一般論の相談現場への応用

スキルアップ講座のメインにあたる相談現場での対応に関する「コミュニケーション」の重要性とスキルアップについて、今後取り上げていくつもりですが、基本的な考え方について書きたいと思います。

コミュニケーションといえば、「あいさつ」や「言葉使い」などを思い浮かべます。
これらのことは、子どものころから勉強してきたことですね。
簡単なことですが、相談現場で自信を持って使えてますか?
「横柄な態度だ」「親身になってくれない」「消費者の味方になってくれない」「名前を名乗らない」「言い方がきつい」などの苦情を受けたことはありませんか?
実は、思いのほか、この種の苦情は少なくないと思います。
小さいころから教わっていて、社会人として、当然使えるべきものが、使えていないということがあります。

「思ったこと・考えていること」と「実際に実行すること」が、全く反対であるという経験はありませんか。
怒るつもりはなかったのに怒っていた。
やさしくしたかったのに、きつく当たってしまった。
子育ての現場でもありますね。
子ども学校の成績を見たときもそうですよね。
「ついつい最後には説教になってしまう」
極論を言えば、子どもを殴ってしまったとか虐待してしまった、いじめてしまった。
また、口では「ダイエット」「禁煙」「禁酒」を宣言しているのに、できない。
3日坊主という言葉もあります。

そうです。
人は、思っていることをなかなか実行できないのです。
理性とか、心理学の世界になってしまうかもしれませんね。

思っていることを実行する能力をつけてほしいと思います。

相談現場でのコミュニケーションは、前提として、一般的に言われているコミュニケーションが基本となっています。
まず、この基本をしっかり理解することです。
しかし、一般論ではそうそううまくいかないことが多々あります。
相談現場という環境と個々の相談事例や相手の人格など特殊な状況にあわせたコミュニケーションへと応用していく必要があります。
つまり、
STEP1 → 一般論としてのコミュニケーション
STEP2 → 相談現場での共通のコミュニケーション
STEP3 → 個々の相談事例や相手の人格に合わせたオーダーメイドのコミュニケーション

とステップアップしてくるのです。

コミュニケーションに関する研修を受ける機会があると思いますが、それぞれ、どのステップの研修かを理解しておくことが大切です。
相談員が希望する研修は「STEP3」だと思います。
しかし、実際の研修は「STEP1」や、せいぜい「STEP2」だと思います。
その大きな理由は、コミュニケーションの専門家は「外部講師」が基本だからです。
外部講師が相談現場を熟知しているわけではないので、どんな優秀な講師でも「STEP3」の研修をすることは不可能だと思います。
たとえ、試みたところで、表面的なトンチンカンなものになる可能性が高いです。
このことは、研修を受講するときの姿勢(https://soudanskill.com/20101014/111.html)でも同じような内容で書いたところです。

それを棚に上げて、「この研修は全然勉強にならなかった」「相談現場とはかけ離れている」と批判します。
そういう相談員は、お荷物相談員のレッテルを貼られているでしょう。批判ばかり人間です。スキルアップの見込みがありません。

さきほど「どのステップの研修かを理解しておくことが大切です」と書いたところです。
「STEP3」の研修でないのなら、当然「STEP3」の研修内容であるはずがありません。
「STEP3」を期待しても「STEP3」ではないのだから、後から「STEP3」ではないと批判するのはおかしいのです。

本当に賢い相談員はどうするでしょうか。私はどう考えるでしょうか。

外部講師を呼ぶからには、その道の専門家であることは間違いありません。
したがって、「STEP1」なら「STEP1」の、「STEP2」なら「STEP2」のスキルを全力でアップさせるのです。
そして、「STEP3」へのヒントを少しでも感じ取り、相談現場に応用していくのです。

このような考え方を持つように意識変革させてください。
私のスキルアップ講座は、「意識変革(心がまえ・心がけ)」を一番重要視しています。
そうすれば、おのずと情報が入ってきますし、身につくのです。

なかには、それでは「STEP3」の研修をしてもらえばいいのでは?と思う方もいるでしょう。
「STEP3」の研修は実施可能でしょうか。
相談現場に精通していて、かつ、講師としてのコーチングおよびティーチング能力にすぐれている講師。
法律の専門家はたくさんいますが、見つけだすのは難しいのではないでしょうか。
内部の人間が講師をするのが一番の近道ですが、そんな優秀な人材はそうそう存在しないと思います。

このスキルアップ講座では、「STEP1」から「STEP2」、そして「STEP3」まで、記事のタイトルにもあるように「一般論を相談現場へ応用する」ための具体的な手法をお話したいと思います。
ただし、前回の記事でも書いたように、相談員や関係者以外にはあまり公開したくないので、どうするか検討中です。

もし、私が表舞台に立つようなことがあれば、「STEP3」の講師としてお話できる日を楽しみにしています。

(平成22年12月16日 初稿)
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研修を受講するときの姿勢

姿勢といっても、「背筋を伸ばしなさい」という姿勢ではなく、どういう気持ちで受講するかという心構えのことです。
ちなみに、そちらの姿勢も大切ですので別の機会で書きたいと思います。

スキルアップのための研修を受講すれば、スキルがアップするのかといえばそうではありません。
スキルは他人にアップしてもらうのではなくて、自分でアップさせるものです。

特に、外部講師による応対研修などを受けた場合は、当然、相談現場とは異なるシチュエーションとなります。
そうした場合
「そんなの現実的ではない。」
「そんな対応できるわけない。」
「全然役に立たなかった。」
「もっとまともな講師を呼んでほしい。」
と思うことがあるでしょう。

そのように思う相談員は、このサイトの対象外です。きつい言い方をすると、スキルアップは望めません。
おそらく、日常でも、他人のアドバイスには耳を傾けない類でしょう。
自覚していなくても第3者からみれば手に取るようにわかります。
私が同じ研修を受けていれば、私自身、スキルアップのヒントをたくさんもらったと思います。

普通に考えればわかることです。
どんなにすぐれた外部講師でも、相談現場を再現して、ドンピシャのロールプレーイングが再現できるわけがないのです。
本当は内部の事情がわかっている内部講師が一番適任です。
しかし、適任者がいないから外部講師を依頼しているわけで、内部でできないものが外部ですぐにできるほど相談業務の世界は簡単ではないと思います。
それを、すべて外部講師ができると相談員が期待してしまうのでギャップが大きくなるのです。
また、研修内容を否定することは、講師自身をも否定してしまいます。
講師に感謝の気持ちがなければ、社会人としての素養に疑念を抱きます。
実はあなた自身も否定されていることに気付いて発言を慎重にするべきです。

講師は、その分野(たとえば応対方法や話し方や聴き方やロジカルシンキングなど)のスキルを持っています。
しかし、現場にはいないので現場の状況は伝聞や想像でしかわかりません。
一方、内部の人は、現場を知っているけど、講師としてのスキルを持ち合わせていません。
一番いいのは内部の人が講師としてのスキルを身につければいいのです。
しかし、現実には、そういう人材はいません。

全く同じ研修を受けても、受けるほうの姿勢(心がまえ)で全く異なる結果(効果)になります。
研修を受けて得たヒントから、自分の現場で応用して活かす、という作業が必要なのです。
研修内容の10のうち7役立つ場合もありますが。1の場合もあります。0ということはあまりないでしょう。
1の場合は「1しか役立たない」ではなく、「1でも役立つことを得ることができてよかった」と思うことが重要なのです。
そして、それを積み重ねていきます。
せっかく用意された研修です。少しでも多くのヒントを持ち帰ることを心がけてください。
最初に書いた相談現場とは全くかけ離れていることでも、実はつながっているのです。
つながっていることに気付かない相談員に問題があるのです。

他人を批判するばかりではなく、自分自身に目を向けてください。
その姿勢が第3者からは手に取るようにわかり評価されています。
誰も指摘してくれません。
それゆえ、不必要な人材のレッテルをこっそり貼られてしまいます。

スキルアップ講座の「心がまえ」のカテゴリーの内容を本当に理解し実践するためには「プライド」を捨てる覚悟も必要です。
そうそう簡単に自分自身の今までをを否定することを許さないと思います。
しかし、心がけを変化させるだけで、スキルアップのヒントはどんどん向こうから近づいてくれるのです。
毎日は、あっという間に進んでいきます。
日々勉強。
高いモチベーションを維持し続けること。
冷静に自分を見つめること。
自分にどんな能力が不足していて、どんなことをすれば学べるのかを模索すること。

今日、この瞬間から、スキルアップのヒントを売る貴重な機会である「研修を受講するときの姿勢」を変化させていただくことを期待します。

(平成22年10月14日 初稿)

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