解説 ドロップシッピング その1

ここ1年ぐらいでしょうか、最近の商法として、いわゆるドロップシッピング商法の被害にあう消費者が激増しています。
行政も動きが早いのか遅いのかわかりませんが、実名公表などがされ、新聞やテレビでも報道されています。

さて、ドロップシッピングという聞き慣れない言葉に相談員として拒否反応が出ていませんか?

実は、ドロップシッピング商法は非常に単純な商法であり、昔からある古典的な商法ともいえます。

今回から何回かに分けて、ドロップシッピングについて解説します。
ドロップシッピングへの理解を深め、適切かつ的確に「対応」できることを目標とし、相談員としてのスキルアップの向上につなげたいと思います。
また、この手の商法はパターンが同じということも理解して欲しいと思います。

ドロップシッピングについては、3つのポイントに分けて順番に説明したいと思います。
①ドロップシッピングとは何かということ(アフィリエイトとはどう違うのか)
②ドロップシッピングには(商材として)何が必要か
③ドロップシッピング商法は古典的商法(パターンが同じ)であるとの理解

さて、ここで以下の説明文を読んでください(②の説明の一部です)。
専門用語を交えていますので、ほとんど理解できないと思います。
このドロップシッピング解説シリーズが終わったときには理解できていることを願ってます。

『ドロップシッピングに必要なものは何でしょうか。
無料の「サーバー」では「商用利用」を禁止しているところが多いので、まず、「レンタルサーバー」を借りることになります。
そして、ホームページアドレスを表示するために「ドメイン」が必要となります。
当然ながら「独自ドメイン」がおすすめです。
それらを準備できたら、自分のショップをオープンさせるために、ホームページを作ります。
ホームページ作るためには、「ホームページ作成ソフト」や「ショッピングカート」なども必要でしょう。
さらに、商品を入れ替えたりする日々の「HP更新作業」や来訪者を増やすための「SEO対策」も必要になります。』

何のことかわかりますか?
これを理解できる相談員は相当ハイレベルだと思います。
相談員が理解できるはずのないものを消費者が理解できるはずはありません。
そして、被害にあった消費者にアドバイスするためには相談員が当然理解しておくことが円滑な対応に結びつきます。
とはいえ、理解しないままでも対応はなんとかできてしまいます。
しかし、理解したうえで対応することが相談員としての真髄であり、スキルアップにつながります。
理解しないまま、対応し、被害のピークを越えて、消え去ってしまう商法はたくさんあります。
理解して自分の言葉・知識として吸収されたときに、相談員としてのスキルがレベルアップするのです。
いろいろドロップシッピングについて解説されていますが、どれも浅いと思います。
深いところでそれぞれが絡み合ってこそ理解へのひらめきがおこるのです。
ドロップシッピングについてバイアスのない観点から理解して欲しいです。
また、こういう観点からの解説に出会うことは、まず、ないと思います。
このブログをみられている相談員はきっとスキルアップするに違いないと確信しています。

それでは、次回以降、解説していきます。

(平成22年8月19日 初稿)

ドロップシッピングのサービス提供会社に対する行政処分

最近、いわゆるドロップシッピングのサービス提供会社に対する行政処分が立て続けに公表されました。
詳細は消費者庁のHP(http://www.caa.go.jp/index.html)の報道発表資料に掲載されています。
株式会社IB 平成22年7月9日付 http://www.caa.go.jp/trade/pdf/100709kouhyou.pdf
株式会社ウインド 平成22年4月9日付 http://www.caa.go.jp/trade/pdf/100409kouhyou.pdf
公表資料を一部抜粋します
「いわゆるドロップシッピングのサービスを提供する契約の締結について、相手方に受注メールの確認と入金の確認等簡単な仕事をするだけで確実に高収入が得られるかのように勧誘していました。
認定した違反行為は、不実告知、誇大広告、広告における表示義務違反及び交付書
面の不備記載です。」

昨年来、ドロップシッピングに関する苦情相談が消費者センターで急増しています。
私は、「アフィリエイト」という言葉はある程度認知されると思っていましたが、「ドロップシッピング」がこういう形で世間の目に出てくるとは思いませんでした。
しかしながら、このような被害が出てくるのは十分想定されるもので、定番の悪質商法モデルともいえます。

原点となっているのは10年ほど前でしょうか、
小さな商店などに「ムページを作ってお店を宣伝しませんか?」
という勧誘で、HP制作費・管理費・サーバー管理費用などを高額請求されるもので、初期費用のほかに毎月定額的な費用が発生する、
という商法です。

相談員として知っておくべきことは
①ドロップシッピングとは何か(アフィリエイトとの違い)
②ドロップシッピング自体は全然問題のないビジネスモデルである
③ドロップシッピングの業務提供誘引販売とは何か
④昔からの悪質商法モデルと同じである(商材がドロップシッピングになっただけ)

これらの①~④の知識が相互に理解できれば、相談対応のポイントはシンプルになります。

今後、ドロップシッピングについては、スキルアップ講座で詳しく解説したいと思います。

(平成22年7月16日 初稿)

バイアス事例 アフィリエイトとドロップシッピング

唐突ですが、「アフィリエイト」や「ドロップシッピング」って、どう思いますか?
相談員として、一般の消費者として、事業者として、いろんな見方があるでしょう。
ここでも先日お話した「バイアス」が強く影響しています。
特に、情報商材がらみのアフィリエイト、ドロップシッピングによる儲け話など、これらをめぐるトラブルは雑誌や新聞紙上をにぎわすこともあります。
相談員であれば、これらの苦情相談はよく耳にします。
それゆえに、「アフィリエイト」や「ドロップシッピング」は怪しいもので手を出してはいけない悪質商法の元と思ってしまうでしょう。
それこそが、バイアスなのです。

アフィリエイトは私たちのネット生活に既に浸透しています。
「アフィリエイトでおこずかいを稼ごう」というような書籍も売られています。
ちなみに、私もアフィリエイトをやっています。
もっと突っ込んでいうと、ぜんぜん、儲からないです。
1年半ほどやってみて、3000円もいってないです。

さらに、このアフィリエイトの進化形がドロップシッピングです。
ドロップシッピングは実質的に事業者になるので、私はやってません。

さて、「アフィリエイト」や「ドロップシッピング」って何だろう。
なんとなく知っている?
説明できますか?
理解していますか?

おそらく「NO」だとおもいます。

これらをきちんと理解していれば、バイアスもなくなり、苦情相談を受けた場合にも、的確な助言ができると思います。
いろんな雑誌に解説されてはいますが、はっきりいってわかりにくいです。
バイアスを持ってしまいそうな印象さえあります。

そこで、「アフィリエイト」や「ドロップシッピング」をできるだけわかりやすく説明したいと思います。
それらを理解したうえで、どんなトラブルがあって、どのように解決していったらよいのか解説したいと思います。


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