月刊 国民生活 2011年6月号

①特集 成年後見制度の今後
・成年後見制度は単純そうで難しいですね。世の中に十分浸透していないからでしょうか。
・相談現場では成年後見制度の前の段階を扱います。すなわち、判断不十分者に関する消費者トラブルです。特集3ではPIO-NETからの相談受付状況について解説されています。
・介護保険制度の要支援認定、療育手帳の有無、精神疾患、認知症の状況など、契約を取り消すために、材料を探します。
・最近多いのは、知恵遅れ的な若者が、携帯電話の出会い系サイトでだまされたり、少し前にはチャットレディーと映像で会話して費用が発生したりということがありますね。
・いずれにしても、事業者が受け入れるような気持ちがあるのかどうかというところにかかります。

②チェックチェック 苦情相談
「身に覚えのないカードローン」
・カードローンの返済が滞っているという連絡があったことから、勝手に複数の貸し金業者から300万円の借り入れがあることがわかったという事例です。
・調べてみると、自動契約機で免許証の本人確認ののち契約していることがわかった。
・警察が調査して、知人が成りすまして契約していることがわかり、知人が債務を支払うこととなり、本人の事故情報が訂正された。
・実際にこういうことがあると怖いですね。本人確認は何だということです。防犯ビデオの映像も筆跡も異なることがわかり解決したんですが、財布を落とせないですね。また、落としていなくても、知人であれば数時間でも抜き取られて返却されていたらわからないですし、会員証の作成で本人確認として免許証を提示するのも怖くなってしまいます。事実、私の友人も知らないうちに消費者金融のカードを作られて、何年も借り入れ返済が滞りなく行われ気づかなかったということもあったそうです。
・契約していないものは契約していない。必ず証明されますので追認しないようにしましょう。

③暮らしの判例
「原野商法の二次被害と契約の効果」
・原野商法被害者の相続人を狙い、測量契約とを結ばせた事案です。
・測量契約は、特商法の電話勧誘販売に該当し、契約書面に記載の不備があったためクーリングオフを認めた。
・広告掲載契約は、消契法による重要事項の不実告知による取り消しと動機の錯誤により錯誤向こうを認めた。
・支払済み代金の返還を命じた。77万7000円と42万円。
→いつもながら、判例解説の理論構成には勉強させられます
・契約当時は測量契約は指定役務だったが、広告掲載契約は指定役務ではなかったため、特商法の適用外とした。
・契約書のクーリングオフの記載が不足、7ポイントで8ポイントには不足。
・単に売却可能性がなければ多額の支払いをするはずはなく、売却可能性があるという趣旨によりうものがあり、消契法4条の重要事項にあたり、契約取り消しを認めた。
・土地の売却可能性があると告げられたことを信じ動機として測量契約と広告掲載契約をしたので錯誤無効である。

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月間 国民生活

月刊 国民生活 2011年5月号

①生活の視点
「宝くじに当たる不幸」
最初の見開きのコラムが面白かったです。
宝くじに当たるのは確立の問題でたまたまの「幸運」なのに対して、「幸福」は自分の努力で築き上げられるということです。
したがって、宝くじが当たっても「幸福」になるとは限らない。
ぜひ読んでみてください。

②特集 金融商品を考える
「金融商品のしくみとリスク」
・リスク・・・価格変動リスク・信用リスク・為替リスク・流動性リスク
・仕組み商品・・・他社株転換債・仕組み預金
詳しく説明しています
「金融商品取引被害救済の実務」
・商品先物取引法(業者ルール)の場合には、説明義務違反についてだけ損害賠償義務という民事効果が付与されている。それ以外については、金融商品販売法の適用はないので、民法と消費者契約法によって救済することになる。
・金融商品の分野では、消費者契約法を適用して救済された事案は、まだ少ない。
・錯誤、説明義務、適合性原則
「詐欺的な投資トラブルに対する相談処理のポイント」
・共通の相談対応方法、投資商品別の相談対応方法についてポイントがまとめられています。

③暮らしの判例
「銀行の投資信託販売につき不法行為責任が認められた事例」
・高齢者に「ノックイン条件付日経平均連動債」といういわゆるノックイン債権を販売した事例です。
・適合性原則違反と説明義務違反により、損害賠償請求が認められました。
・何度も出てくる仕組み商品ですので、ある程度はご存知だと思います。
・ところで、今回のノックインの条件ですが、日経平均株価が購入時の65%ラインとなっています。当時の日経平均は1万5000円程度の高値水準でした。15000円の65%水準は9750円。5000円以上下がるなんて誰が予想できたでしょうか。今の水準だったら10000円として6500円ですね。そこまで下がるとは思えないですよね。

④消費者団体訴訟レポート
「資格試験予備校の中途解約制限条項」
・資格試験予備校の多くは、受講申し込み時に納めた授業料について、受講開始後は一切返金しない等の規定を設けてきたが、大学の学納金返還訴訟の結果と照らし合わせても、消費者の利益を一方的に害し、消費者契約法に反する不当条項であるとして、解約時には支払い済み受講料のうち将来分を返金するように申し入れた。
・申し入れに応答して改善する事業者もあったが係争が続いている事業者もある。

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月刊 国民生活 2011年4月号

①特集 パックツアーのトラブルを未然に防ぐ
消費者センターへの旅行に関する相談は昔からコンスタントに件数が上げられます。
したがって、相談員として、旅行に関する知識をしっかり持っておくことが重要です。
今回の特集で、広く紹介されています。
募集企画型企画旅行、標準旅行業約款、キャンセル、旅程変更など、細かい項目があります。
法的な解釈などは旅行業協会を紹介するのが近道かもしれません。
ただし、相談現場では、法律や約款に基づいて処理というような簡単なものではなく、「気持ち」てきな感情のもつれが関わっていることが少なくはなく、そのあっせんにはある程度は入らなければならないのですが、上手にお互いをまとめるというスキルが重要となります。

②チェックチェック 苦情相談
多重債務問題の解決に向けた取り組み
多重債務問題については国をあげて取り組みが行われており、行政機関では消費生活センターがその役割を担っています。
とはいえ、消費者センターで完結するような問題ではなく、最終的には法的な窓口を紹介することになります。
今回、当該県での消費生活センターの役割について紹介されています。
以前、多重債務については、相談員の心理的負担が大きく、疲弊するのであれば、突っ込まずに、専門窓口を誘導して、他の相談業務に取り組みべきだと書いたところです(借金問題 https://soudanskill.com/20110305/170.html)
しかし、今回の取り組みを改めてじっくり考えてみると、ある程度の対応をしたほうがいいのかなとも感じています。
それぞれのセンターによって方針は違いますが、改めて考えてみたいと思うきかっけになりました。

③暮らし注意報
「モバイルサイト内職にご注意!」
手を変え、品を変え、このような商法は永遠と続きますね。
情報商材のうたい文句と同じく、それねりに良いと思えてしまいますよね。
モバイルサイトの場合は、収入の方法として「アフィリエイト」を使います。
情報商材でも「アフィリエイト」を使うものは多いです。
確かに、「アフィリエイト」は無限の可能性があり、多額の収入を得ることも可能ですが、それはまれであって、ほとんどが収入になりません。
このことは、解説「アフィリエイト」で詳しく解説したところです。
でも、わらおもつみたい人には、もっともらしく思えるんですよね。
いや、私たちでさえ、そう思えてしまうものがあるから巧妙なんですね。

④消費者団体訴訟レポート
「敷引条項の使用差止請求」
この問題については各地で裁判は行われており、さまざまな解釈が出されています。
そして、3月25日に初の最高裁判決が出ました。
簡単に言うと、「不当に高額でなければ特約は有効」という消費者側からは納得いかない結果となりました。
詳しくは省略しますが、今後、消費者関係の雑誌でも、さまざまな解説がされると思います。

⑤知っておきたい相談周辺の基礎知識
「携帯電話の料金体系」
携帯電話の料金についての相談は非常に多いです。そのため相談員は携帯電話の料金だけでなく、本体のことにも精通している必要があります。
今回の記事では料金体系についてまとめられています。ただし、字でぎっしり書かれた解説は読むのがしんどいですね。
消費者センタでの相談対応でおさえるべきポイントというのがありますので、携帯電話の料金について別途解説したいと思います。

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