。
その場合、消費者に事実を説明したとしても、相談員が消費者から罵倒されることもあります。
相談者とのコミュニケーションの中で、今回の番組をヒントにじっくり話をすることもひとつのヒントになるのではないでしょうか。

※クリーニング苦情の対応については別の機会に書きたいと思います。

※ハッピーのHPはこちらです
http://www.kyoto-happy.co.jp/