消費者情報 2012年1月号 (関西消費者協会)

①巻頭インタビュー
「簡単に誰でも利益が出るような儲け話などはない」
・1980年代の豊田商事事件から安愚楽牧場の倒産までの時代の象徴的な事件を振り返りながら利殖商法・出資金商法の問題点と被害を軽減させる方策について弁護士にインタビューしています。
※「簡単に誰でも利益が出るような儲け話などはない」とは昔からよく言われていますが、実のところどうでしょうか。私は「儲け話はある」と思います。ただ、「簡単かどうか」「誰でもかどうか」という点が異なると思います。株、金、為替(FX)、と誰でも儲けるチャンスはあります。そして実際に儲けている人もいます。そういう話があるから自分も同じように儲けることができると思ってしまうのです。1割の人が利益を出して9割の人が損失を出すともいわれています。投資で生活している人もいるし、何よりも証券会社や銀行などの機関投資家は投資で利益を出すのが仕事です。ただ、アメリカと違い、日本では投資で利益を出すことは後ろめたいことと考えられています。今回紹介されている問題商法との大きな違いは自力本願か他力本願かというところです。他人に任せた時点で手数料等でマイナススタートです。さらに本当に運用しているのか詐欺なのかも分からない場合もあります。言葉巧みに誘われ他人にお金を任せてしまうところが大きな失敗です。自己投資であれば自分で銘柄を指定し売り買いの指示を出し、自己責任です。その違いをはっきり区別し、認識しておくことが、「投資の性質」を判断する基礎となり、相談を受けるときの考え方の基礎にもなるのではないかと思います。何でもかんでも投資はダメだという考えはバイアスだと思います。ただし、問題になっている悪質業者は徹底的に息の根を止めるべきであり、それができる法整備を望みます。

②特集「投資型金融商品トラブル警報!」
・投資型金融商品の種類と仕組み、規制法を俯瞰する
・消費生活相談からみた最新の投資型金融商品のトラブルに関する傾向と対策
・投資取引における法規制のポイント
・相談実務のツボ 金融商品取引に関する相談対応の手順と事例
※金融商品の相談はもれなく専門の相談機関を紹介するというのではなく、センターでできることから法的手続きが必要なものまで対応の幅が広くなっています。相談員でも金融商品に関する知識は個人差が大きいです。金融商品に関する研修が多く開催されていますが、理解するのが大変です。今回の特集については自分の知識になるように何度も読み返し理解してください。

③ADR機関を利用しよう!
「越境してきた隣家の大木を撤去したいが・・・」

・隣家には10m以上の大木があり、申立人の敷地に枝、葉が大きく越境している
・撤去費用は100万円程度
・申立人の責任で撤去することなり、解決金として隣家が20万円支払うことで和解した
※この条件は悪いような気がします。ただ、本質はお互いが困っているというところでしょう。原因が隣家にある限り、条件が反対のような気がします。

④温故知新で読み解く消費者問題
「こんにゃくゼリーによる事故」

※こんにゃくゼリーについては以前に個別に記事を書いたところですが、私と同じような考えでうれしいです。「これからも製造販売を続けていくのならゼリーという表現は止めてほしい」というのは激しく同意します。

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消費者情報 2012年1月号

消費者情報 2011年12月号 (関西消費者協会)

①特集「消費者教育のススメ」

「社会を変える私になる」消費者教育
私の考える消費者教育
相談現場の消費者教育
社会全体の連携が不可欠
幼い頃から生きる力を
「消費者教育推進会議の中間整理」から考える日本の消費者教育
消費者教育の現場では
【中学校】中学校技術・家庭科における消費者教育の授業づくり
【中学校】「消費税アップ」と「TPP参加」の是非を問う
【高等学校】「高校生による消費者教育」―ポスター展示啓発活動
【大学】はじまりは消費者であることの自覚から
【出前講座】対象者に合わせた消費者教育の推進
【地域での啓発】見て楽しく、わかりやすく―地域の啓発活動のかたち
「消費者教育推進法」制定に向けて
スペインでみた消費者教育の現場から

※今月号は消費者教育に関する多種多様な取り組みや考え方が特集されています。
消費者教育や啓発にはかなりの努力が注がれています。にもかかわらず、消費者被害が減っていないのが現状です。昔と違い、現代は情報があふれています。必要な情報はネットで簡単に知ることができます。私は、消費者問題への無知・無関心が問題ではないかと思っています。関心を持つことが一番大切です。関心を持てば真実を知りたい気持ちになり、積極的な行動に移せます。学校などで消費者問題に関心を持たせるような教育や啓発をしてほしいと思います。

②多重債務キャラバントーク ワタシのミカタ
「相続放棄手続を周知することの重要性」
・相続を発端に多重債務になってしまうケースが非常に多い
・原因として、(1)債務も相続の対象であることを知らない、(2)相続放棄の申述は家庭裁判所で行う必要があることを知らない、の2つに分類される。
・仙台から相続してしまった債務を支払えなくて破産せざるをえない相談者が数多くいる
・相続放棄手続に関して正確な知識を普及啓発していくことが重要
※そのとおりです。借金の相続放棄は可能であることは知っていますが、この世界にいなければ知らなかったと思います。さらに、その先の手続はあまり知られていないのではないでしょうか。手続は3ヶ月以内です。多重債務啓発のすき間案件かもしれませんね。啓発の必要性を再認識しました。
【参考】裁判所HP
相続の放棄の申述
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui/kazi/kazi_06_13.html

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消費者情報 2011年12月号

消費者情報 2011年11月号 (関西消費者協会)

①特集 子どもと女性の貧困問題
特集1 拡大する貧困と生活保護の動向 貧困の連鎖から希望の連鎖へ
特集2 女は貧乏に生まれない 女を生きて貧乏になるのだ長く生きれば生きるほど
特集3 教育現場から見た「子どもの貧困」
特集4 母子家庭の仕事と暮らし 貧困と偏見のなかで
特集5 不平等社会と消費者問題
特集6 いま求められる社会的包摂の精神 震災復興と貧困の現場
特集7 「社会保障・税一体改革成案」で国民生活はどうなる?
特集8 社会保障制度関連年表窶披€鐀 50年のあゆみ
・貧困問題の中でも子どもと女性にターゲットを絞った特集です。切実な内容です。現実を良く知ることが出来ます。
※貧困問題は消費者問題の枠を超えて社会問題となっています。正直言ってコメントしにくいです。問題が単なる金銭的なものであるばかりでなく、離婚や虐待やDVなど人間性に関わってくるものが根底になっているからです。予算措置は切っても切れないものです。一方、それは税金から支出されるものです。今の借金まみれの日本でそう簡単に予算措置はかないません。増税が必要と分かっていても、社会全体は増税には消極的です。日本の国自体も貧困問題を抱えています。本気になって社会全体で弱者を支えるという機運が生まれればいいのですが、昭和40年ごろの高度成長期と違い、人間関係がぎすぎすしています。思いやりの心が失われています。そんな中で、相談員は行政に存在し、行政的なルートで救済する道を助言してあげることができます。消費者センターの管轄ではない場合もありますが、やっとつかんでくれたわらを切ることなく、少なくともパイプ役としての役割を果たすべきだと思います。
※私の学生時代の友人もDVで離婚しましたが、十分な慰謝料も養育費ももらえず、子どもも精神的な問題を抱え苦しんでいます。私の紹介で結婚したようなものなので責任を感じます。とにかく、弁護士に相談して、裁判をしてでも金銭的なけじめをつけるように助言しています。

②判例に学ぶ
「順位式方式」による預貯金債権の差押の申立を違法とした最高裁決定
最高裁平成23年9月20日判決
・最初に判決と強制執行の一般論について解説しています。
・裁判で勝訴し、相手方が賠償金を支払わない場合は強制執行ができます。しかし、悪質業者の資産の状況は分からず判決も無視します。被害者に勝訴判決が出たにもかかわらず被害回復ができない仕組みになってしまっています。
・被害金を銀行から差し押さえるために「順位式方式」というのがあり、下級裁判例では認められてきたのに、今回の最高裁判決で違法とされました。被害者救済や法秩序維持の視点は全くないと批判しています。
※「順位式方式」というのを始めて聞きました。悪質業者は徹底的に厳罰に下すべきだと思います。しかし、現実と理想にギャップがあり、地団駄を踏むばかりです。

最高裁HPの判例
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110926100210.pdf

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消費者情報 2011年11月号